電力技術研究所

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背景

  超電導線を交流で使用する電力機器に適用すると、超電導特有の交流損失が発生し、機器の効率低下や冷凍負荷の増大につながってしまい、電気抵抗がゼロによる高効率化、小型・軽量化等のメリットが少なくなってしまいます。
 当所では、超電導線を交流で使用するために、交流損失の精密な計測技術、低交流損失化手法、超電導性能向上技術等を開発するとともに、金属系の低温超電導線材および酸化物系の高温超電導線材の電力機器への適用可能性を検討してきました。また、超電導発電機、超電導電力貯蔵(SMES)、超電導限流器、超電導ケーブル等の系統導入効果も合わせて研究してきました。

これまでの研究と主な成果

(1) 金属系超電導(低温超電導)
 低交流損失の金属系超電導線材の開発を行うことにより、電力機器等の交流機器に超電導技術が適用できることを示しました。さらに、交流超電導技術を用いて超電導電磁攪拌など、超電導技術の産業応用への可能性も追求しています。

(2) 酸化物系超電導(高温超電導)
 高温超電導については、500m高温超電導ケーブルフィールド試験により、実用化に向けた基本的な技術を確立しました。また、電力系統の故障電流を抑制するために、磁気遮へい型限流器やそれに用いる厚膜円筒超電導体などの研究開発を行っています。さらに、   超電導薄膜の高性能化のために、YBCO薄膜、Fe系薄膜の微細構造評価を実施しています。

(3) 超電導機器の系統導入効果
 各種の超電導電力機器を系統に導入した際の効率向上効果、送電安定度向上効果など、様々な効果を解析により検証してきました

今後

 超電導限流器の導入方策の検討や、実機器レベルの装置の試作など、超電導限流器の開発を行います。さらに、低炭素社会の実現のための超電導の適用技術に関する検討など、将来に向けた超電導電力機器の研究開発を進めていきます。


超電導ケーブルの交流損失評価
  当所では、超電導の交流応用にとって交流損失の低減は、重要な課題ととらえ、様々な交流 損失評価を行ってきました。
 高温超電導ケーブルの交流損失については、負荷電流の大きさに加え、使用温度条件が変化 するため、評価が困難と考えられてきました。当所では、3mの短尺ケーブルを用い、温度条 件および通電電流値を変えて評価を行い、臨界電流の温度依存性から交流損失が推定できるこ とを示しました。

磁気遮へい型限流器の開発
  磁気遮へい型限流器は超電導円筒体の外側にコイルを配したシンプルな構造で、 超電導円筒体の磁気遮へい効果を利用した限流器です。
 この限流器に適用する大型の超電導円筒体を製作する技術を開発し、 直径450mmのBi-2223厚膜超電導円筒体(左写真)を製作しました。この超電導円筒体を用いて 60kV 級超電導限流器の開発を行っています。

超電導薄膜の微細構造評価
  磁場中の臨界電流密度向上のために、超電導薄膜内部に侵入し た磁束の動きを止める、人工ピンニングセンターの導入が検討されています。 人工ピンニングセンターは、超電導材料の内部に数 nm 程度の人工的に作った常電導部分です。
 人工ピンニングセンターを導入した超電導薄膜の微細構造を評価することで、 最適な人工ピンニングセンターの構造を明らかにします。
    nm:1mmの百万分の1

交流超電導技術の産業応用
  交流磁界を利用する産業機器のマグネットを超電導化することにより、  1)損失の低減、2)電源の小型化、3)非常に高い磁束密度、が達成できます。
 これを材料製造過程で行う電磁攪拌に適用すると、結晶の微細化による機械加工のしやすい材料や高濃 度合金の作製、高粘度物質の攪拌などが可能となります。



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