内容概要 | 科学警察研究所が開発した科警研編運転適性検査73型は昭和48年以来運転免許行政処分者を対象にした運転者教育に全国で利用されている。本研究では、73型検査の改訂に関する検討として、検査の検出項目の再確認と、検査開発時と比較して現データに見られる検査結果の特徴から、指導教育現場に与える問題点を明らかにしている。73型検査の構成に関する調査(分析1)と検査開発時と現在の総合判定値比較(分析2)を行い、分析1では、73型検査から検出される「動作の速さ」「動作の正確さ」「衝動抑止性」「精神活動性」「情緒安定性」の5要素(最初の4要素は「運転行動能力」要素、最後の要素は「性格」要素)のうち、「運転行動能力」と「性格」は独立しているが、「精神活動性」は他の「運転行動能力」との関連が見られた。分析2では、受検者全体の成績が良くなる傾向が見られた。これらの結果から、教育指導時に、検査結果の説明が複雑になることや多くの受検者の総合判定値が良いために、検査に基づいて自らの問題箇所を注意しようとする意欲が薄れてしまう可能性が示唆され、総合判定値だけでなく各検出項目の評価値の意味や、検出項目の組み合わせによる特徴などを細かく指導する必要があると考えられる。
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