電気学会 電磁環境技術委員会
「不均一および過渡的な電磁界による体内誘導量評価技術調査専門委員会」のホームページ

Investigation Committee on Electric Field and Current Induced in a Human Body Exposed to Non-uniform/Transient Electromagnetic Fields
(IEEJ-EMC Technical Committee)

  • 設置趣意書
  • 委員構成
  • 電磁環境技術委員会
  • 電磁界生体影響問題調査特別委員会

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    設置趣意書

    1. 目的
     ユビキタスネットワーク社会の到来と相まって,多目的の電磁波利用が家庭の内外において急増する一方,錯綜する電磁波の人体影響が懸念されている.電磁波がヒトに及ぼす作用で影響の可能性が科学的に想定されるものは,極低周波に対しては体内に誘導される電界・電流であり,マイクロ波に対しては電力吸収に伴う発熱である.例えば,変動磁界は地磁気よりもレベルが桁違いに低くても曝露すれば体内には電流が誘導され,それが脳神経や心筋の活動による内因性電流を超える場合には何らかの生体影響が引き起こされる.マイクロ波に対しては,代謝熱と同程度の熱源が電力吸収で生じると,熱調整系に可逆的な影響を及ぼす事例が動物実験で既に確認されている.
     近年,人が電子・情報機器,運輸システムなどから漏洩する微弱な電磁波に曝される機会が増加しているが,一般にはこのような電磁波は過渡的で広い周波数帯域の界成分を有し,人体への空間的な曝露分布は不均一となる場合が多い.さらに広帯域の電磁波曝露に対しては,体内に誘導される電界・電流または電力吸収のいずれの影響が支配的になるかは曝露状況により大きく異なり,双方を定量的に評価する必要性が生ずる.しかしながら,現時点においては,このような曝露評価の手法は確立されていない.電磁界に対する世界各国の安全基準や防護指針における規制値・推奨値には,商用周波では誘導電流・電界,高周波では比吸収率(SAR:単位質量あたりの吸収電力)が尺度として共通に採用されていることからも,複雑な電磁環境下における体内誘導量の計算評価は極めて重要である.
     本調査専門委員会の目的は,不均一および過渡的な電磁界による体内誘導量を定量的に算定・評価する手法を検討すると共に,関連の計算結果に関する報告事例を調査することにある.また,より現実的な曝露条件を計算機上で再現するためには,波源のモデル化が必要となるが,本調査専門委員会では波源推定のための逆問題と基礎となる測定手法の調査も併せて実施する.なお,測定に関しては,特に,小形プローブによる高解像度電磁界測定技術に焦点を当てた動向調査も行う.

    2. 背景及び内外機関における調査活動
     ヒトの健康影響が懸念される電磁波は,主として電力・輸送システムに用いられている50 Hz,60 Hz(商用周波数)の極低周波と携帯電話に用いられているマイクロ波であった.前章に述べたように,最近の安全基準や防護指針では電磁波による体内誘導量を評価のベースにしており,この点からも誘導量計算の調査が重要となっている.例えば,ICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)のガイドラインでは,1 Hz-10 MHzの範囲では電流密度に対する基本制限,100 kHz-10 GHzの範囲ではSARに対する基本制限が設けられている.即ち,100 kHz-10 MHzの周波数帯では電流密度とSARの両方の曝露評価が必要不可欠となる.総務省,米国・ヨーロッパ諸国の防護指針や安全基準もこれに準じるように定められている.
     商用周波分野では,電気学会の「電磁界の生体影響問題調査特別委員会」が誘導電流計算法も含めて調査しているが,調査対象が工学面と医学面を総合した広範囲の内容であり,誘導量評価としての調査は十分とはいえない.また,同学会の「電磁界による体内誘導電界・電流調査専門委員会」では極低周波から中間周波数帯を含む高周波数帯における誘導量評価法並びに比較計算法が検討・調査されたが,ヒトの簡易モデルに対してのみであり,解剖学的に詳細な人体モデルに対する解析技術の有効性や不均一で過渡的な電磁界に対して有効な計算評価法は調査されていない.高周波関係では電子情報通信学会の「人体電磁ファントム研究会」が活発な調査研究を行っているが,主眼がマイクロ波帯に置かれ,その対象はハイパサーミアを目的としたアンテナ設計や局所吸収量評価のためのファントム設計にあるので,曝露評価を目的とする体内誘導量計算とは内容が大きく異なる.
     しかし昨今では,商用周波数やマイクロ波だけでなく家庭電気製品や情報機器からの中間周波数帯漏洩電磁波に対する人体影響が取りざたされており,IEC(国際電気標準会議)においても「低周波・中間周波数帯の電磁界による人体内誘導電流計算方法」が議論されている一方,WHO(世界保健機関)でも錯綜する電磁環境の曝露評価を優先課題のひとつとして研究すべきことを2006年に勧告している.
     このように広帯域に亘る電磁波の体内誘導量計算は,殆ど手つかずの状態にあると云ってよく,低周波並びに高周波分野で得られた知見を融合した上で,複雑な電磁環境に対する人体曝露評価の確立が要望される.

    3. 調査検討項目
     以上の趨勢に鑑み,本調査専門委員会では,以下の項目に関して現状と今後の動向を調査検討する.

  • (1) 詳細な人体モデルに対する体内誘導量計算法
  • (2) 不均一および過渡的な電磁界に対する体内誘導量計算法(発生源のモデル化と曝露評価を含む)
  • (3) 極低周波から中間周波数帯を含む広帯域電磁界の測定手法(簡易法と厳密法)
  • (4) 今後の課題

    4. 予想される効果
     本調査検討によって,人体誘導量計算法・計算結果の信頼性や適用性が明らかになると共に,複雑な電磁環境下においても人体曝露評価の適切な計算法を選択できる条件が明らかとなる.

    5.調査期間
     平成18年(2006年)7月〜平成21年(2009年)6月

    6.活動予定
     委員会 4回/年  幹事会 1回/年  研究会 1回/年

    7.その他
     調査結果は報告書としてまとめる予定である.

    委員構成

     委員長:
      藤原 修  (名古屋工大)
     委 員:
      伊坂 勝生 (徳島大)
      伊藤 公一 (千葉大)
      上村 佳嗣 (宇都宮大)
      多氣 昌生 (首都大)
      宅間 董  (東京電機大/電力中研)
      太良尾 浩生 (高松高専)
      野田 臣光 (東芝家電製造)
      濱田 昌司 (京都大)
      林  則行 (九州大)
      横田 康 (中部電力)
      水間 毅 (交通安全環境研)
      和気 加奈子(情報通信研究機構)
     幹 事:
      平田 晃正 (名古屋工大)
      山崎 健一 (電力中研)
     幹事補:
      鈴木 敬久 (首都大)
     

    Scope

    (under construction)

    Committee Members

    Chairperson:
    Osamu Fujiwara (Nagoya Institute of Technology)

    Secretaries:
    Akimasa Hirata (Nagoya Institute of Technology)
    Kenichi Yamazaki (Central Research Institute of Electric Power Industry)

    Assistant Secretary:
    Yukihisa Suzuki (Tokyo Metropolitan University)

    Members:
    Katsuo Isaka (The University of Tokushima)
    Koichi Ito (Chiba University)
    Yoshitsugu Kamimura (Utsunomiya University)
    Masao Taki (Tokyo Metropolitan University)
    Tadasu Takuma (Tokyo Denki University/ Central Research Institute of Electric Power Industry)
    Tomimitsu Noda (Toshiba HA Products Co)
    Hiroo Tarao (Takamatsu National College of Technology)
    Shoji Hamada (Kyoto University)
    Noriyuki Hayashi (Kyushu University)
    Yasushi Yokota (Chubu Electric Power Co)
    Takeshi Mizuma (National Traffic Safety and Environment Laboratory)
    Kanako Wake (National Institute of Information and Communications Technology)