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学術論文

2019年度 学術論文一覧

番号 1
筆頭著者 中田 弘太郎
論文名 Degassing behavior of noble gases from groundwater during groundwater sampling
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Applied Geochemistry/104巻/2019年5月/60-70
概要 地下水中に溶存する希ガスの濃度や同位体比は地下水の地下での滞留時間(地下水年代)を推定するために重要な情報であり、地下水年代は放射性廃棄物の処分場選定に有用な情報であると考えられる。このため、地下水中の希ガス濃度を正確に分析することは、地下水年代推定の精度向上に資するものである。希ガスは地下水採取時に脱ガスする可能性があり、これにより正確な分析が妨げられるおそれがある。このため、脱ガスに対する対応法を検討することは、希ガスを用いた地下水年代評価の精度向上に重要である。
番号 2
筆頭著者 竹田 浩文
論文名 Helium Leak Detection Method using Ambient Temperature of Canister Top
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Nuclear Engineering and Design (ELSEVIER社)/352(2019)110135/2019年5月/
概要 使用済燃料の長期貯蔵管理に関する関心が、世界的に高まっている。コンクリートキャスクにおいては、キャニスタの応力腐食割れ(SCC)による密封性喪失が懸念されるが、キャニスタからのヘリウム漏えい検知器は、設置されていない。これに対して、キャニスタ内圧が低下すると、キャニスタ上部温度は低下し、底部温度は上昇することが、試験的に確かめられている。当所では、キャニスタの上部と底部の温度差を常時監視する方法を提案しているが、本手法では、二点のキャニスタ表面温度が必要であるため、キャスクの構造によっては、施工上の困難さを伴う問題があった。これに対して、キャニスタの上部と底部のいずれか一点とその周辺温度だけを用いた簡便な検知手法を考案した。
番号 3
筆頭著者 佐藤 浩章
論文名 等価線形解析による非線形サイト特性評価のための有効ひずみ係数の最適化
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 日本建築学会構造系論文集/84巻 760号/2019年6月/781-791
概要 本研究では、強震動予測のための非線形サイト特性を評価するという観点で、等価線形解析による1次元地盤応答解析の適用性を検討した。対象は地表で500Gal以上となる観測記録を3回観測したKiK-netのIBRH13を対象地点に選定し、新たにボーリング調査を実施した。具体的には、ダウンホール法とサスペンション法によるPS検層による速度構造の調査、密度検層、現地試料の繰り返し三軸試験による動的変形特性の調査を行った。これらの新たな調査結果に基づき、等価線形解析による非線形サイト特性評価の適用性を有効ひずみの算出方法の異なる3種類の等価線形解析に基づき検討した。さらに、地表で1,000Gal以上の大加速度記録の非線形サイト特性を等価線形解析により評価することを目的として、有効ひずみ係数の最適化方法を提案し、等価線形解析により非線形サイト特性の評価への適用性および基盤地震動の推計に及ぼす影響について考察した。
番号 4
筆頭著者 鈴木 恭平
論文名 地震波干渉法による共通仮想震源によるグリーン関数を用いた位相速度推定法の適用性―常時微動の相互相関関数の非対称性に着目した若狭湾地域における検討―
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 物理探査/72 巻/2019年6月/49-67
概要 本研究では、地震波干渉法による共通仮想震源によるグリーン関数を用いた位相速度推定法の適用性を検討するために、若狭湾地域の16 地点で連続観測を実施し、相互相関関数のシグナルが大きい正側およびシグナルが小さい負側のそれぞれを用いた場合について、位相速度を推定しその結果を比較した。共通仮想震源から観測点への伝播に対応する側の相互相関関数のシグナルが明瞭な場合、共通仮想震源によるグリーン関数から安定して位相速度を推定することが可能であり、自然地震を用いた場合の位相速度とも調和的であった。一方、共通仮想震源からの伝播に対応する側の相互相関関数のシグナルが不明瞭な場合、位相速度の推定ができなかった。そこで、遅れ時間の正負を反転させた相互相関関数を共通仮想震源によるグリーン関数として用いた結果、良好に位相速度を推定できることがわかった。さらに、本研究のように相互相関関数が正負非対称となる場合には、シグナルが強くなる方向に観測点を配置することでも、位相速度推定が可能となることを示した。
番号 5
筆頭著者 相山 光太郎
論文名 Effects of sample preparation on the microstructural signatures of faulting in clay-bearing fault gouge
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Journal of Structural Geology/Vol.126/2019年6月/100-108
概要 Clay-rich fault gouge in the principal slip zones of faults stores abundant water within pores and between clay interlayers. During the preparation of thin-sections and rock chips for microstructural observations, fault-gouge samples are commonly air-dried at room temperature or in an oven. However, during the drying process, remnant liquid water between gouge grains produces an inter-particle adhesion force (liquid-bridge force), which rearranges the grain-to-grain structure, likely resulting in a disturbance of the original fabric. For this study, we prepared gouge samples from the Itozawa fault, northeastern Japan, using a t-butyl alcohol freeze-drying method that mitigates drying-induced fabric disturbance. We then compared the microstructure of our samples with those prepared using the conventional air-drying method. The freeze-dried samples preserve a smooth fault plane, clearly defined nanoparticles, and well-developed shear-sense indicators, including slickenlines and Riedel shear planes. In contrast, the air-dried samples underwent shrinkage during drying, which distorted the geometry of the fault plane. These air-dried samples lack nanoparticles and display only a weak shear fabric. We conclude that microstructural observations on samples prepared using the t-butyl alcohol freeze-drying method, compared with conventional air-drying, could preserve more evidence for the retrieval of fault information, including the kinematics, slip stability, and dynamic weakening mechanism of a fault.
番号 6
筆頭著者 太田 朋子
論文名 Optimization of a portable hollow-fiber-based device for extracting radiokrypton 1 dissolved in deep groundwater and selection of 222Rn as an indicator of Kr extraction 2 efficiency
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Journal of Hydrology (2019)/574/2019年7月/476-485
概要 地下水年代は、高レベル放射性廃棄物処分の安全評価において重要な情報である。放射性クリプトン(81Kr)は100万年程度の地下水年代を評価するために優れたトレーサーとなりうる。本研究では81Krを用いた地下水年代を実施するために、地下水からガスを抽出する中空糸膜装置を最適化した。最適化した装置は大気由来のKrによる汚染が少なく、かつ地下水からのKrの抽出効率が90%を超える高い値を示した。また、ラドン(222Rn)とKrの抽出効率が近い値を示すことから、RnがKr抽出効率の指標となることを示した。
番号 7
筆頭著者 佐藤 稔
論文名 真三軸圧縮試験で形成された来待砂岩の破断面性状解析
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 応用地質/4号/2019年10月/110-119
概要 従来の岩石力学分野の破断面解析では断層の1方向の線粗さや破断面のフラクタル次元、二乗平均平方根粗さなどの破断面の代表的な特徴量が検討されてきた。しかしこれらの代表的な特徴量だけでは破断面の異方性や破断面全体にわたる特徴的な構造を数値化することができない。そこで本研究では異なる3主応力条件で破壊した岩石試料について、破断面の3次元情報である短波長成分の「粗さ」と長波長成分の「うねり」に分けて解析を行った。さらに、せん断方向に対する角度と線粗さの関係性を求める手法を提案した。結果として中間主応力の増加に伴い破断面の面うねりのラフネス(Wsq)が減少し、また応力条件によっては線粗さの異方性が確認された。本研究の結果から、従来の線的な評価手法では破断面の特徴から断層の動きを一意的に決定することは困難であり、破断面の3次元的な解析が必要であることを示した。
番号 8
筆頭著者 渡邊 保貴
論文名 メチレンブルー吸着試験の測定精度を考慮したベントナイトのモンモリロナイト含有率の評価
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 土木学会論文集C/Vol.76、No.1、2020/2019年10月/26-39
概要 メチレンブルー吸着量を用いてベントナイトのモンモリロナイト含有率を評価するため、メチレンブルー吸着試験の測定精度を確かめた上で、ここでは分散性の劣るCa型ベントナイトを用いて、これから抽出したモンモリロナイトのメチレンブルー吸着量を測定した。メチレンブルー吸着試験にはスポット法と比色法があり、前者については、ブラインドプリディクションにより標準誤差2mmol/100g未満であることが分かった。また、比色法と試験後試料の粉末X線回折分析により、スポット法による測定値を飽和吸着量とみなせることが分かった。モンモリロナイトの抽出は、粒径0.2μm以下を回収することにより行い、このメチレンブルー飽和吸着量を使用することがモンモリロナイト含有率の評価、ならびに、有効モンモリロナイト密度を用いた透水性・膨潤性評価の精度を高める上で重要であることを示した。
番号 9
筆頭著者 岡田 哲実
論文名 A new model for evaluating the dynamic shear strength of rocks based on laboratory test data for earthquake-resistant design
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Journal of Rock Mechanics and Geotechnical Engineering/Volume 11, Issue 5/2019年10月/979-989
概要 原子力発電所の基礎岩盤および周辺斜面の安定性評価においては、岩盤の強度として静的強度(比較的ゆっくりとした載荷速度で行う単調載荷試験により得られる強度)が用いられてきた。しかしながら、基準地震動が大きくなり、動的強度(地震時に発揮される強度)を合理的に評価する必要が生じてきた。そこで、著者らは速度効果と疲労の効果の両方を考慮できる数理モデルを提案し、2種類の岩石を用いて数理モデルの検証を行った。まず、速度を変えた単調載荷試験、疲労試験を行い、数理モデルに必要なパラメータを取得した。次に、いくつかの載荷速度(周波数)、繰返し回数を設定した繰返し載荷試験を行い、実験による動的強度を取得し、数理モデルで計算される動的強度と比較した。結果として、提案した数理モデルで計算される動的強度はやや保守的ではあるが、実験結果とよい一致を示した。
番号 10
筆頭著者 平田 康人
論文名 Landslides of spheroidally weathered granite porphyry induced by 2011 Typhoon Talas
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Engineering Geology/Vol. 260/2019年10月/105217
概要 2011年9月台風タラスによる豪雨によって、紀伊半島南東部では数百もの斜面崩壊と土石流が発生した。申請者は、学生時代にその斜面崩壊分布の地質・地形的特徴、豪雨との相関関係、土石流の移動性などの網羅的な調査を行った結果、次のようなことが明らかとなった。この地域では、中新世の熊野花崗斑岩の岩体が堆積岩を貫入しており、花崗斑岩の基盤岩はシーティング節理や柱状節理を有し、斜面表層部で球状風化している。2011年の斜面崩壊は花崗斑岩風化帯と岩体周縁の堆積岩地域で頻発し、表土の崩壊だけでなく花崗斑岩のシーティング節理に沿った岩盤すべりも生じた。この2011年の斜面崩壊と近年の日本の花崗岩地域の豪雨によるものとを比べると、花崗斑岩地域の崩壊発生密度は小さく、崩壊土砂の移動性はやや小さい。斜面崩壊の発生密度が小さくなった理由は、1999年広島花崗岩の崩壊事例と比較すると、柱状節理とそれに伴う球状風化が際立って発達していることによって、斜面表層部の地下水が地下へ排水されやすいことが考えられる。
番号 11
筆頭著者 小村 慶太朗
論文名 Surface rupture and characteristics of a fault associated with the 2011 and 2016 earthquakes in the southern Abukuma Mountains, northeastern Japan, triggered by the Tohoku?Oki earthquake
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Earth, Planets and Space (2019 ) /71:106/2019年10月/
概要 2011年東北地方太平洋沖地震後、多数の正断層型地震が阿武隈山地南部で発生し、そのうち、茨城県北部のほぼ同じ場所でM5.8と5.9という同規模の正断層型地震がそれぞれ2011年と2016年に発生した。筆者らは両地震の直後に現地踏査を実施し、同じ箇所に地表地震断層が出現していることを明らかにした。また、InSAR(合成開口レーダー差分干渉)解析結果により、両地震とも同様の変位量分布を持つことが明らかとなった。これらの特徴は同じ断層面が再活動したことを示唆する。 さらに、LiDAR(航空レーザー測量)データに基づく地形判読を実施したところ、微小ではあるが連続的な変位地形が地表地震断層沿いに分布することが明らかとなった。 また、地表踏査の結果地表地震断層上に明瞭な層状構造をもつ破砕帯が発見された。トレンチ調査の結果も踏まえると、本断層は第四紀後期に繰り返し活動し、ごく最近の先行活動も有していると考えられる。低変位速度・空中写真判読が難しい山岳地域においても、高精度な地形データによる地形判読と徹底的な現地調査を行えば、事前評価は十分に可能である。
番号 12
筆頭著者 新井 涼允
論文名 ニューラルネットワークを利用した日本の未観測流域における流況予測
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 水工学論文集・第64巻/第64巻/2019年11月/I_307-312
概要 本研究では日本の未観測流域を対象として、ニューラルネットワークを利用した流況予測手法の構築と精度検証を実施した。ネットワークの出力値を年流出高Qyear、豊水流出高Q95d、平水流出高Q185d、低水流出高Q275dおよび渇水流出高Q355dから成る5つの流況指標とし、入力値を気象、土地利用、地質・土壌および地形に関する25種類の流域特性指標とした。流況予測精度は、Qyearにおいて最も高く(R2 = 0.76)、Q355dにおいて最も低かった(R2 = 0.45)。Qyearの学習データの選定には、水収支を変化させる人為影響を基準として判断する必要があることを見出した。Q355dの予測は気象や地質・土壌の複合的影響により困難であったが、Q355dの予測精度は流況指標の中で最も学習データ数に対して感度が高いことが確認された。
番号 13
筆頭著者 太田 一行
論文名 確率論的Exner方程式とLagrange型非平衡流砂モデルを用いた混合粒径河床変動解析
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 土木学会論文集B1(水工学)特集号・水工学論文集/第64巻/2019年11月/I_901-906
概要 本研究では、Lagrange型非平衡流砂解析と確率論的Exner方程式を用いた混合粒径場の河床変動解析手法を提案する。確率論的Exner方程式では、河床下における土砂交換速度への深度の影響を考慮するとともに、空隙率の時空間的変化も考慮している。このため、河床材料の交換現象を高い忠実度で再現できることが期待される。解析モデルの検証として、既往の蛇行水路実験を対象とした3次元計算を行った。解析モデルは河床形状および平均粒径の分布を精度良く再現でき、有用性が高いことが分かった。 本研究の解析手法は、混合粒径条件かつ複雑流況下での河床変動解析を行う際の有力な選択肢となる。
番号 14
筆頭著者 木原 直人
論文名 Applicability of tracking simulations for probabilistic assessment of floating debris collision in tsunami inundation flow
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Coastal Engineering Journal, 2020./Vol. 62, No.1/2019年12月/69-84
概要 発電所内の建屋や設備への漂流物の衝突に対する確率論的評価への漂流物挙動解析技術の適用に向けて、既往の実験の再現計算を通して解析技術の適用性を調べた。実験結果との比較から、解析技術では再現できない2つの特徴的な現象が明らかになった。そこで、これらを再現できるように数値解析技術を高度化すると共に、この高度化に加えて、設定において認識論的不確かさを有すると考えられるパラメータが、漂流物衝突の確率論的評価に対して有する感度を調べた。
番号 15
筆頭著者 中尾 圭佑
論文名 Reconciliation of computational fluid dynamics and observations in complex terrain through conditional resampling
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Journal of Wind Engineering and Industrial Aerodynamics/Volume 195/2019年12月/
概要 風車周辺の地形を解像して実施する数値流体解析手法(CFD、Computational Fuid Dynamics)の精度を、本課題にて取得した観測データと比較することにより検証した。本手法が正当性を依拠する条件として、強風条件であること、観測データを統計平均したものであること、があげられる。そこで、2年間の観測が実施された4つの風車サイトの10分間平均風データに対して、強風環境を抽出し、統計平均を施すことで、CFDの結果への漸近の仕方を調べた。その結果、強風条件として10m/sの環境を抽出し、およそ10点の10分間平均値を統計平均することで、CFDの結果と観測が整合的になることがあきらかになった。上記条件のうち、統計平均数よりも強風環境の抽出が、整合性を高める重要な要素であることが確認された。
番号 16
筆頭著者 高畠 大輔
論文名 配電柱上設備の性能照査型耐震性能評価法
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 日本地震工学論文集/第20巻/2020年1月/1_226-1_244
概要 電力用配電設備は多数が広域に点在し、巨大地震発生時には広範囲で同時多発的に被害が生じる可能性がある。配電網の早期復旧を事前検討する上では、公衆安全性に係る損傷に加え、地震後の継続使用性や修復性に係る損傷についても予測することが望ましい。本論文では、配電柱上設備を対象として加振実験に基づく性能照査型耐震性能評価法を構築した。本評価法では、震度別に耐震性能が評価できる点、現実に近い損傷が評価できる点、地震後の継続使用性や修復性に関する性能を評価できる点に特徴がある。
番号 17
筆頭著者 平田 康人
論文名 阿蘇カルデラ北西部,蛇の尾火山における火山層序と約4000年前の斜面崩壊
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 地形/41巻1号/2020年1月/27-47
概要 2016年熊本地震においては、阿蘇カルデラ西部に布田川・日奈久断層帯沿った地表地震断層の北東端が出現するとともに、数多くの斜面崩壊や大規模な地表変状が発生した。布田川断層の北東端の性状を明らかにすることは、火山地域において地形表現が不明瞭な活断層から発生する地震の頻度や規模を評価するうえで重要である。われわれは、地表地震断層北東側の延長部にあたる蛇の尾火山の南側斜面において、トレンチ調査およびボーリング調査、ならびに採取試料の全岩化学分析および放射性炭素年代分析を実施して、当該地域の蛇の尾火山形成以後の火山層序を明らかにし、斜面崩壊に伴う変形構造を見出した。その層序は、蛇の尾スコリア (15.4 ka 以前)、ACP1軽石 (約4.0 ka)、杵島岳溶岩・スコリア (約3.7 ka)、往生岳スコリア (3.5±0.1 ka)、そして米塚溶岩 (3.0±0.1 ka) である。蛇の尾スコリア表層部と直上の細粒火山灰層は斜面と平行な走向の正断層センスの小断層を伴っていた。比較的硬質な火山灰層は高さ1 m、幅1 m、長さ2 mの塊状に分離して、個々の地層が直立あるいは上下が逆転した状態で配列していた。これを覆うように、鬼界アカホヤ火山灰を含む最大厚さ2 mの火山灰土層が堆積していた。以上すべての地層はACP1軽石に整合的に覆われていた。その一連の堆積構造は、ACP1の噴出直前に、それまでに堆積した降下火山灰が次々と崩壊して、崩壊の発生場が火砕丘斜面を遡上したことを示唆している。また、すべり面の構成物や崩壊深度が2016年熊本地震のものと類似することから、この斜面崩壊は約4000年前の地震動に誘発されたと考えられる。
番号 18
筆頭著者 伊藤 久敏
論文名 Dating late Quaternary events by the combined U-Pb LA-ICP-MS and (U-Th)/He dating of zircon: a case study on Omachi Tephra suite (Central Japan)
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Terra Nova/32巻2号/2020年2月/134-140
概要 最近の機器分析の発展により、ジルコンのU-Pb法により第四紀試料の年代測定が可能となっており、筆頭著者の使用するLA-ICP-MS装置では100 ka程度の年代まで測定可能である。但し、ジルコンのU-Pb法はマグマからジルコンが晶出した年代を示すため、必ずしもテフラの噴出年代を示す訳ではない。これに対し、ジルコンの(U-Th)/He年代測定は、我が国では実用化には至っていないが、UやThの放射壊変で生じるHeが希ガスであるため、テフラの噴出時にはジルコン中にHeが存在せず、その年代は噴出年代を示す。従って、一粒のジルコンを用い、U-Pb年代と(U-Th)/He年代を測定することで、テフラを噴出したマグマの活動履歴とテフラの噴出年代が推定可能となる。このような適用例は世界的にも少ない。今回、広域テフラである大町テフラのA1PmとDPmを対象にジルコンのU-Pb年代と(U-Th)/He年代測定を行った結果、(U-Th)/He法により、A1PmとDPmがそれぞれ375 ± 13 ka、97 ± 7 kaの年代を示し、信頼性の高い噴出年代が得られた。さらに、U-Pb法からは、A1PmとDPmを噴出したマグマの歴史に違いがあること(マグマの活動期間はA1Pmが30万年程度、DPmが50万年程度)が推定された。
番号 19
筆頭著者 山本 啓太
論文名 Evaluation for characteristics of wet snow accretion on transmission lines - Establishment of an experimental method using a vertical plate -
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Cold Regions Science and Technology/Volume 174/2020年2月/
概要 安定した電力供給のためには、送電設備の雪害発生リスクを抑えることが最優先課題である。電線への着雪特性評価のための精度高いデータの取得には、室内着雪実験が有効である。本論文では、将来的に付着力測定に適用が可能な、着雪体密度・含水率の計測を含む平板への着雪実験方法について説明する。本研究では、特に湿型着雪に着目し、風速・気温・降雪強度を変更して実験を行った。実験結果をもとに、これらのパラメータが着雪体密度・含水率に与える影響について調査する。着雪密度・含水率の気象パラメータに関する依存性を理論的に評価した結果、風による圧密効果および融解による体積減少を考慮することで着雪密度は風速および含水率の関数で表され、さらに着雪体に寄与する熱量により含水率は温度および着雪質量で表すことが示された。これらの推定式は実験結果と良好な一致を示しており、この推定式により実験条件を変更することで、狙った着雪体物性値の取得が可能である。これらの着雪体物性値評価や推定式は、湿型着雪特性解明のための実用的なデータ取得に有効である。
番号 20
筆頭著者 竹田 浩文
論文名 Helium Leak Detection Methods using Temperatures of a Canister Bottom and Air at an Inlet
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Nuclear Engineering and Design (ELSEVIER社)/362(2020)110135/2020年2月/
概要 使用済燃料の長期貯蔵管理に関する関心が、世界的に高まっている。コンクリートキャスクにおいては、キャニスタの応力腐食割れ(SCC)による密封性喪失が懸念されるが、キャニスタからのヘリウム漏えい検知器は、設置されていない。しかし、より安全性を向上させる観点から、金属キャスクと同様に常時密封監視を行なうことが望ましい。キャニスタ内圧が低下すると、キャニスタ上部温度は低下し、底部温度は上昇することが、試験的に確かめられている。当所では、キャニスタの上部と底部の温度差を漏えい監視に用いる方法を提案しているが、本手法では、二点のキャニスタ表面温度が必要であるため、複雑な給気口形状においては、温度センサー取り付け時の困難さを伴う問題があった。よって、キャニスタの片側だけの温度情報により漏えいを検知できる手法について検討してきた。すでにキャニスタの上部周辺温度を用いて検知する方法については、開発済みであり、ここでは、キャニスタの底部温度とその給気温度だけを用いた簡便な検知手法について紹介する。
番号 21
筆頭著者 新井 涼允
論文名 確率論的流況推定手法の適合性評価と特性の把握
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 水文・水資源学会誌/32巻6号/2020年3月/301-317
概要 水力開発には流況曲線が重要な指標となるが、流量観測には多大な費用と時間を要する。本研究では、観測に基づいた簡易な入力データから流況曲線を作成可能である確率論的流況推定手法を、国内の30流域に適用することで、その適合性を定量的に評価した。本研究では、この手法に必要な流量の減水パラメータを、河道網理論に基づいた手法(GRFM)と地質に基づいた手法(GRA)の2通りから求めることとした。GRFMとGRAによる流況曲線の適合性を比較した結果、GRFMの方が良好な適合性を示した。これは、GRFMの導出条件と対象流域の勾配の傾向が一致したためであると考えられる。一方で、低水部におけるGRAによる計算流量は観測流量よりも過大傾向を示した。この過大傾向の改善には、流域貯留量を基底流出成分として扱うことが有効であると示唆された。また、減水パラメータをGRFMとGRAで推定することは、モデル特性の弱点を補完することにつながり、大きな誤差を回避できる可能性がある。実際に水力発電の使用水量を算定する場合、GRAよりもGRFMの採用が推奨される。GRFMの計算使用水量が観測使用水量の2倍以上になる地点は少ないものの、最も低水側において、全体の4分の1の地点では観測使用水量の半分以下になることが確認された。

2018(平成30)年度 学術論文一覧

番号 1
筆頭著者 長谷川 琢磨
論文名 A measurement method for isotope fractionation of 35Cl and 37Cl by a conventional through-diffusion experiment
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Chemical Geology/Vol. 483/2018年4月/247-253
概要 拡散場を評価するうえで重要な同位体分別係数を、一般的に用いられるThrough-Diffusion法で計測する方法を提案した。この方法の妥当性を理論的に示すと共に、実試料を用いた試験を行い、同位体分別が有意に計測されること、得られた同位体分別係数が既往の結果と整合することを確認できた。
番号 2
筆頭著者 金澤 健司
論文名 Application of strucutal health monitoring technique to an aged arch dam by means of long-term continuous observation of ambient vibration /seismic motion -detection of predominat frequency variation along time: variation during ambient vibration/ seismic motion
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Journal of Japan Association for Earthquake Engineerig/2018 Volume 18 Issue 3/2018年4月/pp.3_1-3_14
概要 高経年化したアーチダムを観測対象とし、卓越振動数とその経時変動・地震時挙動を把握することを通じて構造健全性モニタリングに資することを目的として微動・地震動の長期継続観測を実施した。三年半にわたる微動・地震動の観測データの分析より、以下の事項を明らかにした。(1)常時微動による卓越振動数のモニタリングによってアーチダムの構造健全性を評価できる。(2)東北地方太平洋沖地震およびその後の数々の大規模余震後においても観測対象ダムの構造健全性が維持されていたことを卓越振動数という数値によって客観的に提示できた。(3)卓越振動数が変化していないことは構造健全性の維持確認に加えて地震荷重が不変である確認にもなっており、地震後における耐震性検討が不要であることを示している。
番号 3
筆頭著者 中田 弘太郎
論文名 Evaluation of δ2H and δ18O of water in pores extracted by compression method-effects of closed pores and comparison to direct vapor equilibration and laser spectrometry method
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Journal of Hydrology/Vol.561/2018年6月/547-556
概要 地下水の安定同位体(δ2Hおよびδ18O)は、地下水の起源、混合、移動の理解に役立つ。これら同位体の情報は拡散や移流などの物質移動のメカニズムに関する情報を提供するが透水性の低い地層では、分析のための地下水サンプルを取得するのは困難である。このため、岩石の圧縮抽水による採水が広く用いられているが、圧縮中にδ2Hおよびδ18Oの変化が起こる可能性がある。この研究では、2つの岩石の圧縮抽水を行い、圧縮圧力とδ2Hおよびδ18Oとの関係を明らかにし、そのメカニズムを評価した。さらに、直接蒸気平衡化からのレーザー分光法、同位体交換を含む3つの方法で評価されたδ2Hおよびδ18Oと比較し、それぞれの方法の利点と欠点が議論した。δ2Hの変化は、圧縮によって抽出された閉鎖空隙の影響である説明が可能であることがわかった。以上のことから、各手法の長所と短所を理解して、機器、実験目的、精度を考慮したうえで、適切な間隙水の評価方法を選択する必要がある。
番号 4
筆頭著者 金光 俊徳
論文名 Tafel外挿法を用いた腐食モニタリングによるコンクリート中の鉄筋腐食進行評価
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 腐食防食学会 材料と環境/Vol.67,No.7/2018年7月/6
概要 コンクリート中の鉄筋腐食の進行を定量的に評価することを目的として、Tafel外挿法および小型埋設センサーを用いた腐食速度モニタリングをモルタル中鉄筋、RCはりに対して行い、腐食速度の経時変化を測定した。その結果、測定結果から求められる腐食速度予測モデルを用いることで、供用期間の途中からの測定でも±20%程度の精度で推定できることが確認された。
番号 5
筆頭著者 服部 康男
論文名 Insight into coherence structure in logarithmic region of wall turbulence with detached eddy by using conditionally averaged two-camera PIV measurements
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Journal of Flow Visualization and Image Processing/25巻1号/2018年7月/13
概要 送電設備の耐風設計で重要となる強風時の風速変動の発生機構を当所が開発した大気境界層を模擬した風洞実験により調べた。2次元2成分風速の時系列データ可視化流体計測により取得した。本データへの統計処理により、@瞬時風速場は主流方向に伸張した高・低速領域を呈すること、Aこのような筋状の構造がスパン方向に揺動すること、Bその揺動により風速変動が生成されること、を明らかにした。
番号 6
筆頭著者 松宮 央登
論文名 Aerodynamic modeling for large-amplitude galloping of four-bundled conductors
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Journal of Fluids and Structures/Volume 82/2018年8月/559-576
概要 本研究では、大振幅・低振動数のギャロッピングが再現可能な3自由度振動実験手法を提案し、その手法を用いて4導体送電線部分模型の風洞実験を実施した。4導体送電線のギャロッピング解析において、素導体毎に準定常空気力を定式化することで、4導体全体で準定常空気力を定式化した場合には考慮できない、ねじれ速度に伴って発生する空気力が導出される。その結果、4導体全体で準定常空気力を定式化するモデルでは実験で得られた大振幅のギャロッピングの応答特性を再現できないのに対し、素導体毎に準定常空気力を定式化するモデルでは、前者に比べて実験結果に近い応答特性が再現されることを明らかにした。また、ねじれ速度に伴う空気力の影響について、線形化した空気力に基づき定量的に評価し、素導体毎に準定常空気力を定式化する必要性を明らかにした。さらに、従来の準定常空気力では考慮できなかった、ねじれ速度に伴う空気力を考慮できる一般化した定式化を誘導して、他の構造物を対象とした応答解析への拡張の可能性を示した。
番号 7
筆頭著者 木村 治夫
論文名 Holocene activity of the Asamigawa fault detected from sediment cores and a ground-penetrating radar cross-section in the Beppu area, southwestern Japan
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Quaternary International/Vol. 503/2018年9月/87-96
概要 九州の北東に位置する別府地域では500万年前以降から現在まで続くフィリピン海プレートの沈み込みに伴う盛んな熱水活動・地殻変動・火山活動が見られる。本研究では、別府市内に分布する朝見川断層の近傍でボーリング調査と地中レーダ探査を実施した。堆積相解析・珪藻分析・放射性炭素同位体年代測定・地中レーダ探査データ処理と探査断面の地質学的解釈の結果、朝見川断層の約7300年以降の上下変位速度はおよそ5 mm/yrであること、最新地震イベントおよびその1つ前のイベントがそれぞれ約600年前、1900年前であることがわかった。
番号 8
筆頭著者 米澤 宏一
論文名 Degradation of Aerodynamic Performance of an Intermediate-Pressure Steam Turbine due to Erosion of Nozzle Guide Vanes and Rotor Blades
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Journal of Engineering for Gas Turbines and Power/ASME/141(1)/2018年9月/8
概要 蒸気タービン初段のノズルおよび動翼の長期間運転に伴う初段のノズルガイドベーンや動翼の摩耗がタービンの出力や効率に及ぼす影響とそのメカニズムをCFD解析により評価・考察した。まず、実機において、使用後のノズルガイドベーン、動翼と使用前の動翼形状を3Dスキャナで計測した。次に使用前の新翼および使用後の旧翼それぞれの断面形状を用いた2次元翼列試験を行い、翼面圧力、翼列下流の全圧分をCFD解析の結果と比較し解析の妥当性を示した。同じ手法を用い、実機と同一の形状、蒸気物性を用いた3次元解析を行い翼の劣化の影響を評価、メカニズムを考察した。ノズルの劣化影響については、ノズルガイドベーンの摩耗に伴う動翼への相対流入角の変化が出力に影響を及ぼすこと、初段断熱効率にはさらに翼のスパン方向の流れの影響が強いことが判明した。動翼の摩耗に関しては、出力は翼の摩耗量に依存するが、初段断熱効率は翼の摩耗にあまり影響を受けないことが明らかとなった。ただし、初段からの流出条件は変化することから、2段目以降に悪影響を及ぼす可能性があり、今後の検討課題である。
番号 9
筆頭著者 石丸 真
論文名 Nonlinear Analysis Method for Evaluating the Seismic Stability of Rock Slopes Considering Progressive Failure
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Journal of Earthquake and Tsunami/Volume No. 12, Issue No. 04/2018年10月/1-16
概要 原子力発電所の周辺斜面の地震時安定性については、等価線形解析に基づくすべり安全率評価に代表される応力照査が行われてきた。しかしながら、瞬間的な力の釣合いを満足できない場合に直ちに地盤が不安定化するわけではないことから、地盤の変形に着目した評価を行うことがより合理的と考えられる。  そこで、本研究では破壊進展を考慮した非線形解析手法に着目し、斜面の動的遠心力模型実験を対象にその適用性について検討を行った。模型実験の再現解析では、まずNewmark法との比較からひずみ軟化過程の強度特性の重要性を示し、非線形解析手法においてその特性を考慮することにより再現性が向上することを示した。続いて、開発した非線形解析手法を用いて、実規模斜面を対象としたケーススタディを行い、変位量に基づく安定性評価や崩壊範囲の評価において提案手法が有効であることを示した。
番号 10
筆頭著者 澤田 昌孝
論文名 Estimation of surface fault displacement by high performance computing
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Journal of Earthquake and Tsunami/Volume No. 12, Issue No. 04/2018年11月/22
概要 信頼ある地表断層変位の推定手法は断層変位に対する重要構造物の設計・安全評価を行うために重要である。断層変位の推定手法として数値解析による推定が考えられる。著者らは、1) 厳密に導出した高次ジョイント要素、2) エネルギー保存に優れた陽的シンプレクティック時間積分という2つの機能を有する有限要素法プログラムの開発を行った。本有限要素法プログラムは並列計算による大規模解析が可能である。断層を複数含む地盤の比較的単純な3次元モデルに開発したプログラムを適用し、開発したプログラムと作成した解析モデルによる副断層の変位が評価可能であることを示した。また、準静的解析と動的解析の整合性を確認し、両者を用いて地表断層変位を不確実性を考慮して評価する手法を提案した。
番号 11
筆頭著者 佐藤 隆宏
論文名 蛇行河川内ダム堰上下流における非定常流量条件下の混合砂の堆積構造
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 水工学論文集/63巻/2018年11月/6
概要 蛇行河川に設置されたダム堰の上下流における混合砂の堆積構造を調べるため、移動床実験と平面二次元河床変動解析において同一波形の非定常ハイドロを連続して与え、ダム堰上流が満砂になるまでの堆積過程とダム堰下流への土砂流出による洗掘・堆積過程を調べた。実験では水位変化と河床位平面分布を測定するとともに、河床堆積物の粒度鉛直分布測定とX線CT撮影を行った。計算では流砂層モデルを用いて、ダム堰越流部の射流を含む全区間を連続して解析した。両者の比較の結果、上流貯水池の堆砂デルタ形状の経時変化が概ね一致すること、ならびに、X線CT画像で明瞭となった堆砂デルタの河川横断方向に非一様な堆積構造について、粗粒子の存在確率等に課題はあるものの概ね再現可能なことを確認した。
番号 12
筆頭著者 太田 一行
論文名 排砂の濁質流動解析に及ぼす乱流モデルの影響
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 土木学会論文集B1(水工学)/Vol.74, No.5, I_649-I_654/2018年11月/6
概要 本研究では、ダムからの微細粒子の排砂について3次元解析を行い、乱流モデルが解析結果に及ぼす影響を考察した。まず、排砂設備周辺の3次元流れにk-εモデルとk-ωSSTモデルを適用し、渦粘性近似が解析結果に及ぼす影響を示した。次に、k-ωSSTモデルに浮力項を導入し、浮力項が濁質流動解析に及ぼす影響を考察した。全ての結果から、濁質濃度勾配と乱れの非等方性がともに重要となる流動では、浮力修正k-ωSSTモデルが有用であることが示唆された。
番号 13
筆頭著者 末永 弘
論文名 ボーリング孔を対象としたミュオン密度検層装置の開発及び現場への適用
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 物理探査/71/2018年12月/148-160
概要 宇宙線ミュオンを用いた密度トモグラフィであるミュオグラフィ技術は、火山やピラミッドといった巨大物体の内部可視化技術として実証されている。しかしながら現行のミュオグラフィは大型のミュオン検出装置を用いており、地下の内部構造を可視化するためには、地下に掘削されたボーリング孔に適用可能な小型化された検層装置を用いてミュオグラフィを実施する必要がある。そこで本研究では、内径10cm程度のボーリング孔に対応する、ミュオン密度検層装置を開発した。この検層装置は、プラスチックシンチレータをダウンサイジングすることによりミュオンの飛来方向についての角度分解能の向上を図るとともに、ミュオンの飛来する視野を広げるためにプラスチックシンチレータを回動させることができるという特徴を持つ。この検層装置の機能検証を行うため、上方に50m程度の山体を持つ水平ボーリング孔においてミュオグラフィを実施した。その結果、得られた山体の密度分布は、近傍のボーリング孔から取得されたコア試料を用いた密度の測定値と概ね整合的な値となり、検層装置の適用性が明らかとなった。また、今後大深度のボーリング孔においてミュオグラフィを実施する場合の適用先について議論し、石油・天然ガス資源開発、CO2地中貯留、メタンハイドレート、エネルギー貯蔵、圧縮空気貯蔵、地熱発電への適用可能性を示した。
番号 14
筆頭著者 野原 慎太郎
論文名 Large deformation numerical simulations for geo-materials using MPS method
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Journal of Rock Mechanics and Geotechinical Engineering/Volume10, Issue6/2018年12月/1122-1132
概要 地震や豪雨がもたらす斜面災害による被害を軽減するためには、力の釣り合いによる安定性評価だけではなく、崩壊土砂の到達距離や移動速度を評価し、変形の発生から崩壊に至るまでの一連の過程を評価することが望ましい。有限要素法(FEM)等の変形解析は、変形量が一定以上大きくなるとメッシュが破綻し計算を継続して行うことができない。崩壊斜面の挙動を表現するためには、大変形現象を安定的に表現できる数値解析手法の開発が必要である。本論では、大変形問題を解くためのLagrange解析手法として、粒子法の一つであるMPS法(Moving Particle Semi-implicit method)に注目し、地盤の大変形現象に対する適用性を検証した。
番号 15
筆頭著者 小早川 博亮
論文名 送電用鉄塔周辺斜面の地震時崩壊危険箇所抽出フローの構築
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 地盤工学ジャーナル/Vol.13 No.4/2018年12月/297-308
概要 送電用鉄塔周辺斜面の地震時の斜面崩壊危険箇所を机上検討によって抽出することを目的として、地震時の斜面崩壊危険箇所抽出フローを構築した。抽出フローは崩壊や地すべりといった崩壊形態の分類毎に、地形図・地質図などによる検討を基本とする広域の段階と、数値標高データに基づく検討の中域の段階に分けて実施するものとし、過去の内陸地殻内地震発生時の斜面崩壊の事例分析によりフローに含まれる要因と閾値を定めた。構築したフローを2004年新潟県中越地震による斜面崩壊事例に適用し、フローにより危険箇所として抽出される箇所と崩壊箇所はよく一致することを確認した。
番号 16
筆頭著者 湯山 安由美
論文名 Simulation of operational reliability of thermal power plants during a power crisis: Are we underestimating power shortage risk?
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Applied Energy/Vol.231/2018年12月/13
概要 電力需給がひっ迫した状況における火力発電所の計画外停止の問題は、これまでの研究において充分な検討が行われておらず、同様の災害が発生した場合の需要制約のあり方や予備力の備えを検討する上で重要となっている。本研究では、東日本大震災後の火力発電所の計画外停止情報を収集し、計画外停止事故を確率的に評価するとともに、ブートストラップ法を用いて当時の供給力不足リスクについてシミュレーションを行った。その結果、電力不足下における火力発電所の事故率は平常時より高かったこと、一度事故を起こしたユニットの復旧後の事故発生確率はさらに高くなることが明らかとなった。また311後の供給力不足のシミュレーションより、需要制約下での実際の電力需要に対し、供給力不足の発生可能性は低かったことが示唆された。
番号 17
筆頭著者 服部 康男
論文名 外部からの気流進入に随伴した鋼管内面壁面せん断応力分布の特性把握
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 土木学会論文集A2分冊(応用力学)特集号/Vol74,No2/2019年1月/8
概要 鋼構造物構成要素のうち、雨洗効果を小さい鋼管内面での海塩付着量分布に対する数値流体解析による推定を検討した。特に、既往の観測が指摘する付着量の端部への集中現象への再現と発生過程の解明を目的とした。海塩付着量に呼応する流体力学的パラメータとして壁面せん断応力の挙動について、外部から内部への気流侵入とともに形成される分布性状を精査した。 Launder-SharmaモデルとKato-Launderモデルの2種類の低Re型k-eモデルの比較を行い、流入側円管端部近傍での乱流エネルギの過大評価を改良しているKato-Launderモデルの妥当性を明らかにした後、付着量の端部への集中をもたらす流体力学的素過程が助走域における境界層の乱流遷移やはく離域の形成に伴う局所的な増速であることを明らかにした。
番号 18
筆頭著者 木原 直人
論文名 An Application of Semi-empirical Physical model of Tsunami-Bore Pressure on Buildings
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Frontiers in Built Environment/Vol.5/ 2019年1月/15
概要 津波が構造物に衝突した後、数秒間見られる段波波圧の半経験的な物理モデルを構築し、2次元の非線形長波モデルの計算結果を提案モデルに入力することにより段波波圧を評価する方法を提案した。津波遡上問題に対して、3次元数値流体解析と2次元非線形長波モデルによる計算の両方を実施し、3次元数値流体解析から直接評価される構造物に作用する波力と、2次元非線形長波モデルと段波波圧の半経験的物理モデルから評価される波力とを比較することにより、提案手法の適用性を示した。
番号 19
筆頭著者 中尾 圭佑
論文名 Effect of the granularity of heterogeneous forest cover on the drag coefficient
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Boundary-Layer Meteorology/doi.org/10.1007/s10546-018-0392-0/2019年2月/21
概要 大気地面近傍の風速は、配電設備にとって重要な風荷重参照情報である。本論文では配電設備にかかる風の影響を抗力の視点に基づき、分析した。1km程度の土地利用情報からは読み取ることのできない、非一様な森林上層の風を数値流体解析により推定した。空き地や伐採地域の影響がもたらす流体力学的な抵抗要素の変化を調査した結果、森林の非一様性の影響は特に突端部と側部で現れることがわかった。これらの影響は、圧力の影響と流れの空間発達性に起因していることが明らかになった。この影響は森林高さに対して10倍程度の距離の吹走でほぼ均一な森林状態に近づくことがわかった。
番号 20
筆頭著者 澤田 昌孝
論文名 地表地震断層を伴う実地震を対象とした高性能計算による断層変位評価
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 土木学会論文集A2(応用力学)特集号/Vol.74, No.2/2019年2月/12
概要 断層変位の評価手法として連続体力学に基づく数値解析がある。著者らはそれを行うための並列有限要素法解析プログラムの開発を行ってきた。本稿では、この解析プログラムを用いて、2014年長野県北部地震で発生した地表地震断層を対象としたシミュレーションを実施した結果を示す。副断層が発生した地表地震断層北端部を含む5km x 5km x 1kmの領域をモデル化し、底面に地殻変動の逆解析に基づく強制変位を与えた。入力ずれ変位の増加とともに、主断層および副断層にずれ変位が発生し、その大きさは観測結果と概ね整合した。これにより、本解析手法を用いることで、主断層・副断層の変位発生を評価可能であることを示した。
番号 21
筆頭著者 柴山 淳
論文名 Response of RC Walls Subjected to Tsunami Debris Collision by Nonlinear Finite Element Analysis
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 International Journal of Offshore and Polar Engineering/Vol.29, No. 1/2019年3月/53-61
概要 津波波力と津波漂流物の衝突力を受けるRC構造物の応答特性を実験的的および解析的に検討するとともに、非線形有限要素解析による再現解析の適用性を検証した。 構造物の材料の応答が、一度の衝突では線形範囲に留まっても、複数回の衝突を受けるとひずみが蓄積し、非線形化する可能性があることを明らかにした。 また、著者らが行った実験では、漂流物衝突により発生する構造物の応答波形は、漂流物の重さおよび衝突状態に関わらず、概ね1秒以内で収束することを明らかにした。また、非線形有限要素解析は、津波波力と津波漂流物という重畳した外力を受けるRC構造物の応答を、実験で確認された特徴的な斜めひび割れを含めて概ね再現することが可能であった。さらに、漂流物衝突を受けた構造物の応答波形の実験結果と再現解析の結果を詳細に比較した結果、再現解析は、衝突直後の構造物の応答波形を1周期程度は良く再現できた。

2017(平成29)年度 学術論文一覧

番号 1
筆頭著者 相山 光太郎
論文名 断層破砕帯の詳細構造解析に基づく断層の活動性の検討:山田断層の例
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 応用地質/第58巻1号/2017年4月/17
概要 断層破砕帯の構造や構成鉱物を明らかにすることは、断層の活動性を評価するために重要である。 そこで、活断層と第四紀以降に活動していない断層の特徴を把握するため、 花崗岩露頭中に発達する山田断層の破砕帯を対象に詳細な構造解析を実施した。  山田断層の破砕帯は断層ガウジ帯や、断層角礫、カタクレーサイトから構成され、主断層面や数条の小断層面が認められる。 主断層面は未固結堆積層を切り、断層ガウジ帯を伴う。断層ガウジ帯は10枚の断層ガウジからなる層状構造を呈する。 この10枚の断層ガウジは右横ずれ剪断(せんだん)運動を示す複合面構造を呈し、 主にスメクタイトからなるため、スメクタイト生成後の地殻浅部での繰り返し剪断運動により、断層ガウジ帯が形成されたと考えられる。 小断層面は未固結堆積層との関係が不明で、断層ガウジを伴わず、カタクレーサイトと接する。 カタクレーサイト中には、地殻深部で塑性変形した黒雲母が認められ、地殻浅部の活動を示す構造は見られないため、 この小断層面は第四紀以降に活動していないと考えられる。
番号 2
筆頭著者 伊藤 久敏
論文名 Zircon U-Pb dating using LA-ICP-MS: Quaternary tephras in Yakushima Island、 Japan
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Journal of Volcanology and Geothermal Research/338/2017年5月
概要 屋久島に分布する3枚のテフラのジルコンを用いたU-Th-Pb年代測定を行い、良好な結果が得られたので国際誌に投稿する。 すなわち、安房テフラから0.96 ± 0.17 Ma、小瀬田火砕流から0.63 ± 0.04 Ma、K-Tzテフラから0.17 ± 0.05 Maが得られた。 このうち、K-Tzに関しては、噴出年代とされる約0.1 Ma(すなわち10万年前)より少し古い値が得られたが、得られた0.17 Maは多くのジルコンの加重平均年代であり、最も若いジルコンの年代は約0.1 Maを示すことから、得られた年代値は信頼性が高いと判断した。 さらに、K-Tzには1 Maや0.6 Maの年代を示すジルコンが含まれることから、給源が不明とされてきた安房テフラと小瀬田火砕流がK-Tzと同じ鬼界カルデラ起源であると推定されることを述べる。
番号 3
筆頭著者 伊藤 久敏
論文名 Zircon U-Pb dating using LA-ICP-MS: Quaternary tephras in Boso Peninsula、 Japan
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Quaternary Geochronology/第40巻/2017年5月
概要 房総半島で採取した6枚の第四紀テフラのジルコンのU-Pb年代測定を行った。 房総半島の第四紀テフラは、国際的な第四紀の年代尺度の基準候補となるなど、正確な年代決定の意義は大きい。 測定した6枚のテフラのうち、2枚からは信頼性の高いテフラの噴出・堆積年代が得られた。 残る4枚は想定されているテフラの噴出・堆積年代よりも古い年代を示したが、これらはテフラの堆積時に混入した異質ジルコンと判断した。
番号 4
筆頭著者 中田 弘太郎
論文名 地下水トレーサとしての蛍光染料の分析と試料溶液の保管法の検討
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 地下水学会誌/59巻、3号/2017年8月/205-227
概要 地下水のトレーサとして頻繁に使用される蛍光染料について、分析や使用・保管における留意点および対応法をまとめた。 分析においてはpHの影響が最も大きく、緩衝液でpHを緩衝して分析する必要がある。また、天然有機物が共存することにより、見かけの蛍光染料濃度が増減するため、事前の確認が必要である。 また分析の前処理として一般的な、フィルタでのろ過もウラニン・エオシンの分析値に影響を与える可能性があるため、フィルタの素材・ろ過のやり方に留意する必要がある。 使用・保管においては基本的に遮光しておけば変質する可能性は低いものの、地下水中に含まれる微生物等により蛍光染料が変質する可能性があるため、事前の確認が必要である。
番号 5
筆頭著者 伊藤 久敏
論文名 Magmatic tempo of Earth’s youngest exposed plutons as revealed by detrital zircon U-Pb geochronology
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Scientific Reports/7巻/2017年9月/
概要 深成岩は地下数kmの深さで生成されるので、地表に露出する若い深成岩は、その地域が最近急激に隆起・削剥を受けた地域であることを意味する。 世界で最も若い深成岩と二番目に若い深成岩は黒部川花崗岩と滝谷花崗閃緑岩であり、ともに飛騨山脈に分布する。 これらの深成岩の生成年代を正確に知ることは、若い山脈の形成過程を理解する上で重要である。 今回、これらの岩石と河川砂を用い、ジルコンのU-Pb年代測定により、これらの深成岩の形成史をより明らかにした。 その結果、黒部川花崗岩は約2.3Maと約0.8Maに生じ、滝谷花崗閃緑岩は約1.6Maに生じたことが明らかになった。
番号 6
筆頭著者 太田 一行
論文名 Quantification of spatial lag effect on sediment transport around hydraulic structure using Eulerian-Lagrangian model
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Advances in Water Resources/Special issue THESIS-2016/2017年10月
概要 掃流砂の非平衡性が卓越する場では、掃流砂の加速・減速の影響(空間遅れ効果)が河床変動解析結果に影響を及ぼす可能性が指摘されている。 本論文では、水理構造物周辺の掃流砂量をEuler-Lagrange型の数値解析により定量化し、掃流砂の空間遅れ効果が河床変動解析結果に及ぼす影響を考察した。
番号 7
筆頭著者 鈴木 浩一
論文名 物理探査法による地中送電線周辺土壌の固有熱抵抗の評価(その2)−未固結地盤を対象とした物性モデルと固有熱抵抗モデルの相関−
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 物理探査/Vol.71/2018年1月/'1-14
概要 地中送電線路の設計では、送電線周囲の土壌の熱抵抗は送電容量を決定するための重要なパラメータとなる。 従来は、経験に基づく安全側の基準値で代用されており、必要以上に大きい断面積のケーブルで施工される場合が多い。 従来、人工土壌試料による実験式に基づき、比抵抗から熱抵抗を推定する方法を示しているが、現地で採取した土壌試料から比抵抗や熱抵抗を測定しておく必要があった。 そこで、未固結砂モデルに基づき、砂粒子・粘土粒子・間隙水の並列回路と空気との直列回路よりなる熱抵抗評価モデルを提案し、 このモデルによる計算値は未固結土壌試料による室内試験で得られた飽和度と熱抵抗の関係をよく説明できることが分かった。 さらに、S波速度と間隙率との関係式と比抵抗と間隙率の関係式を組み合わせた熱抵抗の推定フローを提案した。 本フローを地中送電線埋設予定地点で行われた電気探査および表面波探査データに適用した結果、比抵抗とS波速度から推定した熱抵抗と過渡探針法により測定した熱抵抗は、概ね整合することを確認した。 以上より、提案した方法は最適なケーブルの設計に充分適用できると考えられる。
番号 8
筆頭著者 澤田 昌孝
論文名 断層変位評価のための高性能数値解析手法の開発
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 土木学会論文集A2(応用力学)/Vol.73、 No.2/2018年1月/I_699-I_710
概要 信頼ある地表断層変位の推定手法は断層変位に対する重要構造物の設計・安全評価を行うために重要である。 断層変位の推定手法として数値解析による推定が考えられる。 本論文では、1) 厳密に導出した高次ジョイント要素、2) エネルギー保存に優れた陽的シンプレクティック時間積分という2つの機能を有する有限要素法プログラムの開発を行った。 本有限要素法プログラムは並列計算による大規模解析が可能である。断層を含む地盤の比較的単純な3 次元モデルに開発したプログラムを適用し、その検証を行った。 また、開発した解析手法は100 万自由度程度のモデルに適用可能で、計算時間も十分に短いことを示した。
番号 9
筆頭著者 江口 譲
論文名 Numerical Pressure Retrieval from Velocity Measurement of a Turbulent Tornado-Like Vortex(速度計測に基づく竜巻状乱流渦の圧力分布計算)
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Journal of Wind Engineering & Industrial Aerodynamics/Vol.74/2018年1月/61-68
概要 原子力発電所の安全審査において、竜巻の風荷重、竜巻飛来物衝撃荷重のほかに竜巻通過時の建屋内外の気圧差荷重の評価が必要である。 現在は単純な渦モデルで竜巻の圧力分布を評価しているが、大きな保守性が含まれているものと考えられる。そこで、竜巻内の圧力分布を推定するために、 テキサス工科大学の大型竜巻模擬実験装置VorTECHで計測された速度を入力データとして、その3次元圧力分布を当所の圧力逆算解析コードv2pで求めた。 この圧力計算では、計測で得られた時間平均速度のほかに乱流量(レイノルズ応力)を考慮している点にオリジナリティがある。 VorTECHで計測された床面での圧力分布と本解析で得られた圧力分布の計算結果を比較したところ、レイノルズ応力を考慮した圧力が考慮しない場合に比べて実験値とよく一致することが示された。
番号 10
筆頭著者 甲斐田 秀樹
論文名 実規模木材の水中・気中衝突実験
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 土木学会論文集B2(海岸工学)/Vol.73、 No.2/2018年1月/I_1159-I_1164
概要 津波漂流物の被害を受けることが想定される臨海部の構造物・施設等の設計・リスク評価においては、その挙動および衝突力の適切な評価が肝要である。 本報では、これらに関する各種知見の確立・高度化に向けた検討のベースとすべく、衝突力計測が可能な鋼板に実規模木材を気中・水中で衝突させる大規模実験を行った。 まず、気中衝突実験の結果を用いて、既存の衝突力推定式の精度を確認した。 次いで、初期水位や最大流速の異なる5種類の遡上津波を用いた木材の水中衝突実験により、 遡上津波中の作用を受けて漂流する木材の挙動および衝突時の特徴について検討を行い、被衝突体前面における反射波や木材の初期配置方向、 木材が置かれた地点の初期水位が漂流物の漂流・衝突挙動に影響を及ぼすことを示した。
番号 11
筆頭著者 中田 弘太郎
論文名 An evaluation of long-term stability of pore water in the Neogene sedimentary rocks in northern part of Japan
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 Geofluid/2018年1月
概要 北海道幌延地域に分布する「声問層」「稚内層」に存在する地下水について、これらの地層が約100万年前に隆起したあとの安定性を地下水の年代指標である36Clや4Heを使って議論した。 36Clを用いた評価では、両層に存在する地下水はこれらの層に100万年以上存在している可能性が高いことが示された。 一方で4Heのデータからは、声問層の全てのサンプルと稚内層の一部のサンプルは天水の影響を受けている可能性が示唆された。 さらに、地下水の水素酸素同位体比を調べると、地下水の水素酸素同位体比は天水と深部地下水の混合線上に存在することから、Heから示唆された天水の浸入を支持する結果となった。 上記の結果から、声問層と稚内層の一部では、隆起が始まってから天水が浸入している可能性があるが、稚内層の深部では隆起以降地下水が安定して存在している可能性が高いことが示された。
番号 12
筆頭著者 北野 慈和
論文名 ジェット気流が有する比エネルギーの時系列変化と太平洋ブロッキングの形成過程
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 水工学論文集B1(水工学)/74/2018年2月
概要 大学院在籍時の成果を、北海道大学の所属にて発表する。中緯度地域では、大気ブロッキング発生に伴いジェット気流の異常な蛇行が数週間程度継続し、 周辺地域に水文気象災害を引き起こす。近年の日本の事例では、2014年北海道根室高潮事例、2015年関東東北豪雨等で、顕著なジェット気流の蛇行またはブロッキングが観測された。 ブロッキングに対する理論的研究のひとつとして、Rossby(1950)、Armi(1989)によるジェット気流を開水路流れに見立てる理論が存在する。 本研究では、これを現実大気場に適用可能とした北野、山田(2017)をもとに、1989年冬季の太平洋ブロッキングのイベントを解析した。 ジェット気流内部のエネルギーの状態を時系列で観察し、ブロッキング発生以前において、日本の上空付近で運動エネルギーが高まり、これが東部へ伝搬し一地域に蓄積した際、ブロッキングが生じていることを確認した。
番号 13
筆頭著者 木原 直人
論文名 津波PRAにおけるフラジリティ評価用津波の設定法
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 日本地震工学会論文集/Vol.18、 No.1/2018年2月/35-58
概要 確率論的津波ハザード評価結果と整合がとれた年超過頻度付きのフラジリティ評価用の津波を設定する方法を提案した。 津波ハザード評価結果に対してハザード再分解を実施することにより、フラジリティ評価用の津波を設定する上で考慮すべき津波条件を特定すると共に、 波形の特徴が類似する津波群をグループ化することにより、フラジリティ評価用の津波を設定した。 設定されたフラジリティ評価用津波を用いて防潮堤前面での年超過頻度を推定した結果、ハザード評価から直接求まる年超過頻度と一致したことから、フラジリティ評価用津波の適用性が確認された。
番号 14
筆頭著者 佐藤 雄亮
論文名 ギャロッピング時における送電用鉄塔部材の疲労損傷度評価
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 構造工学論文集/Vol.64A/2018年3月
概要 実機UHV鉄塔でのギャロッピング発生時の観測記録に基づき、大振幅電線振動発生時の塔体応答を分析した。 その結果、部材軸力の設計耐力に対する裕度は1.0以上を確保しているものの、通常時の応答に対して最大で10倍近い標準偏差の応答が生じており、 ギャロッピング時は最大振幅に近い応答が長時間継続するため、疲労への影響が懸念されることが明らかとなった。 さらに、有限要素解析により観測していない部材での発生軸力を推定し、累積疲労損傷度を評価した。 その結果、腕金の上下パネルにおいて疲労損傷度が大きくなる傾向を確認した。
番号 15
筆頭著者 新井 涼允
論文名 水位上昇に伴う水際崩壊実験を対象とした平面崩壊モデルの適用と再現性の検証
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 水工学論文集/Vol.74、 No.4/2018年3月/I_1075-I_1080
概要 ダム堆砂対策の一環として実施される排砂・通砂や置き土は水際部における侵食および崩壊を伴う現象である。 水際の崩壊を評価する解析モデルは存在するものの、崩壊のタイミングの精度や非粘着性土に対する適用性は不明である。 本研究では非粘着性土の斜面模型に水位上昇を与える水際崩壊実験を実施した。 また、これまで多くの研究者に利用されてきた河岸のすべりを解析する平面崩壊モデルに、土壌水分の影響を忠実に表現できるよう改良を加え、水際崩壊実験に適用した。 実際のすべりイベントと平面崩壊モデルの安全率の結果から、概ねすべりのタイミングを再現できることが確認された。
番号 16
筆頭著者 新井 涼允
論文名 Experimental investigation on cohesionless sandy bank failure resulting from water level rising
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 International Journal of Sediment Research/Volume 33、 Issue 1/2018年3月/47-56
概要 水際崩壊の種類やメカニズムを詳細に把握するために、土槽内に側岸を模擬した土塊を締め固め、水位上昇を作用させることで侵食および崩壊を発生させる実験を行った。 土塊内部の間隙水圧および体積含水率の計測に加え、PIV法による崩壊速度の測定とハンディ3Dスキャナによる崩壊後の地形の計測を実施した。 本実験では、2種類の粒径の砂と土塊高さ(25cm、 50cm)を対象とすることで、崩壊に抵抗するサクションおよび崩壊面に作用する重力が変化したことに起因し、すべり崩壊および片持ち梁の転倒崩壊が発生した。 加えて、それぞれの崩壊挙動の違いから、すべり崩壊と片持ち梁崩壊の崩壊堆積物による侵食保護の違いが明らかとなった。
番号 17
筆頭著者 太田 一行
論文名 多相Euler法に基づく3次元混合砂輸送解析-土石流の流動・分級・堆積過程への適用-
掲載誌名/巻号/掲載年月/掲載ページ数 水工学論文集/62/2018年3月/I_1081-I_1086
概要 本研究では液相と粒子相(粒径階毎)の運動方程式を解く多相オイラー法を用いて、 3次元混合砂輸送解析法を開発した。 粒子相の応力構成として、粒子流の振動エネルギーに基づく衝突応力ならび粒子集合体の膨張(ダイレタンシー)に伴う摩擦応力を取り入れた。 開発したモデルの妥当性検証のため、土石流に関する室内実験および大規模実験の再現計算を行った。 解析モデルは実験データの土砂濃度分布、土砂輸送速度、空間的な分級現象を良好に再現した、構成則および分級現象が土石流に及ぼす影響を考察した。
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