社経研DP

2011.11.14

リスク認知バイアスの進化心理学的な解釈

  • 企業・消費者行動

SERC Discussion Paper 11033

小松 秀徳   杉山 大志  

要約

 リスク認知バイアスとは、一般的に客観リスクと主観リスクの乖離であり、リスクを過大あるいは過小に評価してしまうことで、合理的な意思決定が妨げられ、結果として不合理な政策決定の原因となる可能性がある。 このリスク認知バイアスの多くは、人間が持つヒューリスティクス(直観)に起因するものと考えられる。進化心理学では、ヒューリスティクスを含む、現在の人類が持つ一般的な心理的傾向は、我々の先祖が石器時代の環境に適応した結果得られたものと考えられている。 このような進化心理学的な解釈に基づき、ヒューリスティクスのみに頼っていると発生してしまうリスク認知バイアスについて、その発生起源を理解し、さらに熟慮によってリスク認知バイアスを解消する制度・組織を確立し、より合理的な意思決定を可能とすることが期待される。
 そこで本稿では、今まで現象としては知られていたリスク認知バイアスに対して、進化心理学的な解釈に基づく分類を行い、これらが現代ではどのような例となって現れているか、また石器時代にあったリスクがどのようにして現在の人類のヒューリスティクスの原因となり、その結果リスク認知バイアスを生じさせているかについて考察する。

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