社会経済研究所

ディスカッションペーパー

長期エネルギー需給見通しで想定された省エネ対策コストの推計

  • 星野 優子,永田 豊,浜潟 純大
  • SERC Discussion Paper 15004
  • Date:2015.09.29
   

要約

 

   本年7月に「エネルギー基本計画」の定量的な姿である長期エネルギー需給見通し(以下、需給見通し)が示された。需給見通しの策定にあたっては、(1)自給率は震災前を上回る水準(概ね25%)に、(2)電力コストは現状よりも引き下げ、(3)温室効果ガス削減目標は欧米に遜色ない水準に、の3つの基本方針があげられた。
 今回のエネルギーミックス検討のベースとなった「省エネ後」の値は、電力需要についてみると、旧来の安定的軌道上にある「省エネ前」の値から17%少ない。ここで見落としてはならないのは、省エネ対策コストである。需給見通しの、「省エネ後」のケースにおいては、省エネ対策コストは明示的に織込まれていない。そこで、想定される省エネ量が実現するために必要となる電気料金の上昇を、ここでは省エネ対策コストとして推計した。当所「展望」結果をベースに分析したところ、需給見通しより低めの経済成長率(1.0%)を前提とした場合に、需給見通しと同等の省エネ水準まで電力需要を減らす(△9.3%)ためには、電気料金が47.5%上昇しなくてはならないことがわかった。このとき、GDPは0.6%減少する。このことから、需給見通しで想定されている電力部門での17%の省エネを達成するには、さらに大幅な電気料金の上昇が必要になり、GDPへの影響もより大きくなることがわかる。「電力コストを現状よりも低下」させつつ大幅な省エネを実現しようという需給見通しの想定は、達成困難な目標であるといえる。

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「社会経済研究所 ディスカッションペーパー」の記載において、意見にかかる部分は筆者のものであり、電力中央研究所又はその他機関の見解を示すものではありません。

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