財団法人 電力中央研究所

電力中央研究所 研究報告書(電力中央研究所報告)
[CRIEPI Research Report]

研究報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の研究報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。 ダウンロードの際には、当サイトの利用規約を遵守の上ご利用ください。

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研究報告書 詳細情報
[Detailed Information]

報告書番号 [Report Number]
Y16002
タイトル
暗示的炭素価格とは何か−明示的炭素価格より優れた指標になり得るか−
[Title]
Implicit carbon price - A better metric than explicit carbon price? -
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
温暖化対策の努力水準を国際比較する際に、炭素税や排出権取引、すなわち「明示的」炭素価格が使われることがあるが、それだけでは適切な評価はできない。そこで、規制や自主的取組、補助金等の施策も含めた「暗示的」炭素価格付けを含めて評価すべきとの考えがある。

目 的
暗示的炭素価格の定義や指標を整理するとともに、OECD等による推計例のレビューを通じて、定量化における課題や利用における注意点を考察する。

主な成果
1.暗示的炭素価格の定義と指標
暗示的炭素価格は「明示的な炭素価格(円/tCO2)を有していない規制や補助金等の施策が、CO2排出に対して暗示的に与える炭素価格」と定義される。具体的な指標としては、〆鏝採姪たり費用(全施策の平均削減費用)と排出量当たり費用(施策費用の排出量当たりの負担額)の2つが主に使われている。
2.暗示的炭素価格の定量化における課題
いずれの指標も定量化が容易でなく、既往推計例では推計対象は再エネ支援策が中心であった。省エネ規制や自主的取組を対象とした推計例は存在しなかった。各指標には推計可能性の他にも以下の課題がある。
削減量当たり費用:実効炭素価格(明示・暗示双方を総合した炭素価格)を推計するには、炭素税や排出権取引についても実際の削減量当たり費用を推計する必要がある。また、本指標は基本的には施策の費用効率性を表すが、仮に効率性が低くとも他の政策目的により正当化される場合などがあり、解釈に注意を要する。
排出量当たり費用:FIT賦課金など排出量に対して比例的に反映される部分とそうでない部分があるため、両者の合計値がそのまま価格インセンティブとなるわけではない。
3.暗示的炭素価格の利用について
暗示的炭素価格の利点は、炭素税や排出権取引以外の施策も含めることで評価対象を拡大できる点にあるが、実際の推計では方法論上の制約から一部の施策しか評価できないという限界がある。ただし、排出量当たりの費用は比較的、定量化しやすいため、明示的価格より優れた指標となりうる。さらに、エネルギー小売価格、温暖化対策政府予算、規制・自主的取組等の民間側の遵守費用の3指標を併用することで、暗示的炭素価格で評価したい内容を包含しつつ計測や解釈を容易にすることができる。
[Abstract]
This report focuses on "implicit carbon pricing", a relatively new concept in the field of economics and policy on climate change. While the concept is often referred to in the literature in recent years, its definition and metrics have not been established so far. We define implicit carbon price as a price on carbon emission given by policy instruments without "explicit" carbon prices, such as carbon tax rates and carbon credit prices. We find two major metrics for implicit carbon price: cost per CO2 abated, and cost per CO2 emitted. The first metric has a major difficulty in quantification, making it unavailable for many policy instruments, including energy efficiency standards and voluntary agreements. The second metric is less problematic in quantification, but the concept is more complex. We conclude that, while implicit carbon pricing might be a useful concept in combining various policy instruments not restricted to carbon taxes and emission trading schemes (ETS), quantification of implicit carbon price by either metric is not fruitful for evaluating the role of those non-price policy instruments and for comparing nation's efforts. We propose a set of alternative metrics, namely energy retail price, public spending for climate change mitigation, and private spending for complying regulations and voluntary agreements. They cover what the implicit carbon price would want to estimate and yet are simpler and easier metrics.
報告書年度 [Report's Fiscal Year]
2016
発行年月 [Issued Year / Month]
2017/03
報告者 [Author]

担当

氏名

所属

木村 宰

社会経済研究所 エネルギーシステム分析領域

上野 貴弘

社会経済研究所 エネルギーシステム分析領域

若林 雅代

社会経済研究所 事業制度・経済分析領域

キーワード [Keywords]
和文 英文
炭素価格付け Carbon pricing
暗示的炭素価格 Implicit carbon price
明示的炭素価格 Explicit carbon price
ポリシーミックス Policy mix
エネルギー小売価格 Energy retail price
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