財団法人 電力中央研究所

プレスリリース

電力中央研究所 平成23年度事業計画の改訂について

〜震災からの復興を支える研究開発を最優先に推進〜

平成23年10月28日
財団法人 電力中央研究所
 財団法人電力中央研究所(理事長:各務正博、本部:東京都千代田区)は、本年3月10日に「原子力技術」、「電力安定供給技術」、「環境・エネルギー利用技術」の3つの研究の柱を中心とした平成23年度事業計画を策定し、電気事業の成熟化、各種リスクの増大などに対応する課題のほか、「電化未来社会」の創造に繋がる課題などへの解決策を提示することを目指しました。

 しかしながら、3月11日に発生した東日本大震災、福島第一原子力発電所における事故により、電気事業や社会を取り巻く状況は大きく変化しました。当研究所は、震災直後から最大限の支援を実施しておりますが、更に震災からの復興を支える研究開発に注力すべく、震災によって生じた課題や、新たに対応が必要となる課題の解決に向けて、中長期的な研究展開も見据え、研究の方向性を示す「研究の柱」を見直し、研究課題を再構成するなど事業計画を改訂しました。

 当研究所では、改訂した本計画の下で全所員が一丸となって事業活動に取り組み、活用される成果を創出することにより、電気事業や社会に貢献していきます。


 <新しく定めた「研究の柱」の趣旨>

 「リスクの最適マネジメントの確立」
 社会の基盤である電力の安定供給に関わるリスクを低減・管理する技術を構築することが必要であるとの考えにより定めた第一の柱。

 「設備運用・保全技術の高度化」
 復興を目指す日本経済を安定した電力供給で支えるという電気事業の責務を技術的に支援するため、発電設備および流通設備の運用・保全技術をより高度化していくことが必要であるとの考えにより定めた第二の柱。

 「次世代電力需給基盤の構築」
 将来のリスクに備え、それらを最小限に抑え、克服することを目指して、電力の供給および利用における一層の高効率化とエネルギーセキュリティの確保を可能にする次世代の電力需給基盤を構築することが必要であるとの考えにより定めた第三の柱。

 <研究計画>
 新しく定めた研究の柱の下で、求められる時期に先んじて成果を確実に創出するよう、課題を設定し、蓄積した知見の活用と総合力を発揮しながら研究を推進します。また、震災による影響を含め、電気事業や社会における趨勢を強く意識し、今後新たに生じる課題に対しても、知見、技術、要員を最大限に活用して、柔軟かつ迅速に対応します。

 プロジェクト課題
 電気事業や社会のニーズが高く、タイムリーな成果の獲得と活用を図る必要がある課題。当研究所の総合力を発揮して研究を推進します。主な実施内容は以下のとおりです。

 1. リスクの最適マネジメントの確立
 (1)エネルギー政策分析
   ・将来に亘り社会的に合意しうる電気事業制度のあり方に関する学術的・客観的な視点からの提示 等
 (2)耐震信頼性向上
   ・原子力発電所の合理的耐震設計手法の再構築において基準地震動策定のために重要となる活断層の連動性指標の提示 等
 (3)放射線安全・環境影響評価
   ・福島第一原子力発電所事故に伴う放射性物質の放出・漏洩による環境汚染の収束に向けた詳細な実態把握ならびに各種除染技術の効果の評価 等
 (4)バックエンド事業支援
   ・使用済燃料貯蔵の長期化に備えた、次世代貯蔵方式として有望なコンクリートキャスクの内部金属キャニスタ応力腐食割れ予防技術の開発や成果の関連規格への反映 等
 (5)流通設備の自然災害対策技術の開発
   ・既開発の配電設備災害復旧支援システムの更なる信頼性向上に向けた改良 等

 2. 設備運用・保全技術の高度化
 (1) 軽水炉高経年化対策技術の確立
   ・軽水炉の安全・安定運転に向けた原子炉圧力容器の照射脆化・応力腐食割れ、配管減肉など経年劣化のメカニズム解明と予測手法の開発 等
 (2)発電設備の運用・保守支援
   ・高効率微粉炭火力プラントの高クロム鋼製配管溶接部寿命評価手法構築に向けた実機ボイラ配管による長時間材料特性評価試験 等

 3. 次世代電力需給基盤の構築
 (1)次世代火力技術の開発
   ・亜瀝青炭混炭率が50%以上とした微粉炭火力発電の運転操作指針の提案 等
 (2)次世代グリッド技術の確立
   ・再生可能エネルギー大量導入時の需要家機器と連携した系統安定化運用方式の提示 等

 基盤技術課題
 電気事業の現場における課題解決の源泉となる基盤技術力を涵養し、さらには東日本大震災および福島第一原子力発電所における事故により顕在化した諸課題の的確かつ迅速な解決を目指して課題を設定。8つの専門別研究所の特長と専門能力を活かしながら取り組みます。

 <業務運営>
 震災対応に関連する研究を最優先するために、要員や資金などのシフトを行うとともに、当研究所を取り巻く情勢変化に適切に対応します。
 ・収支状況の変化などを踏まえた業務内容や工程、所内諸施策などの見直しによる一層のコスト削減と資産の有効活用
 ・役員報酬・職員給与の更なる削減や、退職年金制度などを含めた長期的施策の見直しによる人件費の継続的な抑制策の実施
 ・公益法人制度改革対応として、平成24年度に一般財団法人への移行を目指した機関設計や内部統制体制の整備などの推進


詳細については、添付資料をご参照ください。
問合せは、こちら からお願いいたします。

※ 本件は、エネルギー記者会でリリース(資料配布)致しております。

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