電力技術研究所

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背景

 近年の電気事業を取り巻く厳しい環境下、電力流通設備の維持管理におけるコストダウン要請から、既設設備の点検・保守・更新をより戦略的に実施したいというニーズがあります。そのため、電力流通設備の保守管理部門では設備診断技術の高度化に加え、経済的指標を採り入れたいわゆるアセットマネジメント手法について関心が高く、設備の運用状況や点検、診断データの蓄積を進めており、一部で維持管理・更新支援への活用も試行されています。
 当所では設備診断データベースに基づいた診断データ評価支援と、設備修繕費等の経済面を指標とした保守計画策定支援の二本を柱とする、維持・更新計画策定支援プログラムの開発を進めています。

これまでの研究と主な成果

(1) 油中ガス分析データベースに基づく診断データ評価支援プログラム
 油入変圧器の異常診断のため、油中ガス分析データの評価を支援するプログラムを開発しました(図1:画面例)。変圧器の階級、容量等で絞り込んだ上で各分析対象ガスのガス量−頻度分布を基準値(データベースおよび文献等から設定)と共に表示し良否判定を支援します。

(2) 平均修繕費を指標とした保守計画策定支援プログラム
 

毎年の修繕費が経年とともに増加する機器を対象に、その増加率やオーバーホールによる「若返り」、経年による故障率の増大などを考慮して、想定運用期間中の平均修繕費用を算出し、適切な保守施策(オーバーホール間隔と投入費用)選択を支援します(図2)

今後

各種電力流通設備の特性に合わせた維持・更新計画策定支援プログラムの開発を進めます。


図1 油中ガス分析データベースに基づく診断データ評価支援プログラム画面例

変圧器油中ガス成分データ・
比較表示ソフト
 異常監視の指標として、分析される9種類の油中ガスと、これらの累積値(濃度)を表示。 横軸は濃度(対数)、縦軸は累積頻度。判定指標として、さらに平均濃度(対数平均)、 累積度数の5%値と10%値に相当するガス濃度が縦線で表示されており、これらを判別 したい分析データと比較して、良否判定を支援します。

基本的な考え方
 年間の保守費が経年で増加(ある時期から直線上昇)し、オーバーホールで経年の浅 い頃の値に戻る(「若返る」)とすると(左図)、その累積値はオーバーホールの有無によっ て左下図のように変化します(毎年の修繕費のみ表示。計算時はオーバーホール自体 の費用も積算する)。オーバーホールの実施時期と規模を変えたときの効果を評価して 最適施策選択を支援します。経年で増加する故障処理費用想定値も同様に扱います。

計算に必要なパラメータ
 (1)年間保守費の増加特性、(2)オーバーホール効果(投入費用に対する保守費低減効果)、 (3)平均寿命と故障時の処理費用(経年に応じた想定故障処理費用を算出)、および(4)想 定運用期間(評価期間)を指定する必要があり、対象設備の実績ベースから選択する ことが望ましい(本プログラムは必須と考えられる項目を入力、反映できるフレーム の提供を目的としています)



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