災害防止教訓集の作成



背景


ヒューマンエラー防止のためには、一人ひとりが安全に対する正しい価値観と知識、技能を身につけ、安全な行動ができる人づくりを目指す必要がある。このためには、これまでに発生した事故やトラブルの経験の活用がひとつの重要な手段となっている。過去の事例を参考として誤操作や誤判断に至るプロセスを職場の全員が共有化するなど、安全に対する意識、意欲の高揚を図る安全教育などを通じて、自然に安全な行動ができる人、職場づくりが求められている。


目的


国内原子力発電所で発生したヒューマンエラー事例(J-HPESの分析評価結果等)を参考として、「誤操作」や「誤判断」に至る事象の展開を、ヒューマンファクターの視点(「事象の連鎖」と「背後要因の存在」)から分かりやすく理解することができる教訓集を作成する。


主な成果


ヒューマンエラーは、多くの要素が複雑に絡み合って発生するものであり、ある特定の対策だけで防止できるものではない。したがって、ヒューマンエラー発生の過程を人間行動の視点から理解することが大切である。
このため、国内原子力発電所で経験したヒューマンエラー事例の中から、教訓として相応しいと思われる事例を参考として、これをヒューマンファクターの観点から、
『事象の連鎖』?トラブルは、いろいろな小さなミスの積み重ねで起こる
『背後要因の存在』?そのミスの原因には、いくつもの背後要因が複雑に絡んでいる
という、二つの図式で表現した教訓集を作成した。本教訓集の特徴は以下の通り。

・ ヒューマンエラー事例の内容を端的に表現した表題(教訓)
・ 事象の連鎖(時間経過)を多数のイラストにより表現
・ 実機発電所の作業環境を模写したリアルなイラスト
・ ヒューマンエラー発生に至る「推定原因」と「背後要因」の対応
・ 「ヒューマンエラー防止対策」ならびに「類似事例」の記述
・ 種々の安全活動に利用可能なバインダー形式の編集
・ ヒューマンエラー事例の索引がしやすい「作業別」および「現象別」の目次



(図1)


(図1)