電力中央研究所は、2006年 10月31日(水)にイイノホール(東京都千代田区霞ヶ関)で第25回エネルギー未来技術フォーラムを開催しました。テーマは「電力自由化時代の電気事業 −自由市場・地球環境・安定供給の調和を求めて−」です。

我が国では1996年に電力卸売り分野を対象とする部分自由化が導入され、その後、徐々に小売り分野での自由化対象範囲を拡大してきました。2007年4月からは、一般家庭を対象とする全面自由化の検討が開始される予定です。

電中研では、電力自由化を進めるに当たっても、地球環境問題の解決とエネルギーセキュリティの確保とをどう調和させるかが大前提になるという考えに立っています。

今回のフォーラムでは、電力自由化とそれに関わる問題について、論点をわかりやすく整理し、皆様のご理解を深めていただければとの趣旨から、電中研の研究成果にもとづく発表を行いました。

当日は会場ほぼ満席に近い約510名の参加者がありましたが、フォーラムに参加できなかった方々にもご参考にしていただきたく、フォーラムの講演録と発表用図面集を掲載することにいたしました。 (⇒目次


[ 会場の様子 ]


[ 発表予稿集 表紙 ]

電中研の発表概要は以下の通りです。

(1) 基調発表:電力自由化−経験に学び将来を展望する−

欧米および日本でのこれまでの自由化の流れをレビューし、自由化が何をもたらしたのか、またどんな教訓を学ぶべきか、それらを踏まえて、日本に相応しい日本型電力自由化とはどういったものなのか、そのときの電気事業の役割として何が求められるのか、などについて発表しました。

電気事業には、電力の供給保障があらためて求められていること、また短期的な利益だけに走るのではなく、計画的長期的な視点から、社会全体の便益を高めることに貢献することが求められることを強調しました。

(2) 研究成果発表1:需要家ニーズにもとづく電力自由化の評価

電力自由化時代では需要家に顔を向けた電力経営が一層求められます。自由化先例国の欧米諸国と我が国において実施してきた、需要家ニーズと電力自由化の評価の調査をもとに、社会全体にとって便益をもたらす電力自由化と電気事業の姿について発表しました。

電力会社はコスト低減努力だけでなく、品質・技術の競争、サービスに対する意識がさらに重要になること、また電気事業と需要家とのコミュニケーションによって、需要家の持つ満足度やロイアルティ(信頼感)が高まること、需要家をパートナーとして捉えていくべきことを述べました。

(3) 研究成果発表2:電力自由化時代の安定供給技術

長期的に電力の信頼度を確保することは自由化時代にあっても変わらないサービスの基本になります。電力の信頼度を支える技術は目に見えにくい技術で、専門家以外にもできるだけ理解戴けるように、安定供給を支える電力輸送技術と、自由化時代に必要とされる電力技術の高度化について、アニメーションなどを工夫して説明しました。

今後の自由化の進展のなかでは、着実な設備投資と系統技術の高度化が必要であり、そのための研究推進の重要性を指摘しました。

(4) 研究成果発表3:自由市場・地球環境・安定供給を支える技術開発

電力自由化、地球環境、エネルギーセキュリティという3本のエネルギー政策を調和させるためには、技術開発が大きな鍵を握ることは間違いないと思われます。電力自由化のもとでも、炭酸ガスの排出削減と電源のベストミックスを調和させる技術開発の役割が非常に大きいこと、特に、原子力技術が不可欠であり、石炭や再生可能エネルギーなどによる、各種電源とのベストミックスが追求されなければならないことを強調しました。






目次
電力自由化時代の電気事業 
−自由市場・地球環境・安定供給の調和を求めて−
エネルギー未来技術フォーラム
開会ご挨拶 (財)電力中央研究所 理事長
基調発表 「電力自由化−経験に学び将来を展望する−」 (財)電力中央研究所 首席研究員 矢島 正之
特別講演(東京) 「海外生活を通して見た電力自由化」 毎日新聞社 編集局経済部 副部長 福本 容子 氏
特別講演(福岡、広島) 「自由化の水は甘いか辛いか〜
 『ハゲタカ』作家が見た自由化への疑問」
作家 真山 仁 氏
研究成果発表1 「需要家ニーズにもとづく電力自由化の評価」 (財)電力中央研究所 社会経済研究所 蟻生 俊夫
研究成果発表2 「電力自由化時代の安定供給技術」 (財)電力中央研究所 システム技術研究所 栗原 郁夫
研究成果発表3 「自由市場・地球環境・安定供給を支える技術開発」 (財)電力中央研究所 原子力技術研究所 横山 速一
まとめと閉会ご挨拶 (財)電力中央研究所 専務理事 深田 智久


(財)電力中央研究所広報グループ