電力技術研究所

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背景

 落雷などにより送配電設備で短絡故障が発生すると、その箇所には通常の数倍から数十倍の故障電流(数千〜数万アンペアの大電流)が流れることがあります。絶縁破壊などにより放電を伴って故障電流が流れる場合には、膨大なエネルギーを持つ故障アークが発生するため、公衆安全の確保や電力機器の保護が必要です。
 当所では、安全・安心な電力流通設備を目指し、故障が発生しても送配電設備に流れる電流を速やかに抑制(限流)・遮断する研究を行っています。

送電線で発生する大電流アーク(電流:30kA)
 アークは、落雷などで電力系統に異常な高電圧が発生して絶縁が破れ、放電によって電流が流れることにより生じます。アークの経路となる媒体の分子は、電子やイオン、中性粒子に分解されてプラズマ状態になり、膨大な熱、光と音を発生します。


これまでの研究と主な成果

(1) 故障電流を速やかに抑制(限流)する技術の開発
  故障電流を瞬時に遮断することができる 66/77 kV 送電用および 22 kV 配電用の続流遮断型アークホーンを共同研究で開発し、電力系統に導入されています。

 また、EMTP(Electromagnetic Transients Program)に適用可能な続流遮断型アークホーンの電流遮断シミュレーションモデルを開発し、続流遮断型アークホーンが動作した際の系統状態を解析できるようになりました。

66/77 kV 送電専用続流遮断型
アークホーン
 関西電力(株)、東京電力(株)、日本カタン(株)との共同開発。
 最大遮断電流 10 kA、遮断時間 1 サイクル以内。全国で、約 2 万 7 千本導入済み。

22 kV 配電用続流遮断型
アークホーン
 関西電力(株)、日本カタン(株)、 (株)日本ネットワークサポートとの共同開発。
 最大遮断電流 15 kA、現在、フィールド試験実施中。

続流遮断型アークホーンの電流遮断シミュレーションモデルの開発
 図中の青線は、短絡電流遮断試験で得られた電流・電圧の実測波形、赤線が開発したシミュレーションモデルを用いた計算波形。両者は良く一致しており、故障発生から遮断までの全過程を模擬することができます。

(2) ケーブル防護管内の圧力上昇・伝搬特性のシミュレーション技術の確立
  密閉容器内や密閉容器に管路が接続された容器において、アーク放電による圧力上昇・伝搬特性を解明し、これをシミュレーションする技術を開発しました。この成果をさらに発展させ、地中配電に用いられるケーブル防護管内でアーク故障が発生した時の圧力上昇・伝搬特性を推定できるモデルを構築しました。

ケーブル防護管内の圧力上昇・伝搬特性
 故障アークで発生した圧力が、防護管内を減衰しながら伝搬していく状況をシミュレーションにより再現できた。

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