財団法人 電力中央研究所

プレスリリース

平成23年度 電力中央研究所事業計画の策定について

〜電気事業や社会の動きを敏感に捉え、研究を推進〜

平成23年3月10日
財団法人 電力中央研究所
 財団法人電力中央研究所(理事長:各務正博、本部:東京都千代田区)は、今般平成23年度事業計画・収支予算を取りまとめました。
 平成23年度は、「原子力技術」、「電力安定供給技術」、「環境・エネルギー利用技術」の諸課題について、所期の成果を確実に創出することを目指します。具体的には、「原子力技術」では、圧力容器の照射脆化メカニズムの解明をはじめとする軽水炉高経年化対策やバックエンド事業支援など、「電力安定供給技術」では、高効率微粉炭火力プラントの高クロム鋼溶接配管部の寿命評価をはじめとする発電・流通設備の運用保守など、「環境・エネルギー利用技術」では、太陽光発電の大量導入に対応する系統安定化運用方式の提案をはじめとする次世代グリッド、電化・省エネルギー、温暖化予測などの研究開発について、鋭意推進致します。
 また、これらの成果を踏まえつつ、電気事業や社会の趨勢・変化を敏感に捉えて、社会における多様な技術の幅広い活用が電気の利用可能性とその価値を高めていく「電化未来社会」の創造に繋がる課題などに対しても、合理的かつ実効的な解決策を提示することを目指します。
 なお、公益法人制度改革への対応については、「一般財団法人」※への移行を目指し、認可申請等に向けた準備を継続し、新法人移行へ向けた定款作成や内部統制に関わる体制の整備を進めていきます。
 
 ※ 公益法人制度改革を踏まえて、各財団法人は平成25年11月末までに、「一般財団法人」あるいは「公益財団法人」のいずれかへの移行申請を行う必要があります。

 【研究計画】
 1.プロジェクト課題
 電気事業や社会の要請に応え、ある期間に明確な目的を達成するために設定した重点課題であり、平成23年度は、以下の課題に取組みます。

 1. 原子力技術
 (1)軽水炉高経年化対策:
   ・圧力容器の高照射量領域での照射脆化メカニズム解明に向けた試験・評価
   ・配管溶接境界部などにおける応力腐食割れ(SCC)によるき裂進展の評価
 (2)バックエンド事業支援:
   ・使用済み燃料貯蔵用コンクリートキャスクの内部金属キャニスタのSCC予防技術開発
   ・低レベル廃棄物の地層処分におけるベントナイトなど人工バリア材の機能評価技術の構築
 (3) 耐震信頼性向上:
   ・基準地震動評価のための活断層の連動性を表す指標の提示

 2. 電力安定供給技術
 (1) 流通設備の運用・保守:
   ・CVケーブルの仕様などを考慮した経年CVケーブル劣化状況評価手法の確立
   ・送電設備の雪害対策としての各種難着雪対策品、ギャロッピング対策品の有効性検証
   ・当研究所開発のPCB洗浄技術を大型変圧器に適用した際のPCB除去効果を計測するオンサイト分析法の開発
 (2)発電設備の運用・保守:
   ・高効率微粉炭火力プラントにおける高クロム鋼製配管溶接部の寿命評価手法の開発
   ・高経年化重力式ダムの耐震性能評価のためのガイドライン策定
 (3)次世代火力技術:
   ・亜瀝青炭を50%以上混ぜた微粉炭火力の低負荷運転のためのボイラ操作指針の提案
 3. 環境・エネルギー利用技術
 (1)温暖化予測と影響評価:
   ・温暖化に伴う台風や豪雨等の変化が水力発電設備や送電設備に与える影響の評価
 (2)電化・省エネルギー技術:
   ・コンパクト型、寒冷地仕様など各種エコキュートについての性能評価技術の確立
   ・低欠陥SiC単結晶生産技術開発に向けたエピタキシャル膜高速成長要素技術の開発
 (3)次世代グリッド技術:
   ・需要家機器と連携して太陽光発電の大量導入を可能にする系統安定化運用方式の提案

 2.基盤技術課題  エネルギー・電力に係わる基盤技術を育成・発展させ、課題解決の源泉となる基盤技術課題については、8つの専門別研究所の特徴と専門能力を生かし、「電力系統の解析・制御」、「電気絶縁」、「自然災害対策」などの維持・継承または発展させる技術や、「熱流動数値解析・評価」、「先進材料」、「バイオテクノロジー応用」などの次世代コア技術、ならびに新たな可能性が見込まれる技術に関する研究を着実に進めます。

 <業務運営>
 創立60周年を迎え、将来を見据えて新しい研究所の枠組みを構築し、飛躍を図るため、横須賀地区を中心として、今後複数年に亘って取組む研究拠点の再構築や、公益法人制度改革への対応を着実に進め、必要に応じて組織運営体制の改正等を図りながら、将来に向けた確かな「礎」を築くことを目指します。
 狛江地区の社会経済研究所に関しては、電気事業を始めとする幅広い社会との一層の連携を求め、多様な要請への即応を図ることを目的として、23年度初頭に大手町地区へ移転します。

 公益法人制度改革への対応
 公益法人制度改革への対応については、これからも質の高い研究成果を挙げ、電気事業や社会に幅広く柔軟に貢献していくために、整備法※上の「一般財団法人」への移行を目指して実務的な対応を図っていきます。また、法人税法上の位置づけについては、当研究所の事業の性格を踏まえ、「非営利型法人」を指向致します。
 なお、今後のスケジュールについては、秋口を目指して公益認定等委員会へ認可申請を行い、できれば平成23年度内に認可を受け、平成24年度の初めから新法人としてスタートしたいと考えています。

 ※ 従来の公益法人の新制度への移行手続き等や、民法その他関係法律の整備等について規定したもので、正式名称は「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」です。

詳細については、添付資料をご参照ください。
問合せは、こちら からお願いいたします。

※ 本件は、エネルギー記者会でリリース(資料配布)致しております。

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