内容概要 | 指差呼称のヒューマンエラー防止効果を検証するために2つの室内実験が行われた。実験1では、パソコン画面に表示される円の色(5種類)に対応する反応キーを押す課題を24人の被験者に行わせた結果、「指差呼称を行う」条件において最もエラーが少なく、「指差も呼称も行わない」条件において最もエラーが多かった。実験2では、被験者は手元の「知らせ灯」が点灯したらパソコン画面に表示される信号を確認し、停止現示以外(進行、減速、注意、警戒)なら反応キーを押す。第101試行目に初めて停止現示を出したところ、指差呼称をしてから反応キーを押す条件では1人もキーを押さなかったのに対し、指差呼称をしない条件では12人中5人が知らせ灯点灯に「つり込まれて」反応してしまった。これらの結果から、指差呼称が選択反応エラーの予防に効果があることが再確認されるとともに、望ましくない習慣的操作が発生しやすいような作業でも有効なエラー対策となることが検証された。なお、反応時間は指差呼称をすることによって増大するので、秒単位の迅速さが求められる作業には不適であり、今回の結果を他のタイプの作業にまで一般化することには慎重でなければならない。
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