財団法人 電力中央研究所

電力中央研究所 研究報告書(電力中央研究所報告)
[CRIEPI Research Report]

研究報告書 詳細情報
[Detailed Information]

報告書番号 [Report Number]
Y08028
タイトル
貿易に体化したCO2排出量−日本・中国・米国・英国の国際比較−
[Title]
CO2 Emissions Embodied in Trade - International Comparison of Japan, China, US and UK -
概要
温暖化防止のための国内対策が本格化するにつれ、先進国と、いまだ対策を行っていない国(途上国)との間に生じる、国際競争力上の不公平の問題がクローズアップされるようになった。この問題と表裏一体にあるのが、中国やインドなどの成長著しい途上国への生産移転に伴うCO2排出源の移転(カーボンリーケージ)の増加である。2009年のCOP15に向けて、議長国であるデンマーク政府は、貿易に関連して重点的に検討が必要な6つの項目のひとつとして、貿易に体化したCO2の国際移動を取り上げるとしている。
そこで本稿では、今後、議論の加速が予想される貿易に体化したCO2の国際移動について、日本、米国、英国、中国の4か国についての現状(規模、趨勢や特徴など)をデータから把握する。分析の結果明らかとなったのは以下のとおりである。
(1)マクロベースの推計
国全体のマクロ経済ベースの推計結果から、1991年以降の貿易財に体化した CO2 排出量の純輸入を推計した。特に、2000年以降の増加が著しいことがわかった。その規模は、2005 年時点で国内排出量に対して、英国が44%、日本が38%、米国が20%と、顕著な大きさである。他方で、2004年時点で中国の国内CO2排出量のうち27%は、輸出するために誘発されたものであった。
(2)産業ベースの推計
.┘優襯ー集約産業として、鉄鋼産業について、1990年以降の貿易に体化したCO2排出量を推計した。推計の結果、日本と中国では、輸出向け国内生産からCO2の排出が誘発され(2005年の国内排出量に対して日本で11.0%、中国で5.5%の純輸出)、対照的に英国と米国では、輸入によって海外でのCO2の排出を大規模に誘発している(2005年の国内排出量に対して英国で38.4%、米国で33.4%の純輸入)。
▲┘優襯ー非集約産業として、繊維産業について、1990年以降の貿易に体化したCO2排出量を推計した。先進国(日本、米国、英国)では、国内を大きく上回る規模で海外でのCO2排出を誘発しており(2005年の国内排出量に対して日本で200.2%、英国で115.9%、米国で58.1%の純輸入)、逆に中国では輸出のために多くのCO2を排出(2004年の国内排出量に対し33.5%の純輸出)している。
A^櫃氾換櫃陵入に体化したCO2排出量を比較すると、繊維輸入によって、日本ではほぼ鉄鋼と同程度、英国では鉄鋼の5割程度、米国でも鉄鋼の3割程度のCO2が海外で排出されている。エネルギー非集約産業においても、繊維製品のように、途上国への生産移転が進んだ産業では、輸入品に体化した多くのCO2排出量を輸入していることがわかった。
英国や米国などの先進国では、製造業の衰退によって国内の排出が鈍化していても、その消費活動を通じて、中国や日本などの製造業諸国の排出を増加させ、世界全体では排出を増やしている。日本は、豊かな先進国として他国の排出量を誘発している一方で、製造業国として他国の消費のために誘発される排出があるという二面性を持っている。
[Abstract]
This report summarizes recent international transfer of CO2 emission embodied in trade in Japan, China, US and UK. In particular we focused on the period after the year 2000, when drastic changes in trade structure has taken place since BRICS countries have emerged.
We estimated net imports of CO2 emission embodied in traded goods after 1991 based on aggregate data of each country, which have increased significantly after the year 2000. UK imported as much as 44%, Japan, 38%, US, 20%, respectively, of the domestic emission at 2005: meanwhile, 27% of domestic emission in China in 2004 was induced by its export.
We estimated CO2 emission embodied in trade of steel industry after 1990 as a typical energy-intensive industry. In Japan and China, CO2 emission was driven by domestic production for exports. UK and the US, in contrast, increased much CO2 emission abroad by their imports. Then, we also estimated CO2 emission embodied in trade of textile industry after 1990 as a typical energy-non-intensive industry. The developed countries, Japan, the US and UK, induced more CO2 emission abroad than that emitted at home. Accordingly, in 2004, China exports 33% of domestic CO2 emission in textile industry.
Although developed countries such as UK and the US slowed down domestic emission due to decline of manufacture, they increased emission in manufacturing countries by its consumption, which led to increase CO2 emission worldwide. Japan has a bilateral character of both importing and exporting countries.
報告書年度 [Report's Fiscal Year]
2008
発行年月 [Issued Year / Month]
2009/05
報告者 [Author]

担当

氏名

所属

星野 優子

社会経済研究所 エネルギー技術政策領域

杉山 大志

社会経済研究所 エネルギー技術政策領域

上野 貴弘

社会経済研究所 エネルギー技術政策領域

キーワード [Keywords]
和文 英文
地球温暖化 Climate Change
輸入品 Import Goods
貿易に体化したCO2 CO2 Embodied in Trade
海外生産 Overseas Production
カーボンリーケージ Carbon Leakage
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