財団法人 電力中央研究所

電力中央研究所 研究報告書(電力中央研究所報告)
[CRIEPI Research Report]

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研究報告書 詳細情報
[Detailed Information]

報告書番号 [Report Number]
Q16008
タイトル
小型試験片を用いた原子炉圧力容器鋼の熱起電力測定技術の開発 −脆化に伴うミクロ組織変化と熱起電力の関係−
[Title]
Development of the thermoelectric power measurement technique for reactor pressure vessel steels using small test specimens - Relation between thermoelectric power and microstructural change relevant to embrittlement -
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
原子炉圧力容器(RPV)では定期的に監視試験を実施し、主としてシャルピー衝撃試験によって中性子照射脆化に対する健全性が確認されている。監視試験は通常、全運転期間で数回行われるが、小型の試験片を繰り返し利用できる簡易評価法が開発できれば、より頻繁に、また長期にわたってRPVの健全性を確認できる可能性がある。脆化の簡易評価ができる可能性のある方法として、熱起電力(測定箇所に温度差を与えた時に生じる電位差)の変化により脆化の主な要因であるミクロ組織変化を捕える手法がある(図1)。熱起電力測定法は、これまで試験片寸法を含め様々な測定条件により適用が試みられてきたが、試験済みの監視試験片を再利用できるような小型の試験片を対象とした研究例は見当たらず、また熱起電力と脆化を左右するミクロ組織変化との対応は必ずしも明らかになっていない。
目 的
RPV鋼の脆化評価を対象とした小型試験片による熱起電力測定条件及びプロセスを確立するとともに、熱時効したRPVモデル合金および中性子照射したRPV鋼の熱起電力測定に適用し、熱起電力とミクロ組織変化の関係を調べる。
主な成果
1. 小型試験片を用いた熱起電力測定技術の開発
監視試験片から採取可能な小型試験片(0.3 x 0.3 x 10 mm3など)を用いて、熱起電力が室温で±3%程度以内の精度で測定できることを確認した。熱時効や中性子照射による熱起電力の変化は測定精度に比べて十分大きく検出可能であった。
2. 熱時効材及び中性子照射材への適用とミクロ組織変化との対応
1) 熱時効したモデル合金では、ゼーベック係数(温度差1 Kあたりの熱起電力)は時効時間とともにほぼ単調に増加した(図2)。純鉄の値との比較から、溶質原子の影響が小さくなる振る舞いであり、溶質原子がクラスターに集積することでマトリックス中の溶質原子濃度が減少することを反映していると考えられる。
2) 中性子照射したRPV鋼でもゼーベック係数は照射とともに増大したが、材料によってはさらに照射を進めることで減少に転じる傾向も見られた。クラスター生成の他の要因の検討が必要である(図3)。
3) 測定した範囲においては、全ての材料のゼーベック係数の変化量と、硬化量や遷移温度上昇量との間に相関があることが分かった(図4, 5)。
[Abstract]
We investigate the applicability of thermoelectric power (TEP) measurements to embrittlement monitoring of reactor pressure vessel (RPV) steels using small test specimens for the purpose of developing non-destructive inspection of RPV steels. We successfully measure TEPs using 0.3 x 0.3 x 10 mm3 size specimens most commonly prepared for atom-probe tomography, and find enhancement of TEPs in both cases of thermal aging of model alloys and neutron irradiation for RPV model steels. This behavior looks approaching the property of pure Fe, and is consistent with the cluster formation that reduces the concentration of solute elements in matrices. In addition, relatively good correlation between TEP change and Vickers hardness change after thermal aging or irradiation is observed.These results suggest that we could detect the change of mechanical properties of RPV steels using non-destructive TEP measurements, and for more practical use of TEP, data accumulation of various RPV materials is highly desired.
報告書年度 [Report's Fiscal Year]
2016
発行年月 [Issued Year / Month]
2017/04
報告者 [Author]

担当

氏名

所属

小宮 世紀

材料科学研究所 電気材料領域

西田 憲二

材料科学研究所

野本 明義

材料科学研究所 構造材料領域

土肥 謙次

材料科学研究所 構造材料領域

キーワード [Keywords]
和文 英文
熱起電力 Thermoelectric power
小型試験片 Small test specimens
熱時効 Thermal aging
中性子照射 Neutron irradiation
溶質原子濃度 Solute concentration
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