社経研DP

2011.04.12

時刻、休日、連休シフトによる夏季ピーク負荷削減効果

  • エネルギー需要

SERC Discussion Paper 11002

要約

 今夏、東京電力管内では電力需給の逼迫が懸念されており、ピークの電力需要を削減するために、節電に加えて、自主的なサマータイムや輪番操業などによる、電力需要の「シフト」が様々に提案されている。  
 本稿では、どのような電力需要のシフトが効果的かを、2008年夏季の電力系統大の負荷曲線に基づいて試算した。 その結果、休日取得を分散して休日と平日の需要を均す「休日シフト」によって、7月で最大400万kW弱,8月で最大500万kW程度のピーク負荷削減効果を得うること、さらに休日を増やすことでこの効果を高める「連休シフト(夏季休暇の増大)」を行えば、7、8月で最大500~800万kW程度の削減を実現しうることを明らかにした。 一方で、自主的に操業時間を1~2時間程度前倒すといった「時刻シフト」の効果は数十万kW程度と、本稿のような簡易的な分析では誤差ともいえる規模にとどまった。 以上の、休日シフト、連休シフトなどは、これまでに民間レベルでも経験があり、今夏に向けて一層の取り組みを検討することが期待される。  
 ところで、産業部門(工場)においては、日々、稼働率を高めるために、上記のいわゆる「休日シフト」が事実上進んでいるところもある。これに対して、業務部門については、そのような稼動はまれであり、特にオフィスビルについては「休日シフト」はほとんど進んでいないと考えられる。 夏季最大ピークを形作るのは2000万kWに及ぶとも言われる空調需要であり、その大きな割合を業務部門がしめることを踏まえると、業務部門こそ「休日シフト」さらには「連休シフト」の対象にすべく、真剣な検討が必要と考えられる。

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