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学術論文

2017(平成29)年度 学術論文一覧

番号 1
筆頭著者 相山 光太郎
論文名 断層破砕帯の詳細構造解析に基づく断層の活動性の検討:山田断層の例
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 応用地質/第58巻1号/2017年4月/17
概要 断層破砕帯の構造や構成鉱物を明らかにすることは、断層の活動性を評価するために重要である。 そこで、活断層と第四紀以降に活動していない断層の特徴を把握するため、 花崗岩露頭中に発達する山田断層の破砕帯を対象に詳細な構造解析を実施した。  山田断層の破砕帯は断層ガウジ帯や、断層角礫、カタクレーサイトから構成され、主断層面や数条の小断層面が認められる。 主断層面は未固結堆積層を切り、断層ガウジ帯を伴う。断層ガウジ帯は10枚の断層ガウジからなる層状構造を呈する。 この10枚の断層ガウジは右横ずれ剪断(せんだん)運動を示す複合面構造を呈し、 主にスメクタイトからなるため、スメクタイト生成後の地殻浅部での繰り返し剪断運動により、断層ガウジ帯が形成されたと考えられる。 小断層面は未固結堆積層との関係が不明で、断層ガウジを伴わず、カタクレーサイトと接する。 カタクレーサイト中には、地殻深部で塑性変形した黒雲母が認められ、地殻浅部の活動を示す構造は見られないため、 この小断層面は第四紀以降に活動していないと考えられる。
番号 2
筆頭著者 伊藤 久敏
論文名 Zircon U-Pb dating using LA-ICP-MS: Quaternary tephras in Yakushima Island、 Japan
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Journal of Volcanology and Geothermal Research/338/2017年5月
概要 屋久島に分布する3枚のテフラのジルコンを用いたU-Th-Pb年代測定を行い、良好な結果が得られたので国際誌に投稿する。 すなわち、安房テフラから0.96 ± 0.17 Ma、小瀬田火砕流から0.63 ± 0.04 Ma、K-Tzテフラから0.17 ± 0.05 Maが得られた。 このうち、K-Tzに関しては、噴出年代とされる約0.1 Ma(すなわち10万年前)より少し古い値が得られたが、得られた0.17 Maは多くのジルコンの加重平均年代であり、最も若いジルコンの年代は約0.1 Maを示すことから、得られた年代値は信頼性が高いと判断した。 さらに、K-Tzには1 Maや0.6 Maの年代を示すジルコンが含まれることから、給源が不明とされてきた安房テフラと小瀬田火砕流がK-Tzと同じ鬼界カルデラ起源であると推定されることを述べる。
番号 3
筆頭著者 伊藤 久敏
論文名 Zircon U-Pb dating using LA-ICP-MS: Quaternary tephras in Boso Peninsula、 Japan
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Quaternary Geochronology/第40巻/2017年5月
概要 房総半島で採取した6枚の第四紀テフラのジルコンのU-Pb年代測定を行った。 房総半島の第四紀テフラは、国際的な第四紀の年代尺度の基準候補となるなど、正確な年代決定の意義は大きい。 測定した6枚のテフラのうち、2枚からは信頼性の高いテフラの噴出・堆積年代が得られた。 残る4枚は想定されているテフラの噴出・堆積年代よりも古い年代を示したが、これらはテフラの堆積時に混入した異質ジルコンと判断した。
番号 4
筆頭著者 中田 弘太郎
論文名 地下水トレーサとしての蛍光染料の分析と試料溶液の保管法の検討
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 地下水学会誌/59巻、3号/2017年8月/205-227
概要 地下水のトレーサとして頻繁に使用される蛍光染料について、分析や使用・保管における留意点および対応法をまとめた。 分析においてはpHの影響が最も大きく、緩衝液でpHを緩衝して分析する必要がある。また、天然有機物が共存することにより、見かけの蛍光染料濃度が増減するため、事前の確認が必要である。 また分析の前処理として一般的な、フィルタでのろ過もウラニン・エオシンの分析値に影響を与える可能性があるため、フィルタの素材・ろ過のやり方に留意する必要がある。 使用・保管においては基本的に遮光しておけば変質する可能性は低いものの、地下水中に含まれる微生物等により蛍光染料が変質する可能性があるため、事前の確認が必要である。
番号 5
筆頭著者 伊藤 久敏
論文名 Magmatic tempo of Earth’s youngest exposed plutons as revealed by detrital zircon U-Pb geochronology
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Scientific Reports/7巻/2017年9月/
概要 深成岩は地下数kmの深さで生成されるので、地表に露出する若い深成岩は、その地域が最近急激に隆起・削剥を受けた地域であることを意味する。 世界で最も若い深成岩と二番目に若い深成岩は黒部川花崗岩と滝谷花崗閃緑岩であり、ともに飛騨山脈に分布する。 これらの深成岩の生成年代を正確に知ることは、若い山脈の形成過程を理解する上で重要である。 今回、これらの岩石と河川砂を用い、ジルコンのU-Pb年代測定により、これらの深成岩の形成史をより明らかにした。 その結果、黒部川花崗岩は約2.3Maと約0.8Maに生じ、滝谷花崗閃緑岩は約1.6Maに生じたことが明らかになった。
番号 6
筆頭著者 太田 一行
論文名 Quantification of spatial lag effect on sediment transport around hydraulic structure using Eulerian-Lagrangian model
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Advances in Water Resources/Special issue THESIS-2016/2017年10月
概要 掃流砂の非平衡性が卓越する場では、掃流砂の加速・減速の影響(空間遅れ効果)が河床変動解析結果に影響を及ぼす可能性が指摘されている。 本論文では、水理構造物周辺の掃流砂量をEuler-Lagrange型の数値解析により定量化し、掃流砂の空間遅れ効果が河床変動解析結果に及ぼす影響を考察した。
番号 7
筆頭著者 鈴木 浩一
論文名 物理探査法による地中送電線周辺土壌の固有熱抵抗の評価(その2)−未固結地盤を対象とした物性モデルと固有熱抵抗モデルの相関−
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 物理探査/Vol.71/2018年1月/'1-14
概要 地中送電線路の設計では、送電線周囲の土壌の熱抵抗は送電容量を決定するための重要なパラメータとなる。 従来は、経験に基づく安全側の基準値で代用されており、必要以上に大きい断面積のケーブルで施工される場合が多い。 従来、人工土壌試料による実験式に基づき、比抵抗から熱抵抗を推定する方法を示しているが、現地で採取した土壌試料から比抵抗や熱抵抗を測定しておく必要があった。 そこで、未固結砂モデルに基づき、砂粒子・粘土粒子・間隙水の並列回路と空気との直列回路よりなる熱抵抗評価モデルを提案し、 このモデルによる計算値は未固結土壌試料による室内試験で得られた飽和度と熱抵抗の関係をよく説明できることが分かった。 さらに、S波速度と間隙率との関係式と比抵抗と間隙率の関係式を組み合わせた熱抵抗の推定フローを提案した。 本フローを地中送電線埋設予定地点で行われた電気探査および表面波探査データに適用した結果、比抵抗とS波速度から推定した熱抵抗と過渡探針法により測定した熱抵抗は、概ね整合することを確認した。 以上より、提案した方法は最適なケーブルの設計に充分適用できると考えられる。
番号 8
筆頭著者 澤田 昌孝
論文名 断層変位評価のための高性能数値解析手法の開発
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 土木学会論文集A2(応用力学)/Vol.73、 No.2/2018年1月/I_699-I_710
概要 信頼ある地表断層変位の推定手法は断層変位に対する重要構造物の設計・安全評価を行うために重要である。 断層変位の推定手法として数値解析による推定が考えられる。 本論文では、1) 厳密に導出した高次ジョイント要素、2) エネルギー保存に優れた陽的シンプレクティック時間積分という2つの機能を有する有限要素法プログラムの開発を行った。 本有限要素法プログラムは並列計算による大規模解析が可能である。断層を含む地盤の比較的単純な3 次元モデルに開発したプログラムを適用し、その検証を行った。 また、開発した解析手法は100 万自由度程度のモデルに適用可能で、計算時間も十分に短いことを示した。
番号 9
筆頭著者 江口 譲
論文名 Numerical Pressure Retrieval from Velocity Measurement of a Turbulent Tornado-Like Vortex(速度計測に基づく竜巻状乱流渦の圧力分布計算)
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Journal of Wind Engineering & Industrial Aerodynamics/Vol.74/2018年1月/61-68
概要 原子力発電所の安全審査において、竜巻の風荷重、竜巻飛来物衝撃荷重のほかに竜巻通過時の建屋内外の気圧差荷重の評価が必要である。 現在は単純な渦モデルで竜巻の圧力分布を評価しているが、大きな保守性が含まれているものと考えられる。そこで、竜巻内の圧力分布を推定するために、 テキサス工科大学の大型竜巻模擬実験装置VorTECHで計測された速度を入力データとして、その3次元圧力分布を当所の圧力逆算解析コードv2pで求めた。 この圧力計算では、計測で得られた時間平均速度のほかに乱流量(レイノルズ応力)を考慮している点にオリジナリティがある。 VorTECHで計測された床面での圧力分布と本解析で得られた圧力分布の計算結果を比較したところ、レイノルズ応力を考慮した圧力が考慮しない場合に比べて実験値とよく一致することが示された。
番号 10
筆頭著者 甲斐田 秀樹
論文名 実規模木材の水中・気中衝突実験
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 土木学会論文集B2(海岸工学)/Vol.73、 No.2/2018年1月/I_1159-I_1164
概要 津波漂流物の被害を受けることが想定される臨海部の構造物・施設等の設計・リスク評価においては、その挙動および衝突力の適切な評価が肝要である。 本報では、これらに関する各種知見の確立・高度化に向けた検討のベースとすべく、衝突力計測が可能な鋼板に実規模木材を気中・水中で衝突させる大規模実験を行った。 まず、気中衝突実験の結果を用いて、既存の衝突力推定式の精度を確認した。 次いで、初期水位や最大流速の異なる5種類の遡上津波を用いた木材の水中衝突実験により、 遡上津波中の作用を受けて漂流する木材の挙動および衝突時の特徴について検討を行い、被衝突体前面における反射波や木材の初期配置方向、 木材が置かれた地点の初期水位が漂流物の漂流・衝突挙動に影響を及ぼすことを示した。
番号 11
筆頭著者 中田 弘太郎
論文名 An evaluation of long-term stability of pore water in the Neogene sedimentary rocks in northern part of Japan
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Geofluid/2018年1月
概要 北海道幌延地域に分布する「声問層」「稚内層」に存在する地下水について、これらの地層が約100万年前に隆起したあとの安定性を地下水の年代指標である36Clや4Heを使って議論した。 36Clを用いた評価では、両層に存在する地下水はこれらの層に100万年以上存在している可能性が高いことが示された。 一方で4Heのデータからは、声問層の全てのサンプルと稚内層の一部のサンプルは天水の影響を受けている可能性が示唆された。 さらに、地下水の水素酸素同位体比を調べると、地下水の水素酸素同位体比は天水と深部地下水の混合線上に存在することから、Heから示唆された天水の浸入を支持する結果となった。 上記の結果から、声問層と稚内層の一部では、隆起が始まってから天水が浸入している可能性があるが、稚内層の深部では隆起以降地下水が安定して存在している可能性が高いことが示された。
番号 12
筆頭著者 北野 慈和
論文名 ジェット気流が有する比エネルギーの時系列変化と太平洋ブロッキングの形成過程
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 水工学論文集B1(水工学)/74/2018年2月
概要 大学院在籍時の成果を、北海道大学の所属にて発表する。中緯度地域では、大気ブロッキング発生に伴いジェット気流の異常な蛇行が数週間程度継続し、 周辺地域に水文気象災害を引き起こす。近年の日本の事例では、2014年北海道根室高潮事例、2015年関東東北豪雨等で、顕著なジェット気流の蛇行またはブロッキングが観測された。 ブロッキングに対する理論的研究のひとつとして、Rossby(1950)、Armi(1989)によるジェット気流を開水路流れに見立てる理論が存在する。 本研究では、これを現実大気場に適用可能とした北野、山田(2017)をもとに、1989年冬季の太平洋ブロッキングのイベントを解析した。 ジェット気流内部のエネルギーの状態を時系列で観察し、ブロッキング発生以前において、日本の上空付近で運動エネルギーが高まり、これが東部へ伝搬し一地域に蓄積した際、ブロッキングが生じていることを確認した。
番号 13
筆頭著者 木原 直人
論文名 津波PRAにおけるフラジリティ評価用津波の設定法
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 日本地震工学会論文集/Vol.18、 No.1/2018年2月/35-58
概要 確率論的津波ハザード評価結果と整合がとれた年超過頻度付きのフラジリティ評価用の津波を設定する方法を提案した。 津波ハザード評価結果に対してハザード再分解を実施することにより、フラジリティ評価用の津波を設定する上で考慮すべき津波条件を特定すると共に、 波形の特徴が類似する津波群をグループ化することにより、フラジリティ評価用の津波を設定した。 設定されたフラジリティ評価用津波を用いて防潮堤前面での年超過頻度を推定した結果、ハザード評価から直接求まる年超過頻度と一致したことから、フラジリティ評価用津波の適用性が確認された。
番号 14
筆頭著者 佐藤 雄亮
論文名 ギャロッピング時における送電用鉄塔部材の疲労損傷度評価
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 構造工学論文集/Vol.64A/2018年3月
概要 実機UHV鉄塔でのギャロッピング発生時の観測記録に基づき、大振幅電線振動発生時の塔体応答を分析した。 その結果、部材軸力の設計耐力に対する裕度は1.0以上を確保しているものの、通常時の応答に対して最大で10倍近い標準偏差の応答が生じており、 ギャロッピング時は最大振幅に近い応答が長時間継続するため、疲労への影響が懸念されることが明らかとなった。 さらに、有限要素解析により観測していない部材での発生軸力を推定し、累積疲労損傷度を評価した。 その結果、腕金の上下パネルにおいて疲労損傷度が大きくなる傾向を確認した。
番号 15
筆頭著者 新井 涼允
論文名 水位上昇に伴う水際崩壊実験を対象とした平面崩壊モデルの適用と再現性の検証
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 水工学論文集/Vol.74、 No.4/2018年3月/I_1075-I_1080
概要 ダム堆砂対策の一環として実施される排砂・通砂や置き土は水際部における侵食および崩壊を伴う現象である。 水際の崩壊を評価する解析モデルは存在するものの、崩壊のタイミングの精度や非粘着性土に対する適用性は不明である。 本研究では非粘着性土の斜面模型に水位上昇を与える水際崩壊実験を実施した。 また、これまで多くの研究者に利用されてきた河岸のすべりを解析する平面崩壊モデルに、土壌水分の影響を忠実に表現できるよう改良を加え、水際崩壊実験に適用した。 実際のすべりイベントと平面崩壊モデルの安全率の結果から、概ねすべりのタイミングを再現できることが確認された。
番号 16
筆頭著者 新井 涼允
論文名 Experimental investigation on cohesionless sandy bank failure resulting from water level rising
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 International Journal of Sediment Research/Volume 33、 Issue 1/2018年3月/47-56
概要 水際崩壊の種類やメカニズムを詳細に把握するために、土槽内に側岸を模擬した土塊を締め固め、水位上昇を作用させることで侵食および崩壊を発生させる実験を行った。 土塊内部の間隙水圧および体積含水率の計測に加え、PIV法による崩壊速度の測定とハンディ3Dスキャナによる崩壊後の地形の計測を実施した。 本実験では、2種類の粒径の砂と土塊高さ(25cm、 50cm)を対象とすることで、崩壊に抵抗するサクションおよび崩壊面に作用する重力が変化したことに起因し、すべり崩壊および片持ち梁の転倒崩壊が発生した。 加えて、それぞれの崩壊挙動の違いから、すべり崩壊と片持ち梁崩壊の崩壊堆積物による侵食保護の違いが明らかとなった。
番号 17
筆頭著者 太田 一行
論文名 多相Euler法に基づく3次元混合砂輸送解析-土石流の流動・分級・堆積過程への適用-
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 水工学論文集/62/2018年3月/I_1081-I_1086
概要 本研究では液相と粒子相(粒径階毎)の運動方程式を解く多相オイラー法を用いて、 3次元混合砂輸送解析法を開発した。 粒子相の応力構成として、粒子流の振動エネルギーに基づく衝突応力ならび粒子集合体の膨張(ダイレタンシー)に伴う摩擦応力を取り入れた。 開発したモデルの妥当性検証のため、土石流に関する室内実験および大規模実験の再現計算を行った。 解析モデルは実験データの土砂濃度分布、土砂輸送速度、空間的な分級現象を良好に再現した、構成則および分級現象が土石流に及ぼす影響を考察した。
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