電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

C16009

タイトル(和文)

塗装すべき経年鉄塔の選定に役立つ画像処理技術の開発-空撮画像からの鉄塔抽出手法の開発-

タイトル(英文)

Image Processing Techniques for Selection of Aging Towers to be Painted-Tower Extraction from Aerial Image using 3D Model-

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背 景
電力会社では鉄塔の寿命延伸のため、膨大な数の鉄塔の中から錆の進行度合いが進んだ鉄塔を選定し防錆塗装を行っている。錆の進行度合いは、昇塔して撮影した鋼材の色味で判定することが多いが、鋼材撮影に時間を要し、錆の判定が個人の主観に依存するという課題がある。そこで、ヘリ等で空撮した画像を用い、ICT を活用して錆の進行を客観的に把握する取組みが開始されている注i)。2025 年頃には、経年50 年を超える鉄塔が半数を超えることから[1]、塗装すべき鉄塔の選定作業が効率良く行える手法を、早急に確立しておく必要がある。

目 的
塗装すべき鉄塔の選定作業の効率化を目指し、空撮画像を用いた場合の課題を明らかにするとともに、主要な課題を解決する画像処理技術を開発する。

主な成果
1.空撮画像を用いた鉄塔選定作業における自動化状況の課題の抽出・整理
既存の鉄塔選定作業と自動化状況、および将来的に利用が想定されるUAV 注ii)を撮影に用いた場合について課題を抽出・整理した(表1)。いずれの場合でも、空撮画像からの鋼材部分の抽出が自動化のボトルネックとなっている。また、人が介在する作業があるため、一つの鉄塔に対し判定に使える画像枚数は1枚のみである。一方、UAVを利用することで、鉄塔を多方向から自由に撮影できることから、判定に使える画像枚数の制約が無くなることも考えられる。さらに、複数枚の画像から撮影対象の三次元情報を取得できるため、UAV から鉄塔までの距離を手掛かりに鉄塔を自動抽出できる可能性
がある。
2.空撮画像からの鉄塔鋼材部分の抽出法の提案
選定作業のボトルネックとなっている、鋼材部分の抽出を効率化する方式を検討し、空撮画像を用いて評価した。鉄塔の構造計算時に作成する三次元モデルを用いて、1 枚の空撮画像から鉄塔を抽出する方式を考案した。この方式では、鉄塔の特徴的な箇所(腕金端部と、主柱材と水平材の接合部)を作業者が空撮画像中に指定することで、三次元モデルを重ね合わせ、鋼材部分を抽出する(図1)。鉄塔2 種(66kV、500kV)の空撮画像に考案方式を適用し、いずれも鋼材部分の90%以上を抽出できることを確認した(表2)。

今後の展開
考案した鉄塔鋼材部分の抽出方式を改良し、電力会社の現場で活用される実用的なツールの開発を目指す。

概要 (英文)

When deterioration rank of a tower in an aerial image is determined by image processing techniques, the tower is extracted from the image at first. 3D model is prepared before the tower's structural calculation is carried out. If the 3D model of the tower is superimposed on the tower in the aerial image, components on the 3D model must be on parts of tower image in the aerial image. Nine Points, which are on the vertexes of horizontal panel of the tower in the aerial image and other points of edges of cross-arms of the tower in it, are used, and all points determine where all components on the 3D model are superimposed on the aerial image. Distance between the head of the tower and the foot of the tower is long. If the nine points are not next to each other, the components are not superimposed. This means nine points, which are next to each other, should be selected. In this case, the components next to the points are superimposed accurately, but other components far from the points are not superimposed accurately. Thus, we propose superimposition by space division. The nine points are selected as neighboring points in all of the vertexes of horizontal panel of the tower and other points of edges of cross-arms of the tower. The selection creates some sets of nine points. Each set makes a superimposed image and these images are integrated as one superimposed image. The accuracy of displacement between the 3D model and the tower in the image is more than 90%. This means the extraction method is capable of extracting the tower from the aerial image.

報告書年度

2016

発行年月

2017/06

報告者

担当氏名所属

石野 隆一

エネルギーイノベーション創発センター デジタルトランスフォーメーションユニット

キーワード

和文英文
鉄塔 Tower
Rust
塗装 Painting
画像処理 Image Processing
ホモグラフィ Homography
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