財団法人 電力中央研究所

電力中央研究所 研究報告書(電力中央研究所報告)
[CRIEPI Research Report]

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研究報告書 詳細情報
[Detailed Information]

報告書番号 [Report Number]
Q16001
タイトル
市販小型リチウムイオン電池の長期運転試験による劣化解析
[Title]
Degradation analysis of long-term test in commercial lithium-ion batteries
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
リチウムイオン(Li-ion)電池は、その用途に応じて正極、負極に様々な電極材料が用いられる。定置用途にLi-ion電池を適用する場合、20年程度の寿命が要求されるため、使用する電極材料に起因する容量低下要因を把握することは、長寿命化を目指した運用方法を実現するうえで重要である。当所ではこれまでに、電気自動車、定置用途に先行的に普及しているMn系正極/炭素系負極の容量低下要因を明らかにしてきた1)。Li-ion電池の定置用途への本格展開には、より長寿命が期待できる電池系の選定が必要である。
目 的
各種Li-ion電池のうち、正極・負極材料の寿命特性改善が期待できる市販Ti系電池および、Fe系電池(表1)を対象に、各運転条件(温度、充放電速度、充電状態)で長期寿命特性を比較する。また、各電池系について有効な劣化要因解析手法を選定し、容量低下要因を明らかにする。
主な成果
1. 充放電サイクル特性の温度依存性
いずれの電池系も1時間率1)の充放電条件では、1サイクル/日換算で約19年分に相当する7000サイクル後に78%以上の容量維持率2)を示し、長期運用可能な電池系であること、試験期間中に容量低下傾向に急激な変化がないことから、短期間での寿命外挿が適用可能であることがわかった(図1)。このうちTi系電池は、試験温度を25℃に維持することにより最も長寿命が期待できる一方、Fe系電池は、運転温度によるサイクル特性の影響が小さい特徴を有することを明らかにした。
2. 45℃運転条件でのサイクル特性と運転条件との関係
最も容量低下の大きい45℃運転条件にて、7000サイクル後における性能を比較した結果、Ti系電池はFe系電池と比べて速い充放電条件で容量低下傾向が顕著な一方、Fe系電池の容量維持率は、充放電速度に依存せずほぼ一定値を示した。
3. 各電池系に有効な劣化要因解析手法の選定
電池を構成する正負極材料の特性をもとに劣化解析法を検討した結果、Ti系電池は、正極の放電時熱挙動、Fe系電池は、負極の充電時電圧挙動を指標にすることにより、非破壊で劣化要因を解析可能であることを明らかにした。
4. 各電池系の容量低下要因
Ti系電池の容量低下は、正極の可逆容量低下に起因することを、放電時の正極反応に起因する温度変化の解析から明らかにした(図2)。正極の容量低下が分極の増大をもたらし、速い充放電条件で電池容量低下に影響したと推定される。Fe系電池の容量低下は、負極でのLi消費による正・負極運用域ずれが主因である一方、正極容量は低下せず、分極抵抗は試験後に低減した(図3)。Fe系電池が試験後にも良好な出力特性を示したのは、正極の分極抵抗低減に起因すると考えられる。
[Abstract]
Long term cycle and storage tests are applied in two types of lithium-ion batteries. We selected 3 cylindrical battery consisted of LiFePO4 cathode and Graphite anode (nominal capacity: 3 Ah), and prismatic batteries consisted of LiCoO2 cathode and Li4Ti5O12 anode (nominal capacity: 4.2 Ah). Each battery systems exhibited superior cycle and storage performance with over 78 % capacity retention after 7,000 cycles or 660 days at 25, 35, and 45 ºC condition. In the LiFePO4 / Graphite system, capacity fade was mainly due to the Li consumption at the anode. In addition, LiFePO4 itself did not degrade after cycle or storage but surprisingly enhanced rate properties. On the other hand, capacity fade in the LiCoO2 / Li4Ti5O12 system was derived from the capacity fade of cathode side, which also caused a decrease in fate properties.
報告書年度 [Report's Fiscal Year]
2016
発行年月 [Issued Year / Month]
2017/04
報告者 [Author]

担当

氏名

所属

小林 陽

材料科学研究所 電気化学領域

加藤 尚

材料科学研究所 電気化学領域

宮代 一

材料科学研究所

キーワード [Keywords]
和文 英文
リチウムイオン電池 Lithium-ion Battery
Fe系正極 Fe-based cathode
Ti系負極 Ti-based anode
SEI Solid Electrolyte Interphase
構造相転移 Phase Transition
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