財団法人電力中央研究所(理事長:各務正博、本部:東京都千代田区)は平成21年度事業報告を取りまとめ、平成22年6月3日に開催した定時理事会において、承認されました。
平成21年度は、電気事業をはじめとする社会の課題を先見的に捉え、わが国のエネルギー政策や、それに伴う将来の電気の利用・供給形態の変化などを見据えて研究に取り組み、課題解決に向けて研究活動を推進し、低炭素社会、持続可能な社会の実現に寄与し得る以下の代表的な研究成果を得ました。
プロジェクト課題
1. 原子力技術
(1)軽水炉高経年化対策:
・原子力プラントの配管減肉予測モデルの性能向上
・圧力容器鋼材の照射脆化による硬さ変化を検出する高精度脆化モニター法の開発
(2)バックエンド事業支援:
・中間貯蔵用コンクリートキャスクの金属キャニスタの応力腐食割れ(SCC)対策技術の実証
2. 電力安定供給技術
(1) 発電設備の運用・保守:
・火力発電設備の蒸気配管系統の溶接部損傷評価システムの開発〔火力設備の信頼性向上〕
(2)流通設備の運用・保守:
・配電設備の台風、地震時の事前・事後対応を支援する復旧支援システムの開発
・微量PCB混入変圧器の経済的な処理技術確立に向けた簡便な洗浄法の実証
(3)次世代火力技術:
・微粉炭火力における亜瀝青炭の混焼比率向上の可能性実証〔炭種の拡大〕
3. 環境・エネルギー利用技術
(1)温暖化の予測と影響評価:
・海洋生態系モデルなどの改良による温暖化予測モデルの高度化
(2) 電化・省エネルギー技術:
・エコキュートの更なる高性能化・コンパクト化を図る長期性能評価技術の確立
・SiC単結晶膜の低欠陥化によるSiCパワー半導体の生産技術の向上〔省エネの推進〕
(3)次世代グリッド技術:
・日本におけるスマートグリッド構築に向けた技術開発ロードマップの作成
・PV(太陽光発電)とヒートポンプ式給湯機の連携運転によるPV電力有効活用手法の開発
基盤技術課題
・最新データと発電技術進歩を踏まえた電源別ライフサイクルCO
2排出量の評価
・パワエレ機器多数導入時の電力品質を解析する電力系統瞬時値解析プログラムの高度化
<研究推進>
研究の推進にあたっては、わが国では得られない研究環境を有する欧米諸機関との共同研究や研究協力などを継続実施し、アジア地域でも新たにインドネシア国営電力会社と包括協定を締結するなど、将来の幅広い展開を視野に入れて電力関連機関との連携強化を図りました。
<業務運営>
今後の公益法人制度改革に備え、新たに常勤の監事を置き監査機能を強化するなど、より一層のガバナンスの充実を図るとともに、新法人移行の準備を進めました。また、将来的な研究構想の下、横須賀地区を原子力、電力、エネルギー分野など工業技術系の一大研究拠点とすべくインフラ整備計画の策定に着手しました。
問合せは、
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※ 本件は、エネルギー記者会でリリース(資料配布)致しております。