社経研DP

2011.06.13

山形県 5月の節電社会実験(第1回・第2回)の結果と夏に向けた対策に関して

  • エネルギー政策
  • エネルギー需要

SERC Discussion Paper 11012

大藤 建太   木村 宰   西尾 健一郎   野田 冬彦  

要約

 本稿では,山形県が5月25日および31日に行った節電社会実験の結果の分析を行う。山形県の節電社会実験は,「山形方式」といった特色を出すことを指向した。短い時間で社会実験の周知を図ったが,協力可能な需要家は,実験日以前から相当の節電協力をしていたのでさらなる節電に戸惑いの声も聞かれた。  
 第1回・第2回の実験ともに,前年比では△12%という結果にいたったが,その主要な部分は実験日以前からの定着済みの節電に基づく効果だった。この効果は,新潟とくらべても遜色ないものだった。夏に向けて△15%を目指す場合,仮想的なシナリオで暑さにもよるが,全体で前年比20万kWを上回る削減が必要と考えられる。 今回の社会実験で得られた13~14万kWが仮に夏まで維持されるとしても,それを上回って必要な削減量は,冷房などを中心とした夏場の対策で実現していく必要がある。  
 また本稿では,夏場に向けての対策となり得る提案として,「代表的産業への詳しい節電支援・アドバイス」「操業時間・休日シフトの導入支援に向けたアドバイス・調整」「学校教育を通じた家庭の節電促進」「エアコンによる節電の情報提供強化」「県庁舎・県有施設での率先行動とその評価」の5点をあげた。 他にもさまざまな節電施策が考えられ,県民各層からの活発な提案と議論がなされることを期待したい。

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