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東京電力(株)柏崎刈羽原子力発電所から流出した液体状放射性物質による人体への影響について

7月16日に発生した新潟県中越沖地震により被災された方々に心からお見舞い申し上げます。

 

東京電力(株)柏崎刈羽原子力発電所では、原子炉の安全は確保されましたが、地震の揺れによって溢れた使用済燃料プールの水が電線管を伝って非管理区域へ漏れ出し、排水口を通って放水口から約9万ベクレルの放射性物質を含んだ水1.2m3が海域に放出されるというトラブルが発生しました。東京電力の発表では、このトラブルによる被ばく線量は2×10-9ミリシーベルトと評価されています。

 

当センターでも、東京電力が公表した数値に基づいて放出された放射性物質による被ばく線量とその影響を評価いたしましたのでその結果をご紹介します。

 

  • 放出放射性物質量:90,000ベクレル
  • 放出放射性物質:全量60Coと仮定
  • 評価方法:国の安全審査指針で平常運転時の原子炉施設周辺の線量を評価するための「発電用軽水型原子炉施設周辺の線量目標値に対する評価指針」の計算モデルとパラメータを使用

 

計算の結果、被ばく線量は2.2×10-9(0.0000000022)ミリシーベルトとなり、東京電力が発表した約2×10-9ミリシーベルトとほぼ同じ評価結果になりました。

 

この約2.2×10-9ミリシーベルトの線量を身近な放射線による被ばく量と比較すると以下のようになります。

 

  • 胸部X線撮影1回分(約0.05ミリシーベルト)の約2,000万分の1
  • 成田−ニューヨーク間の航空機往復(宇宙線により約0.18ミリシーベルト)の約8,000万分の1
  • 自然放射線から受ける年間線量(約2.4ミリシーベルト)の約10億分の1

 

また、海域に放出される前の放射性物質を含んだ水1.2m3の放射能濃度は約0.08ベクレル/cm3であり、ラドン温泉で有名な三朝温泉(鳥取県)の放射能濃度約0.4ベクレル/cm3の約5分の1

 

このように、今回のトラブルによる放射線被ばく量は日常生活の中で受けているものと比べて桁違いに低く、人体への影響は無視できる範囲であると言うことができます。

 

新潟県中越沖地震の影響による柏崎刈羽原子力発電所のプラント状況について

(平成19年7月24日 東京電力株式会社)

排気筒から放出された放射性物質による影響についてはこちら

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