財団法人 電力中央研究所

プレスリリース

電力中央研究所 2011年度事業報告・収支決算について

2012年6月15日
一般財団法人 電力中央研究所
 一般財団法人電力中央研究所(理事長:各務正博、本部:東京都千代田区)は、今般2011年度事業報告書・収支決算書を取り纏め、一般財団法人移行後最初の定時評議員会で承認されました。
 当研究所は2011年度、東日本大震災や福島第一原子力発電所事故による電気事業や社会の情勢変化を踏まえ、当初策定した事業計画・収支予算を期中で大幅に見直し、事業活動を展開しました。
 特に重点的に取り組んだ事項は次の3点です。

 ●堅固で柔軟なエネルギー需給構造の構築を目指した新たな研究の展開
 ●震災および原子力発電所事故対応への迅速な技術支援と中長期的な課題解決に向けた研究開発
 ●給付金減少による予算制約を踏まえた経費削減の徹底と研究拠点の再構築

<重点実施項目毎の概要>
堅固で柔軟なエネルギー需給構造の構築を目指した新たな研究の展開
 我が国の堅固で柔軟な新たなエネルギー需給構造の構築を目指して、研究の中期的な方向性を示す「研究の柱」を定めました。その下で、既存研究課題の見直しや新しい研究課題を設定するなど、選択と集中を図って研究を展開しました。以下に、「研究の柱」毎に代表的な研究の成果を示します。
(1)リスクの最適マネジメントの確立
 ・地震の規模を適切に想定するための内陸断層の連動性に関する判定手法の開発
 ・疫学調査による低線量率放射線の長期被ばく健康影響の評価
 ・震災で活用された配電設備災害復旧支援システムの更なる精度向上
(2)設備運用・保全技術の高度化
 ・軽水炉発電の安全・安定的な運転のための圧力容器照射脆化量予測手法の高精度化に向けた脆化メカニズムの解明
 ・火力プラントの高クロム鋼配管のクリープ寿命評価法の開発
 ・ダム・河川の洪水に関するリアルタイム予測システムの開発
(3)次世代電力需給基盤の構築
 ・石炭火力発電の炭種拡大に向けた低品位炭混焼率を向上させる燃焼方法の開発
 ・太陽光発電等の大量導入時における配電線の電圧上昇などの課題解明に役立つ配電系統解析ツールの開発
 ・寒冷地でも高性能を発揮するCO2ヒートポンプ式温水暖房器の開発


震災および原子力発電所事故対応への迅速な技術支援と中長期的な課題解決に向けた研究開発
 ・震災直後から、電気事業や国等との調整を図りながら、全所大の特別チームを編成し、震災対応研究や技術支援等を迅速に行いました。
 ・福島第一原子力発電所事故への対応では、放射性滞留水処理システムの構築、海水が注入された使用済燃料プールに対する腐食対策方法の検討、放射性物質の放出・漏洩による汚染状況の把握と環境修復の検討に貢献するための詳細モニタリングの実施など、蓄積した専門的な知見を活用して迅速に取り組み、現場での課題解決に貢献しました。
 ・震災後の外部情勢の把握に努め、当研究所の知見や研究成果等を適時適切に情報発信しました。昨年11月には、「震災対応報告会」を開催し、発電所事故対応に関わる当研究所の支援活動の一端を紹介しました。
 ・今後の軽水炉の耐震安全性に関する研究強化に向けて、「共振振動台」や「津波・氾濫流水路」等の研究設備導入にも着手しました。

 なお、研究の推進において、当研究所の基盤技術力の維持・向上のために不可欠な大型研究設備を震災後の情勢を踏まえながら厳選して導入・更新しました。
 また、科学的知見の相互補完と研究力の持続的な向上のために、特定の専門分野で優れた知見を有する国内外の諸機関と連携を図りました。特に、経年軽水炉圧力容器鋼の照射脆化メカニズムの究明などに向けて、米国電力研究所(EPRI)、フランス電力(EdF)との関係を強化しました。

給付金減少による予算制約を踏まえた経費削減の徹底と研究拠点の再構築
 ・期中における給付金減少による予算制約を踏まえ、業務全般にわたって経費削減を徹底するとともに、人件費について役員報酬・幹部職年俸等の減額により抑制しました
 ・将来の研究力強化に加えて運営経費等の軽減を図るため、収支状況を見極めながら研究拠点の集約と再構築を継続して推進しました。
 ・一般財団法人への移行に向けた所定の手続きとして定款や公益目的支出計画を策定し、内閣総理大臣より移行の認可を得て、計画通り2012年度から新法人に移行しました。
 ・業務の適正かつ効率的な運営を図るため、内部監査室を設置し、内部統制の基本方針を定めるなど、より実効性の高い内部統制体制を整備しました。

<収支決算>
 2011年度の事業規模は、予算に対し12.2億円減の310.4億円でした。また、2011年度末の正味財産は、前年度末に対し2.0億円増の375.5億円となりました。
貸借対照表
(1)資産の状況
 資産の総額は、前年度末と比べ11.1億円増の506.4億円となりました。資産の増加は、現金預金の増加10.9億円、研究用の固定資産の新規取得額34.5億円、横須賀地区の拠点化整備に向けた特定資産の積立額33.0億円などによります。一方、資産の減少は、減価償却による57.3億円、特定資産の取崩額7.0億円などによります。
(2)負債の状況
 負債の総額は、前年度末と比べ9.0億円増の130.8億円となりました。これは、年度末の研究設備等の取得が前年度に対し増加し、未払金が11.9億円増加したことなどによります。
(3)正味財産の状況
 正味財産の期末残高は375.5億円であり、一般正味財産363.6億円および指定正味財産11.9億円です。

正味財産増減計算書
(1)一般正味財産の増減
 ・経常収益は、前年度と比べ4.7億円減の300.8億円でした。受取経常給付金は、東日本大震災により被災した東北電力、東京電力からの給付金が減額となり、前年度比1.0億円減の272.7億円となりました。また、国等からの受託研究事業収益が前年度比2.5億円減の17.9億円となりました。
 ・経常費用は、前年度と比べ16.0億円減の297.3億円でした。この減少は、震災などによる収入減に対応するため事業計画を見直し、委託費などを削減したことなどによります。
 ・この結果、当期経常増減額は、前年度の△7.8億円からプラスに転じ、3.4億円となりました。
 ・当期経常外増減額は、前年度比6.8億円減の9百万円でした。これは、厚生用資産の売却を前年度実施したことに対し、当年度は売却を先送りしたことによります。
 以上により、当期一般正味財産増減額は、前年度の△0.8億円からプラスに転じ、3.5億円となりました。
(2)指定正味財産の増減
 当期増減額は、前年度比7.5億円減の△1.4億円でした。これは、前年度に国等からの受取補助金などの収益が大きかったことと、指定正味財産を財源とする特定資産の減価償却によります。

収支計算書
 東日本大震災の影響を受け、給付金収入の減額、および事業計画の変更に伴う収支の見直しを行い、臨時理事会(2011年10月28日開催)の承認に基づき、収支予算書を修正しました。
(1)事業活動
 ・事業活動収入は、予算に対し0.6億円増の298.3億円でした
 ・事業活動支出は、予算に対し10.6億円減の242.8億円でした。事業費の経費は、委託費、消耗品費、光熱費などの節減により、予算に対し12.1億円減の123.5億円となりました。
(2)投資活動
 ・投資活動収入は、予算に対し0.1億円減の7.9億円でした。
 ・投資活動支出は、予算に対し1.6億円減の67.5億円でした。横須賀地区の拠点化整備のため特定資産の積立額を増額した一方、次年度への繰越などにより固定資産の取得額が減少しました。
(3)財務活動
 これに関わる収入、支出はありません。

 以上により、当期収入は306.3億円、前年度からの繰越金は16.9億円であり、総収入額は、予算に対し0.5億円減の323.2億円でした。一方、当期支出は、予算に対し12.2億円減の310.4億円でした。これにより、次期繰越収支差額は12.8億円となりました。

 詳細は添付の2011年度事業報告書・収支決算書をご参照下さい。

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※ 本件は、エネルギー記者会で資料配布致しております。