電力技術研究所

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背景

 当所では、環境性や防災性の観点から固体の電気絶縁材料を利用した全固体変電所の開発を進めています。この電気絶縁材料の開発に向けて、熱伝導性に優れた窒化アルミニウム(AlN)の異種サイズの球状粒子を混合し有機絶縁材料に高充填することが考えられます。球状の数µmのマイクロ粒子の表面に100nm以下のナノ粒子が付着した複合粒子を利用することによりその実現が期待できますが、そのような複合粒子は高価です。
 そこで、当所がナノ粒子の低コストな大量創製法として着目しているアークプラズマ法を用いて、複合粒子の創製条件について検討しています。

これまでの研究と主な成果

 ナノ粒子合成実験装置(写真1)を使って、アークプラズマにAlN破砕粒子(平均粒径10µm)を注入し(写真2)、数µmのマイクロ粒子の表面に数十nmのナノ粒子が付着したほぼ球状の複合粒子を創製しました(写真3)。また、複合粒子の形状、マイクロ粒子とナノ粒子の体積比および粒径比を制御する運転条件(プラズマ中の粒子の滞留時間など)を明らかにしました。さらに、このAlN複合粒子を充填することによりエポキシ樹脂の熱伝導率が高くなり、電気絶縁性能と併せて、全固体変圧器に要求される性能を実現できることを確認しました。

今後

 基礎実験装置を用いて、現在、 AlNナノ/マイクロ複合粒子を大量創製する研究に取り組んでいます。



ナノ粒子合成実験装置(写真1)
 最大300mmまでの長いアークプラズマを発生でき、また反応ガス種も変えられるので、各種のナノ粒子の創製実験が可能です。

実施状況(写真2)
 プラズマ中でAlN破砕粒子を蒸発させた後,下流域でアンモニア(NH3)ガスを吹付けてAlNナノ/マイクロ複合粒子を創製。

創製したAlNナノ/マイクロ複合粒子
(写真3)
 マイクロ粒子の表面にナノ粒子が付着したほぼ球状の複合粒子(AlN純度:99%以上)を創製。

電気絶縁材料の熱伝導率
 現在、放熱性が必要とされる電力機器の固体絶縁材料としては、 エポキシにSiO2(シリカ)やAl2O3(アルミナ)の微粒子が充填されたものが使用されています。当研究所が開発を進めている全固体変電所で使用される機器は、大容量であるため、固体絶縁材料にはさらに高い放熱性が要求されます。このため、エポキシ充填材料として、 AlNを用いる研究を進めています。

粒子高充填のイメージ図
 熱伝導率を高くするには、大きい粒子と小さい粒子をブレンドして、 エポキシへの粒子の充填率を高める必要があります。この実現に向けて、大きい粒子として数µmのマイクロ粒子を、小さい粒子として100nm以下のナノ粒子を利用することが考えられます。

創製粒子の円形度
 円形度が0.75程度の原材料粒子をプラズマ中に2ms以上滞留させることにより、その円形度を0.9程度まで向上でき、ほぼ円形の粒子の表面にナノ粒子が付着した複合粒子を得ました。

創製粒子中のナノ粒子が占める割合
 プラズマ中の原材料粒子の滞留時間を2〜5msとすることにより、ナノ粒子とマイクロ粒子の体積比を2:8から5:5程度まで制御できました。また、プラズマ中の粒子の直径減少を考慮した蒸発挙動計算を行った結果、実験結果と概略一致しました。このことから、プラズマ温度、原材料粒子の直径およびプラズマ中の滞留時間を用いて、ナノ粒子とマイクロ粒子の体積比を予測できることが明らかになりました。



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