電力中央研究所では、原子力発電所から出る使用済燃料に対する中間貯蔵の安全・安心な輸送・貯蔵技術の知見や基準を共有・整備するとともに、今後の課題について、幅広く意見交換をすることを目的とした国際セミナーをIAEAとの共催で電力中央研究所狛江地区において、11月15日〜16日に開催いたしました。 また、17日は、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の乾式金属キャスク貯蔵施設および共用プール貯蔵施設の見学会を実施いたしました。本セミナーは、2003年、2006年にも実施しており、今回は、三回目の開催となります。
開催期間中は、12カ国の貯蔵の専門家も交え、電力各社、企業、国家機関などから延べ311名(1日目:148名、2日目:129名、3日目(見学会) :34名)の参加をいただきました。ご参加いただき、誠にありがとうございました。厚くお礼申し上げます。
セミナー1日目は、各国の使用済燃料貯蔵の状況および管理方法や、現在、むつ市で建設中の我が国初となる中間貯蔵施設についての報告がされました。 また、パネルディスカッションでは、「ステークホルダーにとっての中間貯蔵」をテーマとして、むつ市の宮下市長、リサイクル燃料貯蔵株式会社の久保社長、また、尾本原子力委員、更には、スイスの中間貯蔵施設を有するビューレンリンゲン村のSchneider名誉村長、ツビラグ中間貯蔵施設のHeep施設長をお招きし討論が行われました。会場からも質問が出され、活発な討論会となりました。 セミナー2日目は、技術的な発表がおこなわれました。特に、使用済燃料貯蔵として重要となる使用済燃料や貯蔵容器の長期健全性に関する発表については、専門的詳細な質疑応答が行われました。また、両日において、日立GEニュークリア・エナジー(株)、 三菱重工業(株)、日立造船(株)、(株)神戸製鋼所、東洋エンジニアリング(株)、(株)オー・シー・エル、日本軽金属(株)、トランスニュークリア(株)によるポスターセッションも行われ、各社の貯蔵技術開発に対する取り組みが発表されました。 セミナー3日目は、外国人14名、日本人20名の計34名が、見学会に参加されました。見学では、敷地内輸送・貯蔵の手順や放射線管理の方法等について活発な質疑応答が行われました。
参加者からのアンケートでは、パネルディスカッションにおいて、中間貯蔵施設を受け入れる自治体の考え方を聞くことができ良かった。また、国際的な情報交換が、この分野の研究推進に有益であることを感じたとの意見が寄せられました。
狛江地区会議場
パネルディスカッション
見学会