原子力技術研究所 放射線安全研究センター

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電中研報告(生物影響)

近年、低線量放射線が生物の免疫力を活性化したり、生物が本来体に備えている生化学的防御機構が活性化されるなど、様々な報告がなされるようになってきました。しかし、この分野に関してはまだまだわからないことのほうが多いのが実情であり、総合的な研究が急務となっています。

当センタ−では、細胞や遺伝子レベルでの解析、実験動物を使った検証や疫学調査などを行うことにより、低線量放射線生物影響の機構解明に取り組んでいます。

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平成26年度 平成24年度 平成22年度 平成21年度  平成19年度 平成18年度 平成17年度 
平成16年度 平成15年度 平成12〜14年度
センター設立(平成12年10月)以前
【平成26年度】
線量率効果に関する疫学結果とその生物学的機構仮説の調査
年間十mSv程度の極低線量率での放射線リスクを正しく評価することは、社会の不安に応える上でも、また、一般公衆や作業者の放射線防護においても重要である。しかし防護体系では、極低線量率では線量率効果がないものとして扱われ、その根拠となるべき低線量率での科学的知見は限られている。そこで、極低線量率における発がん影響の線量率効果について、疫学的知見と生物学的機構に関する生物学的知見を調査した。リスク増加が観察されない高自然放射線地域疫学結果と、原爆と同程度のリスクを観察したテチャ川流域住民疫学調査の違いは線量率にあると考えられた。両者がともに含まれる極低線量率での線量率効果は、従来の細胞・分子レベルの知見に基づくリスク評価モデルでは説明できないが、幹細胞競合による組織レベルでの遺伝的健全性維持機構に基づく機構仮説では説明可能であると考えられた。その実験的検証に必要な要素を整理した結果、幹細胞競合の有無と線量依存性、損傷を受けた細胞に対する補充の線量率依存性を明らかにすることが重要であることを明らかにした。 報告書全文
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【平成24年度】
低線量放射線による心血管疾患誘発−生物学的機構解明の現状と今後の課題−
国際放射線防護委員会(ICRP)は2012年に放射線の非がん影響に関する刊行物を発表し、従来は数十Gyでの影響とされてきた心血管疾患に対して、最新の疫学的知見に基づいて、しきい値なし線型(LNT)型の線量応答を仮定したリスク推定を行い、0.5Gyのしきい値を新たに設定した。そのリスク推定の問題点を明らかにし、解決にむけた研究課題を抽出するために、低線量・低線量率の疫学的・生物学的知見を分析した。疫学データでは虚血性心疾患が増加する報告が多く、アテローム性動脈硬化が放射線誘発心血管疾患の主要な経路であることが示唆されたが、原爆被ばく者寿命調査では有意な影響が観察されない等、低線量域では報告間にあまり整合性が見られない。また腎障害など他の経路の可能性も残ることもわかった。生物学的機構としては、炎症惹起が最も有力視されているが、低線量では炎症抑制の報告が多いなど知見に一貫性を描いており、さらに線量率に関する知見が不足している。また現状の機構モデルは、短期的で一過性の反応の知見のみに基づいており、長い潜伏期を持つ心血管疾患との関連を説明できる新たな機構モデルが必要である。放射線防護体系への反映における生物学的課題として、放射線が心血管疾患を誘導した場合に疾患発症機序から想定される前駆病理像に着目して、公衆・職業被ばくの被ばく状況を模擬した長期的な慢性照射と低線量分割照射の間の線量率効果の解明が重要であることを明らかにした。 報告書全文
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【平成22年度】
放射線リスク評価における論点の整理
今後の生物学的研究を、放射線リスク評価に繋がるものとするために、現行の放射線防護体系のリスク評価において不確実性を与えている論点を整理・分析して必要な研究課題を抽出した。その結果、防護体系の枠組みや大幅なリスク係数の変更に繋がりうる短中期的な生物学的研究として、‖杙期・小児期の感受性を中心とした年齢依存性、∪量の蓄積性の観点からの線量率効果、,鉢△剖δ未靴寝歛蠅箸靴討痢↓Hがんの標的となる組織幹細胞の同定と動態の解明、および、つ秬量率での非がん影響の有無の検証を、優先的に実施すべき課題とした。さらに今後の研究の方向性として、生物学・疫学・モデル化各分野の連携と、社会的意義を予め検討する規制科学的研究の展開が重要とし、その推進における、異分野間・国際間のインターフェースとなるプラットフォームの設置の有効性を指摘した。そして、科学的知見を規制に反映するロードマップの作成が必要とした。 報告書全文
放射線リスク評価での集積線量の考え方における組織幹細胞ターンオーバー概念の適用可能性
現行の放射線防護体系は、高線量率放射線被ばくによる疫学調査研究をもとに、放射線発がんリスク推定法として、直線しきい値なし(LNT)モデルを採用している。LNTモデルは、組織細胞のDNA損傷や発がん性突然変異が、線量に比例して蓄積することを前提としている。一方、高自然放射線地域住民の疫学調査により、低線量率では放射線発がんリスクが増加しない可能性が示唆されている(線量率効果)。大部分の組織細胞は一定の寿命で消失するため、この線量率効果は組織の中でも長寿命の幹細胞の動態に起因する可能性が考えられる。近年、生命科学で幹細胞研究が進歩し、組織内で幹細胞が入れ替わる「ターンオーバー説」が受け入れられつつある。幹細胞ターンオーバーの機構を検証することで、放射線発がんリスクの標的が線量率によって異なるという概念が構築されれば、放射線影響の蓄積を前提としたLNTモデルの見直しにつながる。そこで、幹細胞動態やターンオーバー解析技術に関する最新の知見について調査し、放射線影響の蓄積性評価における幹細胞研究の適用性を明らかにした。放射線を照射した幹細胞は、非照射の幹細胞と競合しながら組織から排除される報告がある(幹細胞競合)。これは、幹細胞ターンオーバーにより、組織に放射線影響が蓄積しない可能性を示唆している。また、組織幹細胞が持つ特定のタンパク質を標識することで、幹細胞を可視化する技術(図2)を用いると、幹細胞の組織内動態を時系列で追跡できることがわかった。以上の知見より、幹細胞動態を追跡する技術を用いれば、低線量率放射線を受けた組織における幹細胞競合の仕組みを、幹細胞ターンオーバーの観点から解明することができ、幹細胞に放射線影響が蓄積するか排除されるかという課題を解明できる見通しが得られた。今後は組織幹細胞の動態解析を行う研究を進め、ヒトの疫学調査研究で見られる線量率効果のメカニズムを、幹細胞ターンオーバーの観点から明らかにする。 報告書全文
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【平成21年度】
欧州における低線量リスク研究動向の分析
これまでに欧米で低線量放射線影響に関する大規模な研究プロジェクトが行われてきたが、放射線防護体系の裏付けとなるような成果は得られていない。欧州では、個々の科学分野からの積上げでは放射線防護には繋がらないとの反省から、放射線防護体系の科学的な不確かさを減らすには何が必要かという観点で主要課題の整理を行い、長期的視野で国際的・学際的に戦略を共有して研究資源を集約するための研究推進体制が立ち上がりつつある。この新体制は研究を加速するものとして高く評価できるが、取扱が不十分な論点もある。一方欧州には予防措置原則に基づいて規制強化を急ごうとする動きもみられ、生物学的根拠が必要と主張する科学側の声を圧倒する傾向にあるため、適正な放射線防護の裏付けとなる科学的知見の取得をさらに促進する必要がある。このような状況下、わが国が欧州と対等な立場で議論を行っていくためには、わが国の持つ強みを有効に活用できるような、放射線防護の観点に立つ独自の戦略を早急に構築し、学際的に共有することが最重要課題となる。 報告書全文
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【平成19年度】
高自然放射線地域住民の疫学と染色体調査についての最新知見
近年の放射線生物学の進展により、低線量・低線量率での放射線影響を、高線量・高線量率から外挿することに疑問が呈されるようになってきた。その一方で、低線量・低線量率において直接調べられた健康影響の知見は未だ少ない。人の健康影響に関する直接的な情報源は疫学であることから、低線量・低線量率放射線を被曝した集団の疫学に対して注目が集まっている。現在当所が推進している高自然放射線地域(HBRA)住民調査研究は、慢性的な低線量率放射線の一般公衆におけるリスクを直接扱う国際共同研究であり、その中国における研究成果については、線量評価から細胞遺伝学的研究まで一貫した形でまとまりつつある。これを更に発展させ、また活用していくために、HBRAの疫学調査および染色体異常調査の成果を概観し、関連した研究との比較評価を行うことを通じて課題を抽出し、今後の当所の研究の方向性を探った。 報告書全文
放射線誘発バイスタンダー応答研究の動向とその重要性見
バイスタンダー応答は、放射線が直接ヒットした細胞の周辺に存在する放射線がまったくヒットしなかった細胞に生じる生物応答である。バイスタンダー応答に関する既往研究を調査し、その現状と課題を明らかにした。(1) 主に低線量のα線を用いた研究を元に、バイスタンダー応答が誘導されれば、LNTモデルによる低線量域のリスクよりも高くなると考えられているが、その反面、適応応答を誘導して細胞生存率を向上させることも明らかになっている。低線量のX線、γ線での結果が明らかでなく、線量評価方法も未確立である。(2)バイスタンダー応答の伝達方法には、ギャップ結合などの隣接細胞間での伝達と、活性酸素種、サイトカイン・増殖因子、NOラジカルなどによる分泌性因子による伝達が見出されている。しかしながら、バイスタンダー応答の根本的な原因となる分子機構と、細胞・組織による応答の違いなどが未だに解明されていない。(3)ICRPの2007年勧告では、バイスタンダー応答等における知見は、放射線防護の目的で取り入れるには不十分であり、ヒトの疫学研究に含まれているはずであるという理由から、リスク評価体系に取り入れられなかった。一方、関連する学術論文数は2000年以降著しく増加し、現在最も注目されている課題の一つとなっている。 以上を踏まえ、今後バイスタンダー応答によるリスクを正しく評価するための方策を検討し、以下が必要であることを明らかにした。(a)細胞集団の一部や細胞内の一部分のみ、マイクロビーム等により照射された場合の結果とブロードビームでの結果を対比するための線量評価方法の確立(b)低線量のX線、γ線でのバイスタンダー応答の検証(c)バイスタンダー応答の根本的な原因となる分子機構(DNA損傷等)の解明(d)生物種、組織間等でのバイスタンダー応答の相違の解明 報告書全文
線量-線量率マップを用いた放射線生物影響データ分析
大量のデータを線量-線量率マップ上にプロットし、様々な条件を指定して該当するデータのみを表示することができるツールを作成した。これを用いて、実験動物の放射線発がんに関する文献データを整理、以下の知見を得た。(1)データ整理の結果は、従来の線量-線量率マップの領域分けと矛盾するものではない。ただし、「障害の誘発」と「生体防御機能の増強」の分布する領域は重複しており、両者を単純に区分することは難しい。今後、領域分けの信頼性をより高めていくためには、より幅広い線量・線量域で包括的にデータを取得していくことが必要である。(2)障害の種類、発生部位ごとの表示による分析を試みた結果、障害の発生する領域は条件によって大きく異なり、肉腫では比較的高い線量・線量率域まで生体防御機能の増強が多く見られることが明らかになった。 報告書全文
低線量・低線量率放射線照射の活性酸素関連疾患モデルマウスに対する病態改善作用
当所はこれまでマウスに低線量放射線の照射で、組織の過酸化脂質減少を明らかにした。抗酸化物質増強で酸化的損傷が抑制されると考え、低線量・低線量率照射した5種類の活性酸素関連疾患マウスの病態改善効果と抗酸化能の関与について調べた。 0.5 Gy低線量照射で脂肪肝や腎障害の改善を示し、各臓器で抗酸化機能が亢進した。I型糖尿病でも膵臓の抗酸化機能が亢進し、酸化的損傷軽減・膵β細胞アポトーシス抑制による発症抑制となった。 約0.70 mGy/hr低線量率連続照射のII型糖尿病は、膵臓の抗酸化機能亢進で膵β細胞の保護による寿命延長効果・病態改善効果を、ヒト老化症候群では脾臓の免疫細胞活性回復・肝臓の抗酸化機能亢進で、70日程度の寿命が最長120日まで延長した。 低線量・低線量率照射は疾患軽減・寿命延長効果を生じ、抗酸化機能増強の関与がわかった。 報告書全文
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【平成18年度】
低線量放射線による自然突然変異の抑制
ショウジョウバエ伴性劣性致死突然変異試験をおこなって、X線照射による未熟な精子における突然変異の誘発頻度にしきい線量の存在することを見出した。またしきい値の大きさはDNA修復機能の有無により変化した。同じ試験系で線量・効果関係は直線的でしきい値がないとしたMuller等の結果はDNA修復機能のない成熟精子という特殊な細胞系を用いたために得られたのであって、発がん性の評価には適さないものであると考えられる。 報告書全文
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【平成17年度】
低線量率照射によるヒト早発性老化症候群モデルマウスの寿命への影響
低線量率照射による寿命延長効果を抗酸化物質の測定で検証します。低線量率 (0.70mGy/hr)でヒト早発性老化症候群モデルマウスを照射すると (1) 100日以上の 寿命延長効果、(2)脾臓細胞の機能の亢進、(3) 肝臓の抗酸化活性の増強が得られました。低線量率照射で免疫機能や抗酸化活性の増強が寿命延長に寄与したと推察されます。 報告書全文
低線量率放射線が造血幹細胞および末梢血に及ぼす長期的影響
低線量率放射線がマウスの血液細胞に及ぼす長期的な影響を調べたところ、1mGy/hrで200日以上連続照射しても白血球数、赤血球数は非照射マウスと同等であることが分かりました。それを裏付けるように、造血幹細胞の存在量も長期的な照射をしてもほぼ一定であり、この線量率が造血能に及ぼす影響はほとんどないものと考えられます。 報告書全文
低線量率放射線照射下での細胞増殖におけるDNA損傷修復遺伝子の役割
低線量率放射線を長期間連続して被ばくした細胞に生じるDNA損傷の修復メカニズムを解明するため、さまざまなDNA損傷修復遺伝子を欠損させた細胞の増殖率を測定しました。その結果、遺伝子の安定性や免疫機能において重要な「非相同末端結合」と呼ばれる修復機構に関与する遺伝子が、特に重要な役割を担うことが示唆されました。 報告書全文
低線量率放射線照射による腫瘍細胞排除能亢進への免疫系の関与
腫瘍細胞排除能の変動への免疫系の関与を確認するために、健常な免疫システムを持つ(C57BL/6N)マウスと免疫不全(scid)マウスを用いてTD50法によりそれぞれの腫瘍細胞排除能の比較をおこないました。その結果、低線量率放射線照射による発がん抑制効果に免疫系が関与していることを示しました。 報告書全文
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【平成16年度】
発症機序の異なる2種類のII型糖尿病モデルマウスに対する低線量放射線の照射効果の検証
2種類のII型糖尿病モデルマウス(インスリン受容体機能不全:肥満型、インスリン分泌不良:非肥満型)を0.7mGy/hrで長期照射したところ、肥満型マウスでは一部のマウスにおいて尿糖値の改善が見られるとともに、全般的な老化現象の抑制と寿命の延長が確認されました。非肥満型マウスでも一部のマウスにおいて寿命の延長が認められました。[II型糖尿病について] 報告書概要
X線誘発ショウジョウバエ体細胞突然変異の線量・効果関係におけるしきい値の存在
DNA修復機能が正常および欠損しているショウジョウバエの体細胞において、照射線量に対する突然変異の頻度を調べたところ、正常なものでは1Gy付近にしきい値の存在が認められ、欠損しているものではしきい値が正常個体よりも小さく、修復機能の有無がしきい値の存在に関わっていることが明らかになりました。 報告書概要
低線量率放射線が遺伝子発現量の変動に与える影響
−放射線応答性遺伝子群の解析−
ギャップジャンクション依存性細胞間情報伝達(GJIC)の発現量の異なるラット肝上皮細胞株を用いて、GJIC活性の有無によって放射線感受性に差が出るかどうかを検討したところ、GJIC活性は細胞の放射線感受性に影響を与えないことが示されました。 報告書概要
マウス組織細胞において低線量・低線量率放射線が誘発するDNA損傷の解析
放射線によるDNA損傷の量を高感度かつ定量的に検出する手法を、マウス組織細胞へ適用できるよう改良し、同じ総線量でも線量率の違いによりDNA損傷量が異なることや、低線量率で長期照射したマウスでは、非照射マウスに比べ、急照射したときのDNA損傷量が少ないことを明らかにしました。 報告書概要
低線量放射線による腫瘍細胞排除能の変動
−メチルコラントレン誘発皮下がん細胞を用いて−
0.35、0.7、1.2mGy/hrの線量率で1〜8週間照射したマウスに、メチルコラントレン(化学発がん剤)により誘発された皮下がん細胞を移植し、マウスがこの細胞を排除する能力を調べたところ、総線量250mGy付近で腫瘍排除能力が高まることがわかりました。それ以外の線量域でも総線量1.2Gyまで調べましたが、照射マウスの排除能力が非照射マウスを下回ることはありませんでした。 報告書概要
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【平成15年度】
I型糖尿病モデルマウスの糖尿病発症および抗酸化物質に及ぼす線量率の効果
自己免疫疾患による糖尿病(I型)マウスに、0.5Gyの放射線を高線量率(94.2Gy/hr)あるいは低線量率(0.95mGy/hr)でそれぞれ照射したところ、高線量率照射では抗酸化物質の増加や糖尿病発症抑制が認められました。[I型糖尿病について] 報告書概要
培養細胞における小核形成を指標とした放射線適応応答
マウスあるいはチャイニーズハムスター由来の線維芽細胞株4種において、低線量のX線をあらかじめ照射することにより、高線量照射による小核形成の低減が認められました。小核は細胞内で損傷した遺伝子が修復されない場合に生じるもので、小核形成が低減されたことにより遺伝子修復能力が増強されたことが示唆されました。 報告書概要
ギャップジャンクション依存性細胞間情報伝達と放射線感受性の関係
−ラット肝上皮細胞株における検討−
ギャップジャンクション依存性細胞間情報伝達(GJIC)の発現量の異なるラット肝上皮細胞株を用いて、GJIC活性の有無によって放射線感受性に差が出るかどうかを検討したところ、GJIC活性は細胞の放射線感受性に影響を与えないことが示されました。 報告書概要
マウスにおける低線量率長期照射の発がん抑制効果
−メチルコラントレン誘発皮下がん−
化学発がん剤を皮下に投与したマウスを3群に分け、それぞれ0.35、1.2および3.5mGy/hrの線量率で照射を続けながら、216日間経過観察を行ったところ、1.2mGy/hrで照射したマウスの群において、腫瘍発生率の有意な抑制が見られました。 報告書概要
低線量率放射線による重症自己免疫疾患モデルマウスの寿命延長
−免疫機構正常化と脳を含む全身性の病体改善−
遺伝的に重篤な自己免疫疾患を発症するマウスを低線量率放射線で照射したところ、免疫系の機能が正常化され、脳および中枢神経系を含む全身の臓器、組織への免疫細胞の攻撃が抑制されました。また、寿命を著しく延長することも示されました。 報告書概要
マウス放射線発がんの線量率依存性
−低線量率なら長期継続照射しても胸腺リンパ腫を生じない−
放射線で誘発されるがん(胸腺リンパ腫)が生じやすいマウスを用い、高線量率照射(2.0Gy/min, 1.8Gy/週×4回)または低線量率照射(1.2mGy/hr, 330日間)を行ったマウスの群を比較しました。高線量率照射群では90%のマウスにおいてがんが発生しましたが、低線量率照射群ではがんの発生はありませんでした。 報告書概要
低線量率放射線照射によるC57BL/6Nマウスの免疫機能の変動
−リンパ球の増殖応答とNK細胞の傷害活性を指標として−
健常なマウス(C57BL/6N)を低線量率放射線で1〜8週間照射したところ、全リンパ球の増殖応答、マイトジェン(外部からの刺激物質)によるBリンパ球の増殖応答、NK細胞の細胞傷害活性には変化はありませんでしたが、Tリンパ球の増殖応答には一時的な亢進が見られました。 報告書概要
低線量率放射線による生体防御・免疫機構活性化
−細胞集団および細胞表面機能分子・活性化分子の解析−
1.2mGy/hrで3週間連続照射したマウスにおいて、免疫担当細胞の活性が有意に増加しました。高線量率照射で見られるような、炎症や細胞障害などは見られませんでした。 報告書概要
低線量率放射線が遺伝子発現量の変動に与える影響
−cDNAマイクロアレイとリアルタイムRT-PCRによる解析−
相補う特徴を持った2つの最新の解析手法を用いて、極低線量率でガンマ線照射した培養細胞の遺伝子発現量を調べ、極低線量率放射線に応答する遺伝子を特定しました。 報告書概要
低線量放射線が低カタラ−ゼマウスにおけるカタラ−ゼを含む抗酸化物質に及ぼす効果の検証
体内の抗酸化機能を担う酵素の一つであるカタラーゼの活性が低いマウスに0.5Gyの低線量X線を照射すると、障害をもたらすことなくカタラーゼ活性が高められ、抗酸化機能が増強されることがわかりました。 報告書概要
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【平成12〜14年度】
放射線がギャップジャンクション依存性細胞間情報伝達に与える影響
−活性酸素種との比較−
ギャップジャンクション依存性細胞間情報伝達(GJIC)の研究によく使用されるラット肝上皮細胞株を用い、活性酸素種と放射線がそれぞれGJIC活性におよぼす影響を調べたところ、活性酸素種はGJIC活性を低下させましたが、0.5〜20GyのX線ではGJIC活性の低下は見られませんでした。 報告書概要
II型糖尿病モデルマウスに対する低線量率放射線の照射効果の検証
生活習慣病として知られるII型糖尿病を発症したモデルマウスに、10週齢から1.2mGy/hrの低線量放射線を長期にわたって照射すると、放射線を照射しない場合に比べて生存率が高いことがわかりました。また、脱毛が少なく、皮膚や尾の柔軟性も保たれていました。[II型糖尿病について] 報告書概要
低線量の放射線照射によるI型糖尿病モデルマウスの糖尿病発症抑制効果の検証
自己免疫疾患による糖尿病(I型)マウスに、低線量放射線を0.5Gy照射すると、糖尿病の発生が抑制され、その糖尿病発症の抑制効果は抗酸化物質の増強によることが示されました。[II型糖尿病について] 報告書概要
低線量放射線研究センター2年のあゆみ
−低線量放射線影響の総合的な研究推進と情報発信−
平成12年10月に低線量放射線研究センターを設立した経緯と、その後約2年間の活動状況についてご紹介します。
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【センター設立(平成12年10月)以前】
放射線ホルミシス効果検証プロジェクト
平成12年の低線量放射線研究センター設立以前に、14の研究機関の参加を得て、1993年から実施したプロジェクトの概要と成果をご紹介します。
放射線ホルミシス研究の立ち上げ
1982年のラッキー教授による「放射線ホルミシス」概念の発表に刺激され、1987年に低線量放射線の生物影響に関する研究に着手し、1991年には日経サイエンス誌上で「活性酸素仮説」を提案しました。
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Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry