財団法人 電力中央研究所

電力中央研究所 研究報告書(電力中央研究所報告)
[CRIEPI Research Report]

研究報告書 詳細情報
[Detailed Information]

報告書番号 [Report Number]
Y06019
タイトル
政府エネルギー技術開発プロジェクトの分析−サンシャイン・ムーンライト・ニューサンシャイン計画に対する費用効果分析と事例分析−
[Title]
Analysis of government-sponsored energy R&D projects: Lessons from Sunshine, Moonlight, and New-Sunshine Programs
概要
日本は新エネルギー・省エネルギーについて大規模な国家技術開発プロジェクト(国プロ)を実施してきた。また今後、温暖化対策においてエネルギー技術開発の役割はますます重要になる。そこで、代表的な国プロであるサンシャイン計画、ムーンライト計画、ニューサンシャイン計画について、費用効果分析と事例分析を通じて、これまでの成果を総括し、国プロを今後より効果的なものとするための示唆を得ることを目的とした。主な成果は以下の通りである。
1)政府は、長期間にわたり大規模で安定した研究開発費を投じてきた。上記の計画に含まれる23の国プロに対する政府予算は、総額1兆4千億円に上る(1974〜2002年累積、2002年価格、導入普及対策費を含む)。これは、1980年代以降、OECD諸国でエネルギー研究開発費が減少傾向であったことと対照的であり、日本の国プロの特徴となっている。
2)国プロによる省エネ効果とCO2効果を概算した(表)。その結果、実用化に結びついた10の国プロによる省エネ効果およびCO2削減効果で23の全ての国プロへの投資額を除すると、それぞれ約6万円/kLおよび2万円/t-CO2となった。これは、近年の原油価格およびCO2価格よりも高い水準であるものの、これら技術開発の成果は今後も活用されることや、多様な波及効果を考慮すると、国プロの費用対効果は、全体として見ると概ね妥当であったと評価できる。
3)大きな省エネ・CO2削減効果を上げた国プロは、少数であり、既存技術の改善や導入普及に重点を置いたものだった。他の国プロは、現段階であまり大きな効果を挙げていないが、これらの多くは新規技術の開発を目指した野心的なプロジェクトであった。ポートフォリオとして両者を含むことは、国プロ全体としては適切であったと考えられる。
4)23の国プロのうち8件を取り上げて事例分析を行った結果、国プロは太陽光発電やガスタービンといった国際競争力のある産業形成のベースとなってきたことがわかった。また、実用化にいたらない国プロであっても、政府が導入目標などの形で政策の方向性を示し、継続的な技術開発の枠組みを用意することによって、当該技術の市場形成への期待を醸成し、企業や研究機関による開発投資や技術・ノウハウの蓄積を促す効果があった。
5)今後の国プロ設計においては、特に以下の点について、本稿の8件の事例の経験に基づいて検討することが必要である。
(ア)民間の事業主体が存在するか: 実用化には国プロ後の継続的な民間投資が必要であるため、事業化を真剣に考えている民間企業の参加が求められる。事業主体が存在しない場合、技術が開発されても、実用化に結びつきがたい。
(イ)段階的な実用化戦略(ニッチ市場戦略)はあるか: 最終的な目標が20〜30年後の商用化であり、短期的な市場導入がない場合、民間企業は参加を継続することが難しい。5年、10年といった短い時間を区切り、技術達成目標のみならず、途中段階で小規模なニッチ市場向けの商品化目標を設定し、それを飛び石として徐々に大きな市場につないでいくことが望ましい。

表 サンシャイン・ムーンライト・ニューサンシャイン計画の費用対効果(1974年〜2002年)(略)
*) ここでの効果推計は,次の3点で保守的な見積もりとなっている.”床全間を2002年までとしているが,実際にはこれ以降も効果は発生する.現段階で実用化が見られないプロジェクトから,今後何らかの技術が実用化し,効果を発生する可能性がある.9颯廛蹐砲麓騨儔衆奮阿砲癲づ該技術に対する企業や研究所の投資促進や人材育成,基盤知識形成といった波及効果があると考えられるが,ここでは考慮していない.
[Abstract]
This report examines Japanese experiences on governmental long-term energy R&D programs: Sunshine, Moonlight, and New-Sunshine Programs, in order to assess the over all outcomes of the programs and get insights for future projects. First we review the history of energy R&D programs in Japan and show that the governmental investment in new energy technologies and energy efficient technologies has been substantial and stable for more than 30 years, which is in stark contrast with the declining trend of energy R&D budgets in other OECD countries. Then we conduct a cost-effectiveness analysis on the projects included in these programs, and show that 10 out of 23 projects succeeded in commercialization and achieved certain amount of energy savings and CO2 emission reductions, which seemed to pay off the entire investments for the all projects. Finally we conduct qualitative case studies on selected projects, and find three critical factors for successful commercialization: existence of private entities that will invest in the technology even after the government-sponsored project; existence of early users and niche markets that enable developers to maintain long-term R&D investments; and proper commitments by the government to induce enough private interests in the technology.
報告書年度 [Report's Fiscal Year]
2006
発行年月 [Issued Year / Month]
2007/04
報告者 [Author]

担当

氏名

所属

木村 宰

社会経済研究所 地域経済・エネルギー技術政策領域

小澤 由行

社会経済研究所 地域経済・エネルギー技術政策領域

杉山 大志

社会経済研究所 地域経済・エネルギー技術政策領域

キーワード [Keywords]
和文 英文
温暖化防止 Climate change
技術開発 Technology development
技術政策 Technology policy
費用効果分析 Cost-effectiveness analysis
事例分析 Qualitative case studies
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