財団法人 電力中央研究所

電力中央研究所 研究報告書(電力中央研究所報告)
[CRIEPI Research Report]

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研究報告書 詳細情報
[Detailed Information]

報告書番号 [Report Number]
Y07021
タイトル
市場からみた原子燃料の供給保証構想 −現状と課題−
[Title]
Supply Guarantee Initiatives for Nuclear Fuel Materials and Services and Their Compatibility with the Market -Present Discussions and Future Prospects-
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
核不拡散条約(NPT)の下での体制の脆弱化が懸念される中で、国際原子力機関(IAEA)を中心に、原子燃料の供給保証構想に関する議論が進行中である。これは、市場の透明性を高めることにより原子力利用の信頼性を高め、今後原子力を導入する新興諸国の参入を容易にすると同時に、理想的には機微な燃料サイクル施設・能力の拡散を最小限にする狙いがある。本稿は、原子燃料の供給保証構想に関する最近の議論を、原子燃料サイクルの燃料物質及び加工サービスの市場の集中度や今後の競争状況の観点から分析し、これらの市場への障害を最小限とする制度のあり方についての示唆を得ることを目的とする。主な成果は以下のとおり。
近年、IAEAを中心に、原子燃料供給保証と核不拡散に関する様々な提案が提示された。それらは、a) ある主体及びその運営する施設において実際の物質あるいは設備容量を供給保証目的専用に常備する「特定主体による供給保証」、b) 複数主体が協調し、通常は一般の顧客向けに操業している施設や貯蔵物資を緊急時に放出する「集団的供給保証」、c) 事前には金融的な措置・手段のみを講じておき、緊急時には取り崩し資金で市場から燃料物質(ないし代替燃料)を調達して提供する「金融措置」に大別される。
原子燃料サイクル各部門の市場構造において、ウラン濃縮分野を除いては、適切なレベルの多様化と競争が確保されているか、もしくは部門自体の重要性が低く、現状では市場支配力の不均衡を懸念しなければならない強い理由は見あたらない。今後10年程度の時間範囲においては、ウラン濃縮市場の動向に加えて、天然ウラン市場における再編の動き(合併による市場シェアの変化)、成型加工市場における新規参入とスイング生産能力の確保、及び部門間の垂直統合の進展等が、今後を左右する分岐点として注目される。
以上の観察から、原子燃料供給保証が受容国からみて魅力あるものとなるための条件として、以下の「2段階アプローチ」を指摘した。
・ 第1段階:当面の導入と試行を目指す制度としては、NPT第4条「平和利用の権利」に抵触しない「弱い」供給保障、すなわち集団的供給保証もしくは金融措置であり、かつ市場に過度の撹乱を及ぼさないものとし、試行により国際的な制度運用の経験と同時に、賛同する国を増やして行く努力が求められる。
・ 第2段階:機微技術の自国開発を自主的に思いとどまらせるための体制づくりを目指す。そこでは、条約などによる「禁止」ではなく、市場と国際協調に基づくセーフティネット機能に依存することが経済合理性を持つよう、逆に言えば自主開発が経済競争力を持ち得ないとの明確かつ決定的な判断が成立するよう、コアとなる原子力技術の研究開発を加速推進すべきである。
今後の課題として、天然ウラン価格の急騰や、ウラン濃縮設備の拡張・新規設置の動向など、市場支配力に大きな影響を及ぼす要因の動向をはじめ、原子燃料サイクル各市場の状況を引き続き観察していくとともに、潜在的需要国の意向や核拡散リスクへの抑制効果も加味した総合的な制度設計の考察を深めていく。

[Abstract]
Under the weakening NPT (Non-Proliferation Treaty) regime, a number of proposals and initiatives for nuclear fuel supply assuarance and guarantee mechanisms have been brought on the agenda of international discussions and negotiations. This report first discusses where and why those ideas came out, and then turn to the current situations of markets of nuclear fuel materials and services in terms of degree of market concentration to specific suppliers. Based on those observations, the author attempts to draw a comparison among the proposed schemes in order to examine possible steps forward that pose least possible influences advserse to the individual markets and thereby could better attract possible recipient states' interests.
As a result, a two-step approach might be found useful to implement and promote those ideas; i.e. 1) in a short-run, a 'soft' scheme which never interfares NPT signatories' right of peaceful development and use of nuclear power could be set and implemented, and 2) in a long-run, R&D efforts should be undertaken to create a sufficient economoic margin so that potential recipient states may lose justification of self-development of nuclear fuel cycle technologies and businesses when compared with those services provided by foreign sources attached with a sufficient degree of supply assuarances.
報告書年度 [Report's Fiscal Year]
2007
発行年月 [Issued Year / Month]
2008/05
報告者 [Author]

担当

氏名

所属

長野 浩司

社会経済研究所 エネルギー技術政策領域

キーワード [Keywords]
和文 英文
原子力 Nuclear Energy
原子燃料 Nuclear Fuel
供給保障 Supply Guarantee
市場集中度 Market Concentration
市場支配力 Market Power
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