登録番号2004-03637 (A00)
タイトル会長講演 医療失敗学の提唱
内容概要近年、診療施設での医療安全対策は進んでいるが、不適切医療サービスが減少したという報告、あるいは事故の重傷度が低下したという報告はあまり聞かれない。不適切医療が発生し、事故の重傷度が軽減しない最大の問題は医療従事者にある。医療事故の原因の80%以上はヒューマンエラーである。このように、人は失敗を犯すことを避けることができないのなら、失敗が発生するのが当然との前提のもとで、医療安全対策を追求しなければならない。そこで発想を変えて、医療現場の失敗の実態、事故発生の可能性を積極的に公開してはどうだろうか。麻酔科診療を例にとれば、麻酔科医師の犯す失敗を、例数だけでなく失敗の帰趨を含めて公開するのである。そして医療界、患者側、病院管理者、学者、為政者に麻酔科領域の失敗の現実を曝して、そのうえで関係者全員で不必要な失敗を起こさぬ方法を見出す作業を行うのである。失敗学とは、失敗の特性を分析し、不必要な失敗を繰り返さないよう、新たな知識、技術、環境を構築する科学的学問体系であるが、この失敗学を医療の世界に導入すると、不適切医療サービスの発生にどのような影響を与えるであろうか。本稿では、医療における失敗学を仮に“医療失敗学”と名づけて体系化を試みている。
著者小川 龍(NMS)
出典麻酔
発行年月日2003
巻号0052
ページ
言語日本語
登録キーワード他産業、ヒューマンエラー、失敗学、失敗、医療

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