学会活動

学会活動

Society of Freshwater Science 2017年度年次大会(SFS2017)に参加して

水域環境領域 主任研究員
中野 大助

1.SFSの概要とトピック

 Society of Freshwater Science (SFS)は、淡水生態系(河川、湖沼、貯水池、河口域)の構造や機能の理解と適切な管理を目指す国際学会であり、年次大会には基礎から応用までの幅広い分野の研究者が世界中から集う。SFSは、元々、北米底生動物(湖底や川底に生息する貝や蟹、虫など)学会(North American Benthological Society:NABS)という非常に限定された地域と分野を冠する学会であったが、国や分野を隔てずに演者を受け入れた結果、活発な議論ができる自由な雰囲気が人気となり、現在の学会名に変更した経緯を持っている。65回大会となるSFS2017は6月4〜8日にノースカロライナ州のローリーで開催された(図1)。発表件数は800件を超え、1000名以上が参加したと思われる。

 報告者は、河川の溶存酸素濃度の連続測定データから河川生態系の代謝(生産量と呼吸量)を推定する研究を行っており、今大会では、大規模出水によって生態系の構造が激変すること明らかにした内容(大規模な出水の前には呼吸量が生産量を上回っていたのに対し、出水後には生産量が呼吸量を上回るようになり、その状態は半年以上続いた)を発表した。非常に明瞭な結果が出ていたこともあり、その理由や他の生態系への影響について多くの質問や意見があった。国内では河川生態系代謝量の研究者は少ないが、海外では精力的に研究が進められており、SFS2017でも多数の発表があって、よい刺激を受けた。

 米国では、不要になったダムを取り壊すというダム撤去が、数多く行われており、その影響を評価する発表がいくつかあった。撤去後に魚類の遡上が確認されたという事例もあったが、大量の土砂が下流に堆積して生物相が貧弱になったという事例もあり、ダムおよびダム撤去の影響を科学的に検証して、生態系に配慮した河川管理につなげていこうという議論がなされていた。国内では再生可能エネルギーとして水力発電への期待も大きく、今後、ダムと生態系の共存に資するような研究を行っていきたいと思った。

2.ノースカロライナ州の州都ローリー

 大会が開催されたローリーは、ノースカロライナ州の州都で人口は約40万人。スペルはRaleighで日本語ではローリーと標記されるが、発音はラリーに近く、入国管理官から「エンジョイ・ラリー」と声をかけられた。市内には、歴史ある建造物が多数存在し、教会や大学、水道塔さらに個人宅の一部にはローリー歴史建物というプレートがついている(図2)。一方、高層建築も多数あって、レンガ造りや石造りの建物の向こうに高層ビルが見え、歩いていて不思議な感覚を覚える街だった(図3)。

 市内の自然史博物館と歴史博物館(図4)を訪問したが、前者では、東は大西洋、西はアパラチア山脈というNC州の自然豊かな特徴を表す多彩な展示が楽しめた。一方、後者では、ヨーロッパ人の入植前から第二次世界大戦まで広く扱っていたが、南北戦争と第一次世界大戦の扱いが特に大きかった。

 市内および周辺には多数の地ビール醸造所があり、毎晩、違う味を楽しむことができた。食事に関しては、特段の名物料理は発見できなかったが、概ね南部的な料理が多く、焼きナマズのサンドイッチ(図5左)はウナギ蒲焼を想起させる微妙な味だった。他の街と同様、一皿の盛り付けは異常に多く、パブの看板娘に勧められたグレービーフライ(図5右、デミグラスソースのようなコクのあるソースとチーズがかかったポテトフライ)は、店内では食べきれず、ドギーバックとしてホテルに持ち帰る始末だった。ホテルの冷凍庫と電子レンジを使い2日かけてようやく食べ終えることができた。

©2017 電力中央研究所

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