内容概要 | 過去の知見に対する考察から、夜勤時において仮眠後の覚醒水準を維持するための仮眠時刻条件と時間条件の関係について、夜勤の前半(0200前後)にとる仮眠が早朝までの覚醒水準を維持するためには120分以上の仮眠をとる必要があると考えられるのに対して、夜勤の後半(0400以降)にとる仮眠が早朝までの覚醒水準を維持するためには半分の60分程度でも足りることが示唆された。この仮眠取得条件が夜勤時の覚醒水準維持のためにそれぞれよりよい条件であるとすると、次に問題となるのは、夜勤の前半でも60分程度の短時間しか仮眠がとれない場合の仮眠後の覚醒水準の低下と、夜勤の後半に仮眠がとられる場合の夜勤開始から仮眠までにおける覚醒水準の低下の程度についてである。実際には、夜勤中だけでなく夜勤前に勤務に備えて自宅で仮眠をとる夜勤従事者は少なくない。しかし、この夜勤前に仮眠がとられる時刻は睡眠禁止帯にかかることなどから睡眠の質が悪いことが予測される。そのため、夜勤前の仮眠は夜勤対策としては補助的な役割を果たすものであると考えられるが、先行覚醒時間の点からはとくに夜勤の前半に仮眠がとられた場合に、先行覚醒時間が短くなることで夜勤中の仮眠の質やその後の覚醒水準維持効果を阻害する可能性も考えられる。
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