電力技術研究所

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背景

 循環型社会の構築が望まれています。アークプラズマ技術は、超高温で廃棄物を溶融でき、減容や無害化ができるため、廃棄物のリサイクルや処分場の延命が可能になります。例えば、自治体では都市ごみ焼却灰のプラズマ溶融施設の導入数が近年急増しています。
 一方、アークプラズマを減圧下で形成すると、金属表面の酸化膜だけを選択的に除去できるという特長があります。
 当所は、(1) アークプラズマ技術の放射性廃棄物処理への適用性の評価、(2) アスベスト廃棄物の無害化・再資源化、(3) 放射性金属廃棄物の酸化膜に存在する放射性核種の除去(除染)技術の開発、に関する研究に取り組んでいます。

これまでの研究と主な成果

(1)低レベル放射性雑固体廃棄物の減容処理への適用性評価
 廃棄物と放射性核種を模擬した試料をプラズマで溶融し、得られた固化体の核種閉じ込め性などの特性や、溶融時の核種の挙動を明らかにし、アークプラズマ技術が、放射性廃棄物処理へ適用できることを明らかにしました。一連の成果は、放射性廃棄物のプラズマ 溶融処理の実用化に貢献しました。

(2)アスベスト廃棄物の無害化・再資源化技術
 アスベスト廃棄物は、溶かせばガラス状や岩石状の安全な物質(スラグ)になり、アスベストではなくなります。種々のアスベスト廃棄物を溶融し無害化できること、さらに、スラグは、路盤材料やコンクリート用細骨材などに有効にリサイクルできることを明らか にしました。

(3)減圧アークによる酸化膜の除去性能
 原子力発電所の冷却水環境を模擬した条件下で、板状の金属表面上に放射性核種を含む酸化膜を作製し、酸化膜に存在する放射性核種を90%以上除去できることを明らかにしました。

今後

 放射性金属廃棄物の表面除染技術の開発を推進します。



減圧アークによる除染技術

金属表面の酸化膜上に形成した
アークプラズマの写真
 アークが形成されている点(陰極点)は、酸化膜がなくなると新しい酸化膜を探して移動するため、 表面の酸化膜を選択的に取り除くことができます。

溶融処理技術

 

 アークプラズマを用いてフライアッシュを溶融している状況。 中心の白い部分が 1万度以上のアークプラズマで、オレンジ色の部分が、 溶けて 1550°C前後に達したフライアッシュです。

 

(1) 繊維状のアスベストも溶融すれば、岩石やガラス状のスラグになり、 アスベストの有害性を消失できます。
(2) 得られたスラグは、粒度 5mm以下の入手が容易な砕石ダストと混合すれば、 下層路盤材の規格を満たし、またモルタル用の骨材としてリサイクルしても、 天然の陸砂と同等の強度となります。

表面除染技術

 

 原子力発電所の冷却水環境を模擬した条件で作製した酸化膜を、 減圧アークにより除去する前後の写真。左側の写真から、 黒っぽい酸化膜がとれ金属光沢が現れていること、右側の電子顕微鏡(SEM)写真から、 酸化膜の結晶が消失している状況が分かります。

 

 コバルト60を含有する酸化皮膜付き配管に減圧アークを適用。 この結果、減圧アークの繰返し処理により、コバルトの除去率は向上し、 最終的に90%以上を除去できました。



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