電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

Q16003

タイトル(和文)

火力発電設備の状態監視のための無線センサネットワークの構築 ― 第一報 920MHz帯マルチホップ無線センサネットワークの試作 ―

タイトル(英文)

Sensor Networks Wireless Communication for Condition monitoring of Fossil Fuel Power Systems - Part I: Prototyping of 920 MHz Multihop Wireless Sensor Networks -

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背 景
無線センサネットワークは、デバイスに搭載されたセンサが取得した情報を無線通信により収集し、処理、制御、管理を行うシステムであり、様々な用途に利用されている。国内の無線通信において、サブGHz に分類される920MHz 帯は、2012年7月より解禁された周波数帯であり、従来のWi-Fi で使用されている2.4GHz帯と比較して通信距離が長く、回折性が高く、電力スマートメータなどに用いられている。火力発電設備に対する状態監視においても920MHz 帯の無線通信を利用したセンサネットワークへの関心が高まりつつある。
目 的
920MHz 帯マルチホップ無線通信の通信距離を調査し、センサネットワークおよび複数のセンサを実装したデバイスを試作する。
主な成果
1. 無線通信距離の調査
見通しの良い通信環境においてWi-Fi の通信距離は100m 程度であるのに対し、IEEE802.15.4g に準拠した920MHz 帯無線通信モジュールを採用することで、マルチホップ通信をせずに1 km の通信が可能であることを確認した(図1)。
2. センサネットワークの試作
デバイス(センサを実装した無線子機)と、デバイスから送信されたセンサ情報を3G回線によりクラウドストレージに保存するための基地局から構成される無線センサネットワークを試作した。温湿度センサを実装したデバイスおよび基地局(図2)を屋外に設置し(図3)、3 通りの通信ルートにおいて、それぞれ太陽光発電による電力供給にて15 日間連続で通信を行い、データの欠損が発生しないことを確認した。
3. 複数のセンサを実装したデバイスの試作
無線モジュールとシングルボードコンピュータに近赤外および遠赤外線カメラなどを実装したデバイスを試作した(図4)。実効的な通信速度からファイルサイズが100kbytes程度の静止画像を1 分あたり5 枚送受信できることを確認した。
今後の展開
試作したセンサネットワークを火力発電所に設置し、長期にわたって通信状態を観測する。また、920MHz の省電力広域ネットワーク無線通信方式の1つであるLoRa方式によるセンネットワークも構築する。

概要 (英文)

In recent years, the range of wireless sensor network technologies has expanded rapidly, whereas devices have become cheaper. This has led to a rapid expansion in condition monitoring of systems, structures, and machinery. Condition monitoring reduces human inspection requirements through automated monitoring, reduces maintenance through detecting faults before they escalate, and improves safety and reliability. This paper presents a prototype system of wireless sensor networks using 920 MHz multihop wireless modules, which have better coverage and range than Wi-Fi, for condition monitoring of machinery in fossil fuel power stations in order to reduces human inspection requirements. In this prototype, communication settings of wireless module such as data rate and network topology can be changed by remote control.

報告書年度

2016

発行年月

2017/04

報告者

担当氏名所属

福冨 広幸

材料科学研究所 構造材料領域

朱牟田 善治

地球工学研究所 地震工学領域

キーワード

和文英文
火力発電設備 Fossil Fuel Power Systems
保守技術の省力化 Work Saving of Repair and Maintenance
センサネットワーク Sensor Networks
サブGHz無線通信 Sub Gigahertz Wireless Communication
マルチホップ無線方式 Multihop Wireless Networks
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