内容概要 | 本稿では、はじめに、ドライバが責任をもてる安全運転支援システムが必要であることを示し、次に、自動変速機装着車(AT車)と手動変速機装着車(MT車)を例にとり、交通事故を交通心理学的視点で解析して、安全運転支援システムのコンセプトを提案し、最後に、安全・安心を確保する安全運転支援システムと情報との関係について考察している。このなかで、日本交通心理学会で発表した結果に基づいて、AT車とMT車の事故率に関する結果と情報との関係を紹介している。本稿の結論は次のとおりである:1)AT車とMT車の事故率はドライバの注意容量モデル(注意容量中の運転に関係のない隙間が運転状況に応じて変化する)で説明することができる。2)本稿の結果を情報や(安全運転)制御システムと事故との関係に適用すると、要はただ単に運転が楽になることや運転と関係のない情報をドライバに提供することは一般には、事故の増大を招く可能性が大きいことが予想される。言い換えれば、制御システムが運転支援を達成するためには、システムが運転を楽にするほど、ドライバが運転に注意できる情報をあわせて提供しなければ、かえって事故を誘発する可能性が高くなるといえる。
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