電力技術研究所

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背景

 電力輸送設備に対する用地面等の制約が厳しいわが国では、GIS(ガス絶縁開閉装置)を代表とするSF6ガス絶縁技術への依存度が高く、現在では全世界の約24%のSF6を電力輸送設備に使用しています。
 一方、SF6ガスは、地球温暖化ガスとして、関心が高まっており、大気への排出削減、ならびにSF6代替ガス適用機器の開発も視野に入れて取り組んでいます。

これまでの研究と主な成果

 SF6に代わる代替絶縁ガスのうち、環境制約をクリアできるものとしては現状では自然ガスであるN2、CO2が挙げられます。しかし、これらのガスの絶縁性能はSF6の約1/3であり、絶縁性能の向上が必要です。
 当所では、自然ガスと固体絶縁物によるハイブリッド絶縁方式(イラスト)のガス絶縁機器への適用可能性について検討しています。断面所要寸法の概念設計では、SF6よりも絶縁性能の低い自然ガスを用いても、現行のSF6絶縁とほぼ同程度のコンパクト性を実現できる可能性が示されました。

今後

 ハイブリッド絶縁方式を適用したガス絶縁機器の実用化に向けて、基礎実験設備(写真)を用いたモデルによる絶縁性能評価、導体接続・支持技術などの要素研究に取り組み、基本設計仕様の提案を目指しています。


ハイブリッド絶縁方式の構造(イラスト)
 従来のガス絶縁機器の中心導体を固体絶縁物で被覆する構造。単相導体を3本に分割した構造も検討(長距離に有利)

基礎実験設備(写真)
 モデル電極を実験タンク内に設置し、過電圧を模擬した高電圧に対する電気絶縁性能および機器設計に必要な各種データを取得しています。


 

※SF6ガス:無色、無臭、無害のガスであり、電子を付着する性質が強く、電気絶縁性能、電流消弧性能が優れています。電力輸送設備以外では、マグネシウム産業等で使用されていますが、大気中寿命が長く地球温暖化への影響から各業界で使用量の削減に取り組んでいます。

SF6代替絶縁ガスの探索
 左上のグラフは、代替絶縁ガスの沸点と絶縁耐力の関係です。沸点が高いと一般に絶縁耐力は高くなりますが、寒冷地での使用時にガスの液化という問題があります。
 また、フロンなどの人工ガスは何らかの環境上の制約があることから、現状では環境低負荷代替ガスとしては自然ガス(N2、CO2)が有望です。しかし、その絶縁耐力はSF6の約1/3です。

自然ガス(N2およびCO2
の絶縁耐力
 絶縁耐力は通常、ガス圧力に対して上昇する特性を示します。左下のグラフは、この特性を定量化したものです。
 N2およびCO2のガス圧力を2MPa程度まで高めれば、従来機器で使用されるSF6(0.5MPa)と同等の絶縁性能が得られますが、従来の4倍程度のガス圧力が必要となり、実用的に合理的でありません。
 実用上合理的と思われる(従来機器のガス圧力での製造・運用を踏襲できる)1.0MPa程度でN2およびCO2ガスを使用するには、絶縁耐力向上が必要であり、ハイブリッド絶縁方式の適用が有望です。

ハイブリッド絶縁方式の実現に向けた取り組み
 ハイブリッド絶縁方式の適用により、自然ガスを用いても、現行SF6絶縁機器と同程度の所要断面寸法、定格(電圧、電流)を実現できる可能性があります。当所では実現に向けて下記の課題に取り組んでいます。
(1)絶縁設計(絶縁耐力向上効果の定量化、固体絶縁物貫通破壊特性把握)
(2)熱設計(通電性能評価)  (3)導体ジョイント技術、導体支持技術の開発
(4)基本設計仕様の検討  (5)ライフサイクルアセスメント、ライフサイクルコスト評価



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