社経研DP

2011.04.28

ピーク電力需要の削減に向けた輪番操業パターンの試算 ―複数の事務所の輪番操業を例として―

  • エネルギー需要
  • 企業・消費者行動

SERC Discussion Paper 11008

小松 秀徳   今中 健雄  

要約

今夏、関東・東北地方において電力需給の逼迫が懸念される中、需給逼迫を緩和する方法の一つとして、輪番操業(休業)が期待されている。主に平日に活動する複数の事業所を持つ企業ないし自治体では、これまでの休日を操業日に加えて、休業日を事業所ごとに輪番取得することで、すなわち輪番操業することで、企業としてのピーク需要を削減することが可能となる。  
 このような輪番操業を具体的に実施するにあたり、様々な規模の多くの事業所を持つ企業や自治体では、企業ないし自治体としてのピーク電力需要を最大限削減するために、それぞれの事業所をどのように操業させるかが課題となるだろう。複雑な組み合わせ最適化問題になるため、手作業で検討することは困難を伴う。  
 本稿は、ある自治体の事務所別延べ床面積のデータを利用して、輪番操業のイメージを検討した。遺伝的アルゴリズムを利用することで、比較的容易に、ピーク電力需要を削減する操業パターンを見出せる。試算では、平日ピーク需要(100%とする)に対して土休日のピーク需要が40%であるという条件のもと、平日と土休日を含む全ての日のピークを均すなら、平日ピークを17%削減でき、平日のピークを抑えることだけを目的にすれば、20%の削減が可能であった。  
 輪番操業ができない企業も存在すると予想されることから、社会全体では平日のピーク電力需要を土休日のピーク電力需要のレベルまで均せるとは限らない。そのため、輪番操業を実施可能な企業・自治体においては、土休日の電力需要が少々大きくなっても、平日のピークを下げてくだされば、社会的な貢献は大きいと考えられる。
 輪番操業を検討される企業・自治体の方々のご参考になれば幸甚である。

Back to index

TOP