財団法人 電力中央研究所

プレスリリース

2014・2015年度 日本経済と電力需要の短期予測(2014年6月)
− 景気は緩やかに回復を持続 −

2014年6月11日
一般財団法人 電力中央研究所
 一般財団法人電力中央研究所(理事長:各務 正博、本部:東京都千代田区)は、世界経済の動向、原油価格などの情報に基づき、当研究所が独自に開発した「マクロ計量経済モデル※注」を用い、2015年度までの日本経済および販売電力量の短期予測とシミュレーション分析を実施しました。
 当研究所では、電気事業に関連する広範な研究活動の一つとして、わが国経済の短期予測に継続的に取り組んでおります。
 今回の予測結果とシミュレーション分析の概要は以下の通りです。

1. 日本経済の短期予測(本文P1)
【実質GDP成長率】 2013年度は前年度比2.3%増(実績)
 ⇒ 2014年度は、前年度比0.8%増13年度に比べ、伸びが鈍化
     <前回、2013年12月予測の前年度比0.6%増から上方修正
 ⇒2015年度は、同0.9%増(14年度並みの経済成長を維持)

<2014年度>(寄与度:内需+1.4%ポイント、外需−0.5%ポイント)
企業収益の改善を背景とする設備投資の増加(+要因)内需寄与度は2013年度の(+2.8%) から半減
消費増税後の実質所得の落ち込みによる民間消費の減少(−要因)
内需堅調の輸入増 + 原子力発電停止による燃料輸入増(−要因)
<2015年度>(寄与度:内需+0.8%ポイント、外需+0.1%ポイント)
震災復興関連公共事業の一巡による公共投資の大幅な減少(−要因)
雇用所得環境の改善による民間消費の持ち直し(+要因)
設備投資の増勢の維持(+要因)
世界経済回復持続による外需のプラス寄与(+要因)

2. 電力需要の短期予測(本文P2)
  上記日本経済の標準予測と、2013年度並みの気温、至近の電力各社の料金改定状況を
 前提とすると、販売電力量
(10社計)は、
【販売電力量】 2013年度は前年度比0.4%減(実績:8,485億kWh)
⇒ 2014年度・15年度はともに、前年度比0.4%増
  (2014年度に増加すれば、10年度以来4年ぶり
[内訳] 電灯需要:2014年度は前年度比0.2%減、15年度は同0.3%減
           (所得要因は+も、電気料金上昇の影響波及が−)
     電力需要:2014年度は前年度比0.8%増、15年度は同0.7%増
           (生産の増勢が維持 〜産業用を中心に増加)

 【2014年度販売電力量の気温感応度】(本文P2)

(= 標準予測が、気温の変化によりどの程度変わりうるか」)

 猛暑・厳冬の場合

   (夏季:2000年以降で最も暑かった2010年度並み、冬季:同最も寒かった2011年度並みとした場合)

  ⇒ 販売電力量は、標準予測の前年度比0.4%増が 前年度比1.2%増 に伸びが拡大

 冷夏・暖冬の場合

   (夏季:2000年以降で最も涼しかった2009年度並み、冬季:同最も暖かかった2006年度並みとした場合)

  ⇒ 販売電力量は、標準予測の前年度比0.4%増が 前年度比1.8%減 に伸びが縮小


3. 日本経済のシミュレーション分析(本文P3〜4)

(= 標準予測が、前提条件が異なった場合にどの程度変わりうるか:「マクロ経済と販売電力量への影響分析」)

(1)「地政学リスクの高まりにより原油価格が上昇する場合」(本文P3)
<標準予測>
通関原油価格(期中平均:1バレルあたり)
   2013年度=110ドル、14年度=108ドル、15年度=103ドル と想定
<上振れ想定>(14年度に標準予測より原油価格が25%上振れ)
   2013年度=110ドル、14年度=136ドルと想定
「波及経路」
   「交易条件の悪化」:名目財輸入は前年度比16.8%増に伸び加速(標準予測比7.2%増)
                名目GDPは同1.4%増に伸び低下(標準予測比1.3%減)
                〜企業の経常利益や雇用者報酬は伸び低下
   「国内物価の上昇」:国内企業物価は標準予測比1.2%上昇、消費者物価は同0.2%上昇
                〜実質購買力や国際競争力の低下 → 内外需減少
⇒【結果】2014年度の実質GDP成長率は前年度比0.5%増、販売電力量増加率は同0.2%増まで
      増加率が低下標準予測比では、実質GDP・販売電力量ともに0.3%減

(2)「中国経済が急減速する場合」(本文P4)
<標準予測>
実質世界輸入(日本を除く)
   2013年度=前年度比4.0%増、14年度=同4.7%増、15年度=同6.1%増 と想定
為替レート
   2014年度=102.6円、15年度=102.8円 と想定
<下振れ想定>中国経済の大幅減速:Oxford Economics社「中国金融危機シナリオ」を参考)
実質世界輸入(日本を除く)
   2013年度=前年度比4.0%増、14年度=同2.5%増、15年度=同2.7%増に減速と想定
為替レート(かっこ内は標準予測からの乖離率[%])
   2014年度=97円(5%円高)15年度=93円(10%円高)へ円高が進行と想定
実質世界輸入の縮小」「円高
 2015年度の結果では、実質財輸出は前年度比0.8%増(標準予測比6.4%減)、生産は前年度比3.4%増(標準予測比1.2%減)にそれぞれ伸びが低下 → 設備投資を中心に内需の増加率が縮小
⇒【結果】2015年度の実質GDPは、前年度比0.4%増(標準予測比0.8%減)
      販売電力量は、前年度比横ばい(標準予測比0.6%減)にそれぞれ伸びが低下


<上記予測と分析の詳細につきましては、添付資料 をご参照下さい。>

以上

(参考)
※注 当研究所の「マクロ計量経済モデル」について

 当研究所では1960年代初めに独自のマクロ計量経済モデルを開発し、以後、経済予測やエネルギー需給展望への活用のため、モデル改良・更新を継続的に実施しております。
 「電中研短期マクロ計量経済モデル(短期モデル)」では、経済成長率や失業率などの経済予測だけでなく、経済動向と整合的な電力需要予測を同時に行うことができるのが特徴です。
 また、財政・金融政策を変更した場合や経済の諸条件が変化した場合の影響を評価することもできます。
 短期モデルの構造を解説した報告書として、「電中研短期マクロ計量経済モデル 2012−財政乗数の変化と震災後の節電量の推定−(Y12032)」が当所HPより入手できますので、ご参照下さい。

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