エネルギー未来技術フォーラム

 「地球環境とエネルギーセキュリティの両立を求めて ―温暖化とポスト京都への対応―」

開会挨拶




理事長のでございます。本日はお忙しい中、私ども電力中央研究所のエネルギー未来技術フォーラムにかくも大勢の方々にお出でいただきまして、まことにありがとうございます。また、日ごろは私どもの活動に対して深いご理解と温かいご支援を賜り、重ねて心より御礼申し上げます。高いところからではありますが、開会の挨拶をさせていただきます。

今回のフォーラムは、年初から話題になっている地球温暖化問題を取り上げました。ご承知のとおり、今年はIPCCの第4次報告書がまとめられ、マスメディアでは繰り返し取り上げられました。1990年の第1次報告書から2001年の第3次報告書までは、これほど注目されなかったのではないかと記憶しています。

わが国では74年ぶりに40.9度という最高気温が記録されたり、大型台風が立て続けに来襲、上陸しました。このように地球温暖化の兆しというか、温暖化現象そのものが顕在しているのではないかという一般からの懸念が強まったことがあると思います。そのうえゴア元米国副大統領が作った映画の「不都合な真実」がアカデミー賞の特別賞を受賞し、もはや地球温暖化は世界的にも認知されています。

来年から京都議定書の第1次約束期間が始まりますが、わが国が1990年比で温室効果ガス排出の6%削減が非常に厳しい状況にあることも関心を高める要因になっています。私が感じるところでは、地球温暖化問題は過去のCO2排出量が累積しており、もはや避けられない。それを修復するには大変長い時間がかかる現象なので、もはや先手、先手の予防的政策がいま求められていると考えています。

とりわけわが国を含む先進国がエネルギー消費に伴う温室効果ガスの排出を削減し、地球環境を持続可能なかたちで次世代に引き継ぐことは、国際的な責務と考えています。私ども電力中央研究所では、現在、地球温暖化問題の解決とエネルギーセキュリティの確保を両立させることを最大のミッションとして、研究に取り組んでいるところです。

このような観点に立ち、今回の未来技術フォーラムでは「地球環境とエネルギーセキュリティの両立を求めて」というメインタイトルの下に、温暖化とポスト京都議定書への対応をテーマに開催させていただくことにしました。

一般の方々にはゴアさんの映画とか、マスメディアのさまざまな報道によって温暖化問題についてどうしようもない閉塞感、あるいは防止できないというあきらめ、諦観をお持ちではないかと思います。電中研では、温暖化問題に対する技術的、社会的、経済的な処方箋を現在検討中です。今年のフォーラムでは、その方向性だけでも示すことができればと考えています。

本日の発表では、第1部は「温暖化に関する最新の科学情報」というテーマで、当研究所の丸山康樹首席研究員、吉田義勝上席研究員、筒井純一上席研究員から発表させていただきます。まず、IPCC第4次報告書のポイントをかいつまんでご説明し、その報告書に引用された電中研の研究、25世紀までの温暖化シミュレーションの研究成果を紹介します。そして、温暖化問題に関しては、いわゆる懐疑論や異論に対して今回、何が明らかになったのかを、いくつかの例を取り上げてご説明します。

第2部は特別講演です。その1は、淑徳大学国際コミュニケーション学部の横山裕道教授にお願いいたしました。テーマは「地球温暖化との闘いが始まった!」です。ご存じの方も多いと思いますが、横山先生は長くジャーナリストとしてご活躍され、その間に地球環境問題にも深くかかわってこられたと伺っています。  温暖化を始めとして、さまざまな問題でマスメディアの影響が急速に大きくなっている現在、その当事者であられた横山先生からご自身の体験に基づいた興味深いお話を伺えればと考えています。

また、特別講演のその2は、科学ジャーナリストの中村政雄先生にお願いいたしました。テーマは「地球温暖化―滅亡の原因は繁栄にあり!」です。中村先生については皆さまよくご存知のことと思いますが、読売新聞の論説委員を経て、現在はエネルギー分野をはじめとして幅広い領域で舌鋒鋭い論客としてご活躍の方でございます。著書も多数上梓されておりますが、最近では「原子力と報道」や「原子力と環境」といったすばらしい著作に対して、エネルギーフォーラム特別賞などいくつもの受を受賞されております。

本日の特別講演では、温暖化をめぐる日本の研究者について、またマスコミ報道について、中村先生ご自身の体験に基づいた興味深いお話を伺えればと考えています。

お二人の先生とも非常にお忙しいお仕事の中、私どものフォーラムでのご講演をお引き受けいただきまして、改めて深く感謝申し上げます。

最後は第3部として、「ポスト京都への対応戦略」を杉山大志上席研究員から発表させていただきます。京都議定書の第1約束期間が来年から始まりますが、わが国が目標を達成することが容易でないことは皆様、ご承知のとおりです。官民挙げて、国際公約を守ろうと努めているところです。

しかし、問題はポスト京都議定書をどうするかです。その点について、当研究所ではCOP1以降の動きを継続的にウォッチしてきました。そういった観点から、ポスト京都の枠組みをどう見るべきなのか。そして、わが国の役割は何かを述べたいと思います。

最後に地球温暖化に向けての処方箋の方向とも言うべき、ニア・ゼロエミッション社会実現へのシナリオを発表させていただきます。このシナリオは少々我田引水なものと思われるかもしれませんが、今後、電気事業以外のいろいろなエネルギーセクターからも温暖化問題防止方策の提案が出てくると思われるので、それぞれの長所、特徴を出し合って、ベクトルの合った活路が見出せればと考えています。

地球温暖化に関しては、いまいろいろな議論がなされているところです。電中研の二つの発表と横山先生、中村先生の特別講演はある面でオーバーラップするかもしれませんし、ある面では対立もあるかと思います。しかし、地球温暖化問題への対応は二項対立があろうとなかろうと、もはや一致協力して克服しなければならない問題だと思います。

そういう意味で、本日、私どもの発表と横山先生、中村先生のご講演が、今後皆様方がそれぞれの立場で地球温暖化問題を考える際の参考にしていただくことにつながれば、社会の中でお役に立ち、頼られる研究所を目指す私どもにとって、これにすぐる喜びはありません。

それではこれから長時間にわたりますがご清聴いただき、何らかのご参考にしていただければと期待して、開会の挨拶にさせていただきます。ありがとうございました。


(財)電力中央研究所広報グループ