MMSを応用した運転訓練システムの開発



背景


近年、プラント基数の増加や直体制の見直しにより、運転員増が予想され、一貫した原理原則に基づいた質の高い訓練システムを構築する必要がある。当所では、マン・マシン・シミュレータ(MMS)を開発し、異常対応時のチームの認知過程や行動をダイナミックに模擬できるシステムが完成し、運転訓練システムへの応用が可能となった。


目的


MMSにより模擬した運転員の行動をビジュアルに提示することにより、運転員に異常時の標準的なふるまいを理解してもらう運転訓練システムを開発する。この訓練システムでは、運転員のふるまいとして、読み取った計器、操作履歴やコミュニケーションを呈示するとともに、行動の背景となる知識も同時に教示することができる。


主な成果


(1)運転訓練センターでの訓練事項を想定すると、①3次元のCG利用による臨場感向上、②フルスコープに近いプラントシミュレータ採用、③実際の訓練に使用されている多重故障を訓練対象事象に採用することが必要である。このため、図1に示すシステム構成とし、訓練シナリオを生成する「教材作成部」と人間挙動および制御盤の変化を既存の3次元CGプログラムで再現する「ビジュアル表示部」から構成した。

(2) 運転チームを構成する個々の運転員のふるまいを3次元CGで再現するため、18種類の基本動作を抽出し、これらの組み合わせでほとんどの運転員の行動場面を表現した。また、制御盤を含む中央制御室全体を3次元CGで忠実に再現した。この制御室内で上記の運転員挙動と合成して表示することが可能であることを示した(図2参照)。

(3)多重故障時の運転員の対応過程を記述したシナリオを前述のMMSでシミュレーションするとともに、運転のエキスパートの知見を反映して、さらに現実に近いふるまいをするように、シナリオを編集した。これにより、運転訓練場面で利用できる教材を生成できることが確認された。




(図1)


(図2)