電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

V08020

タイトル(和文)

遺伝子情報を用いたカワヒバリガイ幼生の定量的検出法の開発

タイトル(英文)

Molecular-based quantitative detection method for the larvae of golden mussel Limnoperna fortunei

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

カワヒバリガイは利水施設に大量に付着し, 水質悪化, 導水管の水量の低下や閉塞などの被害を引き起こしている. 本種の生態を明らかにする上で, 浮遊期幼生の発生動態に関する知見は極めて重要であるが, 報告例は少なく, また効率的なモニタリング手法はない. 当所ではこれまでに, 臨海発電所で汚損被害をもたらすフジツボ類の幼生をリアルタイムPCR法により迅速簡便かつ定量的に検出する技術を開発した. そこで本研究では, リアルタイムPCR法を用いたカワヒバリガイ幼生の定量的検出技術の開発を行った. カワヒバリガイおよび各種付着性二枚貝類のミトコンドリアDNAの部分塩基配列を解析した. 解析した塩基配列に加えて, データベースに登録されている付着性二枚貝類の塩基配列情報を基に, カワヒバリガイに特異的なプライマーセットを設計した. 設計したプライマーセットを用いたPCRでは, カワヒバリガイ由来のDNAを鋳型とした場合においてのみDNA断片の増幅が認められ, また電気泳動におけるDNAバンドの濃淡は鋳型DNA量に依存し変化した. カワヒバリガイ成体および幼生由来DNAを鋳型としたリアルタイムPCRによる定量的解析を行ったところ, 推定された鋳型DNA濃度は, 添加した鋳型DNA濃度と高い相関性を示し, その相関係数は何れの場合も0.98以上であった. 以上の結果から, 本手法により幼生数の計測が可能であることが示唆された.

概要 (英文)

The golden mussel Limnoperna fortunei is an invasive freshwater bivalve species. Recently, the mussels cause various problems by gregarious settlements at the dam and aqueduct of hydroelectric power station in Japan. Real-time polymerase chain reaction (real-time PCR) is recognized as one of the effective tools for the detection of planktonic organisms. In the present study, we analyzed partial nucleotide sequences of mitochondrial cytochrome c oxidase subunit 1 (CO1) gene region of several bivalve species including L. fortunei. Homology search was conducted with EMBL/Genbank/DDBJ databases, and the nucleotide sequences of CO1 gene from bivalves which are similar to L. fortunei were detected. These sequences were aligned using CLUSTAL X algorithm. Then the specific sequence was selected for L. fortunei, and pair of specific primers was designed for amplification. The primer set was used to amplify CO1 region of several mussel species, and amplification of the DNA fragment was confirmed only in PCR which used a template DNA from L. fortunei. Moreover, DNA fragments were not amplified with other plankton species sample which collected from Lake Ohshio, Gunma, Japan. Real-time PCR was performed using fluorescent dye (SYBR Green) detection. Threshold cycles of real-time PCR were well correlated with the concentration of template DNAs and the R-square value of the standard curve was 0.98. Therefore, the real-time PCR method is considered to be applicable to quantify the DNA from L. fortunei.

報告書年度

2008

発行年月

2009/04

報告者

担当氏名所属

遠藤 紀之

環境科学研究所 生物環境領域

野方 靖行

環境科学研究所 生物環境領域

中野 大助

環境科学研究所 生物環境領域

小林 卓也

環境科学研究所 生物環境領域

キーワード

和文英文
カワヒバリガイ Limnoperna fortunei
幼生 Larva
定量 Quantification
ポリメラーゼ連鎖反応 Polymerase chain reaction
リアルタイムPCR Real-time polymerase chain reaction
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