電力技術研究所

HOME > 研究成果 > No.13

背景

 遠隔・非接触で情報取得ができるレーザー技術は、電力設備の寿命診断や地球環境計測におけるキーテクノロジーの一つです。
 当所では、超短パルスレーザー(Tキューブレーザー:Table Top Terawatt Laser)を用いた診断用X線発生技術、レーザーレーダー技術等を用いた新しい設備診断技術や大気観測システムの開発を行っています。

これまでの研究と主な成果

 50フェムト秒(20兆分の1秒)という短い時間にエネルギーを集中したレーザー光を用い、X線透過検査技術や微粒子成分遠隔計測技術等の開発を行っています。さらに、設備診断技術として、漏洩ガス遠隔計測技術、発電所煙道排ガス計測技術、高温金属材料の非接触温度計測技術、レーザー超音波探傷技術等の開発を行っています。また環境計測技術としては、世界最高感度を有する大気中SO2、NO2、O3計測用レーザーレーダー装置を開発しました。

今後

 電力流通設備、火力発電設備、原子力発電設備等の寿命延伸、効率運転に寄与する、非破壊、非接触、リアルタイム、遠隔で行うことが可能な新しい計測、診断技術を開発します。さらに、これらの技術を環境計測へも応用し、地球環境問題の解決にも寄与していきます。



Tキューブレーザー装置
 エネルギーは約1ジュールとわずかですが、パルス幅が50フェムト秒であるため、 瞬間的に高強度のレーザー光を発生できます。

Tキューブレーザー装置を用いたX線発生
 Tキューブレーザー装置を用い、高強度短パルスレーザー光を金属薄膜に集光照射すること によりプラズマを生成し、プラズマ中の電子を介してX線を発生させます。 このレーザープラズマX線源は、従来用いられてきた同位体線源や放電X線管線源に比べ、 高空間分解能・高エネルギー化が可能なため、狭隘部の高分解能検査が期待できます。

レーザー誘起ブレイクダウン分光(LIBS)によるコンクリート含有塩分計測技術
 LIBS は、レーザー光を測定対象物に照射することによりプラズマを生成し、 そのプラズマの発光スペクトルを分析することにより、 測定対象物に含有されている元素の種類および濃度を測定する技術です。 現場において、遠隔・非接触でリアルタイムの計測が可能です。当所では、 コンクリート構造物の塩分浸透分布を高感度、高空間分解能で計測できる技術を開発しました。 本技術は鉄筋の腐食が開始するコンクリート中のCl濃度0.6kg/m3を検出可能です。

煙道排ガス計測技術
 火力発電所では高効率運転のため排ガス中のSO2、SO3濃度を測定する必要があります。 量子カスケードレーザーを用いてSO2とSO3の中赤外域における吸収特性を明らかにし、 直挿型(煙道に直接差し込む型)の排ガス中SOx計測装置を開発しました。 本装置を用いれば、ガス採取や前処理無しで煙道排ガス中SOx計測が可能になります。

亀裂深さ監視技術
 鋼材料にレーザー光を照射して材料表面を伝搬する超音波を発生させ、 この波が表面開口亀裂を迂回した際に発生する時間遅れに基づいて亀裂深さ測定が可能であることを 明らかにしました。本技術を用いれば高温部品の表面開口亀裂の深さをオンラインで監視することが出来ます。



| No.1 | No.2 | No.3 | No.4 | No.5 | No.6 | No.7 | No.8 | No.9 | No.10 | No.11 | No.12 | No.13 |
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry