電力技術研究所

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背景

 近年、情報通信技術(ICT:Information and Communication Technologies)が進歩し、これを利用するICT機器が広く社会に普及して来ています。しかしICT機器は、外来の電磁ノイズに対して感受性が高いことが指摘されています。一方で、分散型電源など電源の多様化や、インバータを用いた家電機器の増加に伴い、ICT機器が放射性・伝導性の電磁雑音に曝される機会が増大しています。このため、当所では、従来の超高圧送電線のコロナ障害の防止対策や電磁界の生体影響評価研究などに加え、社会の変化に対応した電力供給設備のあり方を考え、社会全体における電磁環境調和を目指した研究に取り組んでいます。

これまでの研究と主な成果

(1) 電磁雑音評価法の確立
 雷や台風などの自然災害や経年劣化などが原因で、電力設備から放射電磁波が発生することがあります。赤城試験センターに設置した電波雑音評価設備を用いて、無線LAN帯域などに着目し、配電線からの電波雑音の放射特性などの評価方法の確立を目指していま  す。また、インバータ機器のスイッチングに起因する伝導性電磁雑音の実態把握を進めています。

(2) 電磁界の生体影響に関わる電磁界評価研究
 電磁界の生体影響評価に関わる、磁界の測定・計算評価手法、および低減技術などを開発してきました。また、影響評価の指標となる生体内に生じる誘導電流・電界を計算により評価する手法を開発し、ガイドラインとの適合性評価などへ活用しています。

(3) 超高圧送電線のコロナ障害の抑制
 塩原実験場コロナケージによる基礎特性の把握、赤城試験センターのUHV試験線での実証試験により、所要電線数を初期計画の80%に低減しました。また、UHV直流試験線などによる試験研究の成果は、わが国初の±500kV送電線の導体設計に活用されました。


日本人人体詳細モデルにおける磁界による体内誘導電流(左) および、誘導電界(右)分布の計算例
 人体モデルは、2mm の解像度、要素数約800万、約50の組織を模擬しています。
 左図は、人体正面方向の一様磁界(0.1mT, 50Hz)中における、体内の誘導量の分布を示しています。

今後

 社会変化に対応した電力供給設備のあり方を考え、社会全体における電磁環境調和を実現するために、以下の検討を進めます。

(1)

放射性電磁雑音による電子機器類および無線システムへの影響を実験的に明らかにし、影響範囲の推定と対策法の開発を行います。

(2)

家庭内における機器間の電磁両立性を目指し、インバータ機器などによる伝導性電磁雑音の発生と伝搬などの現象の解明と、対策法の開発を行います。

(3)

これまでに蓄積した、超高圧送電線のコロナ障害や電磁界の生体影響に関連した評価技術の集約化、ツール化を進め、社会変化に対応した新たな電磁環境課題の解決に取り組みます。



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