エネルギー未来技術フォーラム
「地球環境とエネルギーセキュリティの両立を求めて ―温暖化とポスト京都への対応― 」

第3部

ポスト京都への対応戦略

(財)電力中央研究所 社会経済研究所
上席研究員 杉山 大志


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ただいまご紹介にあずかりました電力中央研究所の杉山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

本日、私は「ポスト京都への対応戦略」というタイトルでお話をさせていただきます。すでに第1部、第2部のご講演にありましたように、温暖化対策は非常に重要である、不確実性はあるにせよ、真剣に対策を打たなければならない、このことについてはもはや非常に一致した見解があることは間違いないところだと思います。

私の話は対応戦略ということで、京都議定書以降の将来枠組み、国際的な枠組みのあり方、それから日本がどのような役割を果たしていくか、どのような温暖化対策をやっていくかということについてお話ししたいと思います。私がお話しする内容は、横山先生、中村先生のご講演と必ずしも一致しないところがあります。ただ、これは私どもなりに真剣に温暖化対策ということを考え続けてきた結果であり、また本日がきっかけとなって今後一層の議論が深まることになれば幸いです。

このような順序でお話ししていきます。ポスト京都に関する国際動向について初めにお話ししたあと、主に国際的な枠組みについての話をしばらく続けます。国際的な枠組みといっても、結局は真剣な個別の国の取り組みの集合ですから、日本国内の温暖化対策の在り方についても触れて、最後には特に日本に着目してどのような温暖化対策があるかをお話ししていきます。

はじめに、「1.ポスト京都への国際動向」ですが、COP3で京都議定書が採択されました。これが1997年でした。今度またバリでありますが、気候変動枠組条約の中の締約国の会合がCOPと呼ばれているもので、毎年毎年やっています。ただ京都議定書路線だけで十分かというと、そうではないという認識もあって、それがゆえにG8、サミットの場で温暖化問題が議論されるようになり、それが2006年のイギリス、グレンイーグルス・サミット、2007年のドイツ、ハイリゲンダム・サミットのあたりで非常に盛り上がってきた。2008年には日本の洞爺湖で7月にサミットがあります。ここに向けて安倍首相は大変に意欲を燃やしておられたのですが、残念ながら退任なさってしまいましたが、日本政府としてはこの洞爺湖サミットでどういったことを打ち出していくかが非常に大きな関心事で、いま産業界も含めて議論が頻繁になされています。

2008年はもう一つ京都議定書第一約束期間が始まる年でもあります。これから5年間で日本は数値目標6%達成と、これが国際法的な義務となっていますので、これを達成せねばならないということです。今日の主題である2013年以降については、まだ何も決まっていません。京都議定書を続けていこう、その第二約束期間の数値目標を決めようという人もいますが、その一方で、いや、京都議定書はもう限界があるからほかのやり方をしようという人たちもいます。この2013年以降に関する議論について、これからお話しします。

2013年以降についてたくさん、たくさん提案がなされています。ただその本質は大きく二つに分かれます。一つが京都議定書を延長ないし拡大していこうというもので、国別の排出総量の目標を掲げるこのアプローチはこのまま維持しよう。ただその数値目標の設定の仕方をいろいろ変えてみようというものです。詳しいことはお話ししませんが、平たくいえば、日本は6%という数値目標だったから、次は12にしようかとか、そういったような議論です。そのときにほかの国はいったい何パーセントにするか、そういうアプローチです。

これに対して、その下側にありますが、京都議定書を補完する枠組みの議論も進んでいます。補完する枠組みとしては、政策を各国でそれぞれ違っていてもいいから、それを宣言してお互いにそれを精査していくというプレッジ・アンド・レビューという考え方、それとだいたい方向を一つにしているのですが、アジア太平洋パートナーシップ、ないしG8のグレンイーグルス行動計画があります。

この補完する枠組みについてはあとで少し詳しくお話ししたいと思いますが、ここで1点だけ補足しますと、京都議定書を補完する。この補完するというのは、たぶんに外交用語ないしは霞が関用語です。心の底では京都議定書を補完するだけではなくて、代替したいと思っている人もいます。ただ京都議定書というのは、もう世界規模で認められた枠組みであるし、日本国としても第一約束期間に関しては数値目標を遵守するということがはっきり決まっていますので、それを代替するというのはちょっとお行儀がよくないということで補完するという言い回しが使われています。

いま二つの考え方があると申し上げたうちの一つが、京都議定書延長ないし拡大する。その対象となる国を増やしていくという考え方です。この考え方の論者は、京都議定書はだんだんと多くの国を取り込むようになっていって、世界中が排出枠をかぶっていくのだ、その数値目標はだんだん厳しくなっていくのだ、そうして世界の排出量が減るのだというシナリオを陰に陽に思い描いています。ただ私どもが見るに、それはむしろこれまでの傾向を見る限り逆のことが起きているというのが、このスライドです。

京都議定書は、拡大するのではなくしぼんでいる。1997年時点では、先進国は一応排出枠をすべてかぶっていた。その中には米国やオーストラリアもありました。そしてそのときには、途上国も10年後には似たような数値目標を持って、この枠組みに入ってくるはずだという期待が交渉担当官の間にはありました。ところが現実に起きたことはというと、むしろ逆で、アメリカもオーストラリアも離脱してしまいました。そういった中で日本、EU、カナダ、ロシアなど、アメリカやオーストラリアを抜きの先進国だけの排出の枠組みが発足しました。

ところが途上国はというと、交渉を繰り返すたびに数値目標を持った参加はしないということをどんどん明確にしてきています。この長期対話というプロセスがありますが、その中では交渉しないと言っている。これは対話をすることと、交渉しないということを両方書いてあって、これも外交用語ですが、要は対話というのは交渉しないというネガティブな意味で、交渉のテーブルには着きません、対話ならします、だけど数値目標の交渉はしませんと言ってきています。

こういった文言が交渉のたびにどんどん挿入されてきて、ナイロビを迎え、また新たに数値目標を第二約束期間について交渉しようという動きがCOPの中であります。ただ、いまのタイミングで第二約束期間の数値目標の交渉に応じると、おそらくそれは日本とEUだけが数値目標を持つ枠組みになるだろう。カナダも日本と同様に非常に厳しい数値目標を持っていたし、いまでも持っているのですが、カナダの排出量は目標年に対して35%程度上回っています。国内の政策も整っていない状況ですので、数値目標の遵守はほぼ絶望的、不遵守は非常に明らかだと見ています。このようなことが背景としてしっかり共有されるべきであると私どもは考えています。


これに対して、京都議定書を補完する枠組みの中のグレンイーグルス行動計画ですが、細かいことは今日は時間の都合で申し上げられませんが、G8のプロセスの中で、つまり先進国がすべて参加する、アメリカも参加する枠組みの中で議論がなされている。特徴をあえて二つ申し上げますと、技術開発の役割を重視していることと、部門別にエネルギー効率を比較する、この部門別の議論をしているということです。

それからもう一つの京都議定書を補完する枠組みであるアジア太平洋パートナーシップには、日米中、インド、オーストラリア、韓国の6カ国が入っていますが、ここも特徴を一つだけ挙げるとすると、部門別のタスクフォースが立ち上がっているということです。部門別といって何が目新しいかということですが、真剣に温暖化対策を考えようとすれば、それぞれの部門で何ができるかを真剣に検討しなければいけないので、当然部門別になります。

なぜこれが新しいかというと、京都議定書の数値目標を決める過程では、かなり任意性の高いかたちで、部門別のポテンシャルを十分に議論しないで、数値目標がいわばトップダウン的に決まっていた。そういったことから結局参加できない国が出たり、離脱する国が出たり、それから数値目標をまったく遵守する見込みのない国が出てくるということが起きたわけで、この部門別に交渉する、まず情報交換から始めるということはより真剣に取り組もうとする場合に当然の段取りであると考えられます。

いま申し上げたことを少し概念的に整理してみたいと思います。ポスト京都のことを将来枠組みと言ったりもするのですが、これについては二つの考え方の潮流があります。まず京都議定書は、排出枠を国ごとに割り当てようというもので、これを継続しようという考え方と、そうではない、部門別に見て技術がどういうふうに開発・普及できるか、途上国の文脈でいえば、いかにして効率を上げて、省エネを進めて、経済開発をうまく進めていくか、こういったことを中心に議論しましょうという考え方、この二つの潮流があります。最終的にはこの二つの潮流が組合わさっていくと考えられるのですが、当面どちらに第二歩を踏み出すか問われているわけです。

もう一つの概念的整理ですが、このG8やアジア太平洋パートナーシップという京都議定書を補完する枠組みでやろうとしていることは、枠組みの再設定です。何のことかというと、問題のとらえ方と対策の枠組みを再設定するということです。京都議定書では問題をCO2総量を規制することだ、全球の排出量を規制することだととらえました。そこで対策の枠組みとしては、排出枠を国ごとに割り当てようということになった。そして出現してきた構図は、それで各国の排出がうまく減ればよかったのですが、そうではない。現実に起きていることは交渉段階において排出枠を奪い合うということであり、交渉における相互不信であって、そうすると全体としては非常に非効率になるわけです。

どういうことか、もう少し平たく申しますと、COPの会場に行って、その交渉を見た経験が私は何度もあるのですが、各国とも情報をそもそも出しません。それからいいと考えられる技術移転の話などがあってもテーブルにそもそも出しません。なぜ出さないかというと、少しでも情報を出すとそれを悪用されて、日本が出した場合には日本の排出枠が削られる、ヨーロッパが出した場合にはヨーロッパの排出枠が削られる。お互い懐を見せないようにしてしまう。こういった中で交渉をしますので、相互不信に満ちている。そういうわけで非常に非効率なプロセスになっています。残念ながらそういった構図ができてしまっているということです。

これに対してG8やアジア太平洋パートナーシップ、京都議定書を補完する枠組みで考えられていることは、そもそも問題をエネルギーシステム全体を変革することだととらえましょう。対策の枠組みは、技術を開発・普及することであり、経済の効率を上げて省エネを進めていくことだととらえる。そうすると一つひとつの協力の対象については相互利益になる。どこの国も技術は大事だと思っていますし、省エネルギーはどこの国も関心があります。その相互利益のための国際協力をいくつもいくつも積み上げていく。これによって全体として温暖化問題の解決を図っていこうという考え方です。

最後にこの取り組みとして三つ、G8、アジア太平洋パートナーシップ、京都議定書を申し上げましたが、このメンバーシップについて見てみるとおもしろいので、ちょっとご覧に入れようと思います。まず京都議定書は当然日本が入っていて、それから先進国がいくつも入っています。アジア太平洋パートナーシップはこの6カ国が入っています。G8は先進国の取り組みで、G15はG8を少し拡大して途上国を取り入れて議論しようという枠組みですが、ここには先進国に加えて主な途上国が入っています。

この集合の積を取ってみると、すべての枠組みに入っているのは日本だけということになります。このように日本は非常に重要な位置にある。今後日本がどちらに踏み出すかということで、今後の世界の枠組み自体が大きく影響を受けるといったポジションにあります。

「2.長期的な排出削減目標のレビュー」です。いま国際交渉の話をずっとしてきましたが、国際交渉において、最近もう一つ非常によく取り上げられているのが長期的な排出削減目標に関する議論です。

各国の2050年に向けた諸提案としてこのようなものがあります。EUは産業革命前からの全球気温上昇を2℃以下にするという目標を掲げて、先進国は2050年に6〜8割削減するとうたっています。英国もだいたい似たようなことを言っています。米国は、ブッシュ大統領の演説では、明確な目標はうたっていないのですが、2008年末までに主要排出国で世界長期の目標設定をすると言っています。日本は安倍首相の「美しい星50」の演説で、だいたい欧州と似たようなこと、2050年までに世界全体の排出を半減以下にすると言っています。

これの意味ですが、まず温度上昇に関して、これはIPCCの私が属している第3部会にある絵ですが、2℃に抑える排出経路としてこのような絵が示されています。これは2100年までが横軸で、縦軸には世界の排出量が取ってあります。ここで2℃と言いつつ、実は1.5〜3.5℃というところになっているのですが、これは濃度を一定に決めても温度上昇にある程度不確実性があるので、こういった幅を持った議論しかできないので1.5〜3.5℃という言い方になっています。

この絵をご覧になると二つの特徴があります。一つはこの1.5〜3.5℃に抑えようと思うと非常に大規模な排出削減をしなくてはいけない。またこれが原点を横切っています。排出がマイナスになるような世界にならざるをえないかもしれない。この絵からわかることは、温度上昇については科学的不確実性もなお大きいということがまず1点です。濃度を一つに決めたとしても、温度上昇については50%程度の誤差はあるということです。それからその不確実性もありますし、また大規模な排出削減、排出がマイナスといったことを考え合わせますと2℃という目標は、掲げるのは結構ですが、仮に掲げたとしても具体的にそれに対応した排出経路はこうですと言える段階ではない。政治的理念の表現であると考えたほうがよろしかろうということです。

次に「3.IPCCによる排出削減技術の評価」ですが、大規模な削減ということについてIPCCでどんな議論をしているか、ご紹介したいと思います。

IPCCに関しては、今日の前の講演者の発表でもありましたが、いくつもの活動がなされています。この第3部会が温暖化対策の技術とコストを調べているところですが、私がその主執筆者をやっています。来週と再来週にスペインで統合報告書の最終的な議論と採択が行われる予定ですが、そこで第1部会の科学的知見から第3部会の技術とコストまでを統合したかたちの報告書が出ます。その主執筆者もやっています。この第3部会に関しては、将来枠組みに関して私どもの文献が三つ引用されることになりました。

この第4次評価報告の第3部会、対策の技術とコストの部会の答申ですが、1点目、2点目は当たり前のことを言っているのですが、3点目の「濃度安定化」は、すでに実用化された技術および今後開発される技術で達成可能であるとして、絵をつくっています。

どのような絵かというと、2000年から2030年までの累積の排出削減量の試算がこれです。各技術カテゴリーに対して4本ずつ棒がありますが、この4本の棒は異なる研究者グループが異なる数字を出していますので4本ずつあります。これを見ると研究者グループによって数字がいくらか違うのですが、四つのことが言えます。

一つは省エネルギーがやはり排出削減のポテンシャルとしてはかなり大きく、最も重要と考えられる。それから原子力についても、かつては否定的な見解を出す人も多かったのですが、いまではやはり重要なオプションであるという認知はかなり得られてきている。原子力も含めて再生可能エネルギー、CCS、CO2の回収処分については、研究グループによってそのポテンシャルに関する評価が大きく分かれます。それから一番下ですが、CO2以外のガス、これはメタンやN2Oなどですが、これの排出削減のポテンシャルも、実は省エネと同じぐらいあるのではないかとこのような点も一つ目新しいことかと思います。

これを2100年までで見るとどうかという試算もあるのですが、これについても一般的な傾向は変わらない。やはり省エネが一番重要であるということです。

以上、ずっと国際的な話をしてきましたが、ここで国内に目をいったん転じたいと思います。「4.国内の温暖化対策のあり方」です。

よく排出権取引が温暖化防止の切り札かのような議論がありますが、これは違います。その理由を端的にご説明します。

横軸は時間軸で、縦軸は発電量当たりのSOx排出量を取っています。よくアメリカで排出権取引制度が導入されて排出が減った、これは成功例であるといわれます。アメリカで1995年からSOx排出権取引制度が導入されて、確かに排出は減っています。

ただ、これを見て成功だとする論者は明らかに間違っています。というのは、アメリカはそれ以前も、直接規制などほかの政策手段によって排出を減らしてきていて、排出権取引制度がこのトレンドと大きく変わるものではないということが一つです。それからイギリスなどほかの国でも排出権取引制度を導入しなくても排出はどんどん減っています。もっと印象的なのが日本です。1965年、公害がひどかったころから大規模な技術開発、直接規制、税控除、補助金、協定と非常に多くの政策手段の組み合わせによって大規模な排出削減を実施して、しかもこのあとずっと低い水準を保っている。もう一つ付け加えると、ドイツ、韓国などの国々も対策を始めたのは日本よりずっと遅かったのですが、大規模な排出削減に成功して、アメリカよりずっと下の水準まで排出を減らしています。

このようにしてみると、排出権取引が成功だったということは、少なくともこの絵を見るとまったく言えない。ほかの国がほかの政策手段で実現したことを、かなり遅ればせに、しかものろのろとやっているに過ぎないことがよくわかるかと思います。

なぜ排出権取引ではだめなのかということで、かなり詳しい分析をしました。文献については外にサンプルがありますので、ぜひご覧いただきたいのですが、今日は端的に申しますと、アメリカのSOxの排出権取引市場とEUのCO2市場を両方分析しました。そうすると価格は乱高下、あるいは暴落する傾向にあいます。これは排出枠の割当ては非常に難しい政治的なゲームだからです。そうするとこれを見て企業はどうするかというと、技術開発は、むしろやめてしまう傾向にあったことがわかります。それから企業は設備を更新しようとしないで、むしろ模様眺めをする傾向になったこともわかります。

フェアに言うために、何も効果がなかったわけではない。排出は少し減っています。これは既存の技術によって、安価な対策手段があってはっきりしている場合に、その普及には一定の効果がありました。ただ先ほどのグラフでお見せしたように、その効果はほかの政策手段に比べては、むしろ劣るものであるということです。

似たような分析を環境税でもしました。こちらはごく手短にいきますが、やはり環境税も教科書上いわれているようなメリットは、実は実現しているとは言いがたい。実現していないか、あるいは少なくとも議論が割れていて何とも言えないということです。

環境税を導入しているのは北欧諸国ですので、その事例を私どもは詳しく分析しました。理論的には環境税は効率的だとよくいわれますが、ただこれはちょっとばかげた前提を置いています。均一税率が仮に導入されたらという前提があるのですが、実際には政治のプロセスで税金を決めるときに均一になるはずがないので、この前提自体が現実に照らして正しくない。

実際に起きることは、競争上の懸念から、重工業は免税にして、家庭部門にだけ高い税金が残るのですが、家庭部門は高い税金をかけても排出はなかなか減りません。そんなに高い税率で、本当に排出が減るような税率にしようということはどこもやっていない。それもまた政治的に非常に難しいということで、結果として排出削減効果は低いということです。

そうすると排出権取引と環境税がだめだといったあとで、では何ならいいのかということですが、私どもは日本の、一口にいえばきめ細かい政策ですが、部門別、技術別に何が可能かを検討して、必要な政策手段を打っていく。あまりエレガントではないのですが、こういった地道な、現実に即した政策が最もいいだろうと考えています。それを少しお話しします。

日本の省エネ経験に学ぶということですが、ここではルームエアコンの例を出しています。ルームエアコンの効率を縦軸に書いてありますが、成績係数というのはだいたい効率のことです。成績係数が3.0というのは、投入のエネルギーが1kwであったときに暖房能力ないし冷房能力が3.0になるということで、そうすると見かけ上の効率は100%を超えるのですが、別にこれは熱力学の法則を破っているわけではなくて、エアコンというのは部屋の外から熱を取ってきたり、外に熱を持って行ったり、ヒートポンプ、熱をポンプで運ぶだけですので、見かけの効率は100を超えることができます。

これが1997年までは成績係数3.0ぐらいだったのですが、いわゆるトップランナー規制が導入されてから、メーカーさんの大変な努力によって効率が10年で一気に倍になった。いまの効率は成績係数が5.5あたりになっています。これは非常に大きな進歩で、これほど成功した温暖化対策は世界でもおそらくほとんど例がないと見ることができます。

それから技術開発プログラムをたくさん日本は実施してきました。新エネルギー、省エネルギーについて開発をしてきました。

これについても私どもは事後評価を試みました。このような枠組みで国がどれくらいお金を使って、どれぐらいの省エネ、CO2削減を実現してきたか勘定しました。今日は時間の都合で詳しいことはお話しできませんが、結論だけ申し上げますと、その費用対効果を勘定します。それから事例を詳しく見ていくと全部で23のプロジェクトを見て、そのうち10のプロジェクトから実用化につながった成果が出た。必ずしも実用化につながっていなくても、産業育成につながったとか、あるいは重要な技術テーマを設定した、民間の開発投資を促進したといった効果も報告されています。

これを総合化しますと、国プロ全体としていま最初にお見せした23のプログラム全体としては、おおむね妥当な成果であったのではないかと考えています。ここで大事なのは、失敗例もたくさんあります。実用化につながっていないものもたくさんあります。ただ、それは一種国プロというのはむしろそういうリスクをとるためにあるもので、いくつか成功して、それが大きな成果を上げた。23のプログラム全体ではだいたい正当化できる成果といえると私どもは考えています。

いま早口になって恐縮でしたが、効率基準と政府技術開発プログラムがそれなりに貢献をしてきたということを申し上げました。日本の省エネ水準は、いろいろな指標で見て、本当のトップではないにしろ、だいたい世界一の水準にあるのですが、その要因を少し考えてみたいと思います。

政府の施策はあったのですが、それだけではないでしょう。エネルギー価格が上がったこととか、企業の自主努力はもちろんありました。これはもっと目を広げてみると、たくさん、たくさん政府施策もあるし、外的要因もあるし、企業活動の要因もあるのですが、一口にいうと世界一の省エネ水準がきめ細かい対応で実現された。こう申しますと、ではこれからどんどん政府の規制は増えていくのか、それはうれしくないねという話がもちろんあるのですが、いま欠けていることは政府の施策のうちどれがどう有効だったのか、その因果関係をきちんと同定していって、古い制度やいらなくなった制度はつぶして、よかったものは今後も進めていく。そういったたゆまぬ制度評価と制度改善です。これは政策のPDCAという言い方もされていて、経団連の10月16日付のポスト京都に関するポジションペーパーでもだいたい似たようなことが書いてありますが、それの私なりの解釈はこういうことです。

いま国内の話をしました。ここからまたポスト京都の話に帰って、「5.ポスト京都の枠組みと日本の役割のあり方」をお話ししたいと思います。

「美しい星50」演説、安倍首相は辞任してしまいましたが、ときの首相がおっしゃったことですので、日本としては非常に重い位置づけになります。そこで言われたことは二つです。一つが長期的な取り組みとして、世界の排出量を2050年までに半減以下にする。

一つは「長期的な取り組み」に関する考え方です。世界の排出量を2050年までに半減以下にする。現在技術では達成困難で、日本は技術開発で貢献する。環境と調和した社会を「日本モデル」として世界に発信していく。こういったことがうたわれています。

それから「ポスト京都の三原則」として、米国、中国など主要排出国がすべて参加する。各国事情に配慮した柔軟かつ多様性ある枠組み。それから環境保全と経済発展の両立として、日本提案に応え自国の政策を積極的に変える途上国を支援する新しい「資金メカニズム」を構築する。こういったことがうたわれています。

いまのポスト京都に関する日本国内での政策論争は、これをどう解釈していくかということになります。以下ここでハイライトしたキーワードについて私どもなりの解釈についての提案をお話ししたいと思います。

まず「排出国がすべて参加する、柔軟かつ多様性ある枠組みのあり方」とは何か。これはある意味、事実として始まりつつあると申し上げたいと思います。欧州は、排出権取引を域内で整備して、再生可能エネルギーも積極的に導入していく。そういったかたちを取っています。一方でアメリカはというと、いま国際的な動向とは関係なく、国内でとにかくまず温暖化対策をどうしようか固めていこうということを徹底的に考えています。これは次の大統領がだれになってもまず変わらない。

これが8月時点での日本国内の合意、最大公約数のコンセンサスだったと思うのですが、これをどう具体化していくか、どう解釈していくかがいまの日本のポスト京都に関する議論の文脈になっているわけです。私どもなりにこれを解釈すると、このようになりますということをこれからお話しします。

まず排出国がすべて参加する柔軟かつ多様性ある枠組みとは何かということですが、これは現実問題として柔軟かつ多様性のある枠組みというものになりつつあることをまずお話ししたいと思います。

欧州は排出権取引を中心とした枠組みをもうつくっていて、これはおそらく動かしようがない。その一方でアメリカはというと、温暖化対策についてブッシュ政権以降はさらに強い温暖化対策を打ち出してくることは、だいたい識者の意見が一致しています。ただそれは京都議定書への回帰ではなくて、独自の枠組みであろうといわれています。たとえばバイオ燃料とかCO2の回収貯留などがいわれていますが、排出権取引も入るかもしれませんが、欧州とは違う排出権取引になるだろう。こういった欧米が違うものを打ち出している。

ならばここで日本が第三の柱として、いままでやってきた実績あるきめ細かな政策を続けていくことは十分にあるうるだろう。中国などもこれまで省エネに熱心でしたし、今後も熱心です。それを認めるということであれば、この枠組みに入ることには別に非はない。いま中国が抵抗するのは、排出枠をかぶせようとするから嫌がるのであって、省エネを進めることについては国策になっていますので、これはかまわない。そうすると国際的な枠組みの役割とは何かというと、こういった国別の、地域別の異なる取り組みをお互いに認めることだ。お互いにその進捗をチェックすることだ。それをたとえばG15で実施したらいいと私は思うのですが、このような枠組みが一つ考えられます。

各国事情に配慮したというキーワードがあるのですが、このときに二つのことを日本国内でコンセンサスとしてきちんと持っておくことが大事だと考えています。一つがエネルギー安全保障です。これは釈迦に説法だと思いますが、日本はエネルギーを多様化してきて、特にオーストラリアからの石炭輸入は、その中心的な存在であったわけです。これを容易に減らすわけにはなかなかいかないということが一つです。

もう一つ、技術革新力ある製造業は死活的国益であるという認識が必要だと考えています。というのは、製造業は日本の基幹産業であり、世界で日本が尊敬されているのは日本製品を通じてである。この認識が非常に大事だと思います。私は商売柄、世界中に行きますけれども、みんな言うことは、俺はこの製品を使っている、パナソニックであり、ソニーであり、トヨタであり、すばらしい。そういうふうに日本を尊敬してくれています。この認識は非常に、非常に大事です。仮に温暖化対策を一生懸命やったとしても、日本がいい製品をつくれなくなったら日本を知る人、日本を尊敬する人は非常に減るだろうと思います。

それからもう一つ、単に国益であるというだけではなくて、技術革新は温暖化の解決策にもなるのだということを申し上げたい。これは皆様もそう思っていらっしゃると思いますが、これについて少し詳しくお話ししたいと思います。

これを一口で言うと、製造業の成長と温暖化対策の調和が必要ということですが、日本で何が起きているかということを一つ把握しておく必要があると考えています。というのは、環境系の方とお話をすると、ときどき日本経済もこれからサービス化するのだから、もう製造業は外に出て行って排出は減るのだというシナリオを書いておられる方も実際にいます。

ただそれとは逆にことも起きています。どういうことかというと、国内の工場もどんどん建っている。それはなぜ建っているかというと、半導体、PDP、液晶、自動車など技術開発が本当に必要な部門で、量産工場と技術開発部門、それから消費者、このすべてが近いところにないと技術開発競争には負けるという認識があるから国内の工場立地がどんどん進んでいるわけです。どのような温暖化対策にしろ、こういった流れを止めてしまうと、国内で技術開発をすることが難しくなる。そうすると結局は温暖化防止のためにもよくないのではないかということが一つ考えられることです。

いま技術の話をしましたが、技術開発で世界に貢献するとはどういうことか、先ほどのIPCCの絵でもう一度お話ししますと、省エネ、高効率化というところで特にポテンシャルが大きい。ここに対して日本は技術の開発と対策、言ってしまえば対策手段の提供、ほかの国が排出を減らしたい。それは別に排出権取引でも何でもいいのですが、そういうときに技術がないとやはり削減できない。日本の役割はその技術を提供することだと考えられます。

このように申しますと、では技術をただでくれてやるのかという話がありますが、それは違います。この技術移転に関する話は、特に気候変動枠組条約での議論は非常に不毛です。中国やインドが言うことは、最先端技術をただでください、もしくはそれを買うお金をくださいと言います。ただこれは現実の認識としてまったく間違っています。主張としても間違っています。

どういうことかというと、技術移転というものは、実際にはいま途上国で活動する私企業によってほとんどが行われています。すなわち中国で合弁企業とか外資企業、あるいは中国企業であっても外からライセンスを買ってきて自前で生産してすばらしい製品をたくさん生み出して世界中に輸出しています。このようにして技術を生産する能力、技術を使う能力は途上国にどんどん移っていく。それは先進国がただであげたりするといった行為とはまったく関係がないわけです。

途上国で活動する私企業は重要ですが、省エネルギーを実現するためにはどうするかというと、はっきりしていることは、省エネルギーの制度がきちんと整っていて、法律があって、政令があって、実施されていて、遵守していない場合にはその執行を強化する。そういったことがきちんとしていないと省エネルギーは進まないということです。

こういったことをやるときに、中国はトップレベルでは省エネをしたいのですが、実際にはその省エネの担当者、省エネ科のスタッフとかそういったレベルでは十分に行政リソースが割り当てられていないのが実態ですので、そこにピンポイントで資金提供をしてやるのがこの考え方です。中国は十分お金があるからそんなことはいらないだろうというご意見はごもっともですが、その一方で、十分お金がありながら、政治・行政というものは一夜では変わらないので、変えるべきところは支援をしてやって、これを呼び水として中国自身が本気で取り組むようにしていく。こういった考え方です。

国際枠組みに求めることはこういった活動をきちんと認知してもらうということで、これはCDMとはたぶん全然違う枠組みが必要になります。

最後にまた日本に帰りまして、「6.ニア・ゼロエミッションへのシナリオ」をお話ししたいと思います。

なぜニア・ゼロエミッションかというと、先ほど長期目標の話をして、2℃というのは政策的理念に過ぎないかもしれないと言ったのですが、どんな濃度に対してでも安定化しようと思うと、温暖化の悪影響を本当に避けようと思うと、必要なことは今世紀の半ばから終わりにかけて、非常に大規模にCO2を減らすことです。それは現在の4分の1なのか、10分の1なのか、それはわからないですが、いまとは全然違うエネルギーシステム、CO2を出さないエネルギーシステムをつくっていかなければならない。それをどうしたらよいかということですが、ここでは「電気利用の賢い拡大」という副題をかけていますが、経済活動と環境保全を両立するためには、この三つの柱で進めていけばできるかもしれない。そういうシナリオをお話ししたいと思います。

一つ目の柱が電気機器の省エネ、二つ目が発電CO2原単位の改善、三つ目が電気による炎の置き換えで、大前提は「活力ある製造業と技術革新」、こういったことについて詳しくお話ししていきます。

最初にポンチ絵で考え方だけご説明します。いまCO2が発電所、自動車、工場、家庭から出ています。この円全体は日本全体のCO2排出量だと思ってください。まず車、工場、家庭のエネルギー供給を電気に切り替える。炎を電気で置換すると、発電所からCO2は出ますが、ほかからは出なくなる。ただこのままではCO2が減っていることにはならない。ところが電気機器は省エネのポテンシャルが現状でも多くありますし、今後ますます見込めるということで、パイ全体を小さくすることができます。そして最後に発電部門は、いまのところやはり火力発電が主力ですが、これをCO2がずっと少ない発電にすることでCO2をかなり減らすことができる。このような方法で日本全体の排出量を減らすことを考えてみます。

三本柱と申し上げましたが、一つ目が省エネです。これは先ほどご説明しましたように、規制の役割も一定程度あります。こういったことは不断にやっていかなければならない。それから発電CO2の原単位を、短期的な難しさはいろいろありますが、長い目で見ればCO2をずっと減らしていくことは十分に可能だろうと考えられるわけです。このときに、特定の技術に願掛けをしなくていい。いくつもの技術を進めていって、普及するものが出てくればそれでいい。こういう懐の深さがあるというのが系統電力の特徴であると考えられます。

すなわち原子力、ゆくゆくは太陽電池などが実用化されていくと、そういったものを中心にして排出量を大幅に減らすことができる。それから不幸にして原子力や太陽電池がうまくいかない。その割合がなかなか増えないという場合には、いま研究されているCO2の回収処分、化石燃料発電所からCO2を回収して地中や海などに処分するといった技術が使えるようになるかもしれない。こういった特定の技術の製品に依存しない、懐の深い戦略であるということが系統電力の一つの特徴であると考えられます。

このCO2排出が大幅に少ない電源構成、発電構成は決して夢物語ではなく、すでに原子力の多いフランス、水力の多いカナダなどでは日本よりもかなり少ない排出の水準にあるということがいわれています。

三つ目の柱で、電気による炎の置き換えですが、これは少し詳しくお話ししますと、いま一つの居間でエアコンとストーブ両方ある家庭は多いと思うのですが、暖房のときに皆様が何をするかというと、エアコンを止めてストーブをつけている場合が多い。ところがこれは反対にするだけで、実はかなりCO2が減ります。非常にざっくりとした試算ですが、1年の日本のCO2の排出量を1%ぐらい減らすこともありうるということがわかります。これは知識として何となくエアコンは高いものだと思っておられる方が多いのですが、実のところランニングコストはそうでもないし、単に啓蒙普及が足りないという部分もあるかと思います。

またエコキュートでCO2が大幅に減るという話とか、最近はプラグインハイブリッド車といって、ハイブリッド車を系統電力につないで電気を充電する。これによってもCO2が減る。このような試算がいくつか出てきています。こういった電気による炎の置き換えは温暖化対策の重要な柱であると考えられます。


いま三本柱を申し上げましたが、その根っこにあるのは活力ある産業です。それが革新的な温暖化対策の技術をもたらしますということを少しご説明します。

ノートパソコンは、温暖化とはまったく関係ない、ただ市場のニーズは非常に強い製品で、活発な技術開発競争が行われています。その結果、どういうことが起きるかというと、シリコン半導体の技術が非常に進歩する。コストが下がる。太陽電池がいまそこそこのものになってきて、普及しつつありますが、これがなぜ可能になったかというと、一つには国の技術開発プロジェクトを30年続けたということがありますが、もう一つ重要なことは、半導体産業全体が進歩して、シリコンの結晶や加工技術が安い値段で、いいものができるようになった。このことが重要なわけです。

もう一つ例を挙げますと、携帯電話があります。携帯電話をめぐっては、これまた非常に活発な技術開発が行われており、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池がそういった中でどんどん進歩してきた。これが今後ハイブリッド車に積まれていくようになる。リチウムイオン電池も積まれていくようになって、それがプラグインハイブリッド車や電気自動車といった革新的な温暖化対策技術につながっていくという構造があります。

ここで申し上げたいことをまとめますと、魅力的な商品があるとそこで研究開発課題があって、激しい競争が起きる。それは最初温暖化とは全然関係のないものです。ただ、それが高性能化され、応用、転用されて最後に政策がある程度介入する。ハイブリッド車や太陽電池については最初は補助金がある。こういったうまい組み合わせがあると本当に革新的な温暖化対策技術が生まれてくる。この組み合わせが重要であるということです。こういった話は書き出すといろいろ書けることがわかってきて、いまどんどんさらにこういった絵を充実させていこうと考えています。

もう一つ、いまの文脈でのお話を申し上げますと、発光ダイオードですが、昔は赤しかなかった。それからもう一色ほしいということで緑色ができて、電話機に二つライトがついたりしました。青色LEDが実用化されて、赤、青、緑の三原色が初めてそろって、それで白色のLEDも可能になってきた。以上の動きは、温暖化対策とはまったく関係のない動きだったのですが、半導体の照明は、実は究極の省エネ照明であるだろうということがだんだん言われてきています。

実際に蛍光灯を上回るパフォーマンスはもう十分に視野に入っています。これが普及していくということで、非常に大きな省エネルギーが世界規模で期待できる。またさらにここでおまけがついて、LED照明ですと、電球の取り替えはいらなくなる。これも非常に大きなメリットだといわれています。

このようにして活発な研究開発活動、活発な産業活

動がいかに革新的な温暖化対策技術につながっているかということがご理解いただけたかと思います。

最後に、以上申し上げた三本柱を組み合わせて、将来のシナリオを勘定してみました。それがニア・ゼロエミッションというものです。これは1本だけお見せするのではちょっとコントラストがはっきりしませんので、2番目として天然ガスを普及・拡大することで排出を削減するというシナリオと、それからいまのエネルギーの燃料の構成は変えないで、省エネルギーだけをやっていくということでどこまで行くかというシナリオについても排出量を勘定してみました。

それをやってみた結果ですが、一人当たりのCO2排出量で見て、この三本柱を中心にしたニア・ゼロエミッションのシナリオであれば、2100年までに大規模なCO2削減が可能であろう。その一方で天然ガスの普及を急ぐというものは、短期的には成果はありますが、やはり天然ガスを燃やすとCO2が出ますから、途中で頭打ちになる。いまのエネルギーの利用の構成を変えないで、省エネだけを進めても排出はあまり減らないということがおわかりいただけるかと思います。

いまのニア・ゼロエミッションシナリオを絵でもう一回まとめますと、電気による炎の置き換え、それから電気機器の省エネ、発電CO2原単位改善の三本柱があります。この三本柱はそれぞれ温暖化対策以外の要因でも推進されるものです。この中には非常に多くの技術の要素があって、これらが進んでいかねばならないのですが、その根っこにあるのは活力ある製造業と技術革新です。

このように電力を中心として温暖化問題を解決していこうというシナリオに関する研究は、私どもだけではなくてアメリカの電力研究所、EPRIや欧州の電気事業連合会、EURELECRICでもこういったシナリオの研究がされて、最近そのレポートが出つつあります。こういったところとも相互に連携しながら、世界規模でのこういった考え方を煮詰めていきたいと考えています。

最後に「第3部まとめ」ということで、私の話をおさらいします。「1.ポスト京都の動向」として、排出枠は、短期的な排出枠だけの議論から長期目標、それから多様性ある柔軟な枠組みも議論されるようになってきました。

「2.政策手段のあり方」、国内の政策手段ですが、排出権取引や環境税を切り札のように言っている言い方はたぶん間違いだ。何が有効かというと、日本がずっとやってきたきめ細かい政策が実は有効な点があったわけで、それを評価・改善していくという取り組みが重要であると申し上げました。

「3.将来枠組みのあり方」として、各国がこういうことをやりますとその政策を誓約して、その履行を確認するというプレッジ・アンド・レビューについての考え方をお話ししました。

「4.日本の役割のあり方」ですが、技術を通じて世界の排出削減に貢献する。途上国への支援のあり方としては、省エネの制度をきちんと形成するように、それを支援する。こういったところにお金を出してもよいのではないかという話をしました。

最後に「5.ニア・ゼロエミッションの長期戦略のあり方」ですが、日本における大規模な排出削減のあり方ですが、これについては三本柱を中心とした考え方があると提示させていただきました。

ちょっと早口になって恐縮でしたが、私からの発表は以上でおしまいです。ご清聴どうもありがとうございました。(拍手)

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(財)電力中央研究所広報グループ