学会活動

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国際原子力機関 協働研究の第1回専門家会議に参加して

水域環境領域 特別嘱託
立田 穣

1.会議の概要

 2017年6月19日から23日にかけて、モナコ公国で開催された標記専門家会議へ参加した。参加国は、豪州、中国、イタリア、日本、韓国、クエート、マレーシア、モロッコ、ノルウエー、スペイン、ウクライナ、米国、フランスであった。報告者らは、日本からの参加機関である福島大学の協力者としてオブサーバー参加した。

 国際原子力機関(IAEA)の協働研究(Coordinated Research Project、CRP)は、IAEAが公募するテーマに対して、加盟国の研究機関が参加し、お互いに情報交換し、協調しつつも各々の研究を行う活動である。今回のIAEA-CRPは「海洋における天然・人工放射性核種の挙動と環境影響および海洋研究のためのトレーサー利用」である。これは、海洋環境における放射性核種の濃度、変化傾向、影響を評価するための方法や、沿岸と外洋における海洋学的過程に関する新しい情報を共有することを目的としている。また、各国研究機関の過去および最新のデータを反映させて、IAEA加盟国がオンラインアクセス可能な海洋環境放射能データベース(The Marine Information System, MARiS)を完成することを目指している。

 会議では、福島大学・青山特任教授(研究代表者)が福島事故以降の北太平洋の海洋化学的な研究成果と今後の研究計画について紹介し、報告者らは海洋拡散モデルなどの研究成果について説明を行った(図1)。各国の参加機関から、海洋・海底土・海産生物に関する各々の研究成果について紹介の後、このプロジェクトの進め方と成果物のイメージに関して討議と調整を行った。2019年の次回専門家会議までに、各国機関で情報交換するとともに協調して研究を進め、学術論文作成、MARiSデータベースの更新を行うことになった。

2.モナコのIAEA環境研究所

 専門家会議は、モナコグランプリが行われる港に面した建物内にある国際原子力機関の環境研究所(図2)で行われた。会議は朝から夕方まで休みなく行われたが、昼食には欧州スタイルで2時間割いてあった。地中海沿岸のモナコ特有のさんさんと降り注ぐ太陽光の中、オープンテラスでビジネスランチをとる人も多く、また、事務局の主催の全員参加の昼食会も行われた(図3)。報告者らは、過去にもCRP参加の経験があり、旧知のIAEA環境研究所・放射線計測部長などと旧交を温めた。昼食や会議後のレストランでの各国の研究機関参加者との情報交換は、人的ネットワークづくりにも有意義であり、実りの多い会合であった。

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