電力技術研究所が保有する主要な研究設備です。
高周波発生装置
高周波変圧器・リアクトル
制御盤
回路理論では厳密に取り扱うことができない、鉄塔や建築物のような三次元的に配置された導体や、接地網のように大地内に敷設された導体を対象として、数値電磁界計算手法により高精度なサージ解析を行うことができます。大地の層構造、細線導体、直方体・平板などの導体、直方体形状の誘電体、集中定数素子(R, L, C)、落雷、避雷器、アークホーンフラッシオーバモデルを考慮することができます。波源として電圧源と電流源を配置することができ、各位置の電圧、電流、電界、磁界の計算結果が得られます。また、入力データ作成支援、電圧波形等のグラフ表示、電界・磁界分布の時間的な変化を表すアニメーション表示などの機能を有するグラフィカル・ユーザ・インターフェースを備えています。
土壌の熱抵抗・熱容量と負荷変動を考慮した過渡的な温度変化をパソコン上で簡易に解析することが可能です。従来の設計法では基本的に、たとえ継続時間が短時間でも、最大負荷電流に対してケーブルが飽和温度まで達すると仮定して許容値を計算します。一般に土壌の熱容量は大きく、温度飽和に至るまで時間がかかります。過渡温度変化に注目すれば現実に即した許容値を把握でき、設備の限界利用が可能となります。
6kV級程度の小型変圧器を対象に、負荷変動と気象条件を考慮した過渡的な温度変化をパソコン上で簡易に解析することが可能です。負荷変動の大きい小型変圧器を定格負荷の範囲で運転していては設備利用率が下がらざるを得ませんが、過負荷運転は寿命に与える影響が懸念されます。負荷履歴(または今後の予定)に基づいた過渡的な温度履歴(予定)を把握し、変圧器寿命に直接影響を与える内部絶縁紙の熱劣化度合い等を予測しながら使用すれば、無理のない過負荷運転計画をたてることができます。
本ソフトウェアは,変圧器の負荷と熱的特性(工場試験の中の温度上昇試験結果)から巻線(絶縁紙)の過渡温度を計算し、絶縁紙劣化推移を推定します。負荷データは至近年の繰り返しと仮定した場合にも平均重合度の推定誤差は10%程度[1]と高精度の推定が可能です。更に、至近年の負荷が将来も繰り返すと仮定することで寿命予測も可能です。
参考報告書
[1] 水谷,高橋,羽柴:「温度履歴解析に基づいた66〜275kV油入変圧器の絶縁紙の劣化推定手法」,電力中央研究所 研究報告, H11026, 2012
変圧器モデル(熱等価回路)作成画面(工場試験成績書から転記)
変圧器劣化度(平均重合度)計算結果表示画面
(平均重合度の寿命レベル※を指定することで余寿命を推定可能)
※例えばJEM1463規格では平均重合度450を寿命基準としている
EMTP(ディジタル形過渡現象解析プログラム)を利用して、落雷時の線路、構内、ビル内等の雷サージ電圧・電流の伝搬特性を解析・評価します。
現状設備または設計段階の発電所、変電所、送電線、配電線に対する雷事故率を予測計算し、各種耐雷施策による事故率低減効果を評価します。大型設備への落雷現象・配電線への誘導雷現象等を予測し、雷撃率(雷しゃへい率)や誘導電圧等を評価します。
様々な計算条件に対して、高精度・高速度計算が可能です。計算対象としては、送電線下、送電鉄塔各部(アークホーン、ジャンパー線等)付近などの各種電力設備・機器近傍が可能です。計算・解析可能項目は、電界・磁界のほかに、うず電流分布、気中イオン密度、室内の空間電荷密度、大イオン密度などであり、EMCに関する多くの要素を対象とします。
本プログラムは,電力線周辺の磁界をビオサバールの法則に基づき計算するものです。本プログラムにより国内の磁界規制に対応した適合性評価を簡便に行うことができます。
電力線周辺等の商用周波電磁界,および無線機器等から生じる無線周波(RF)電磁界中に人体モデルを配置し,体内の誘導電界やSAR(比吸収率,Specific Absorption Rate)が計算できるものです。本プログラムにより,低周波およびRF電磁界の人体防護指針との適合性評価が可能です。
商用周波電磁界中における人体モデル注1内の誘導電界の計算例
RF電磁界中における人体モデル
内のSAR計算の概要
注1 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)等により開発された,解剖学的データに基づく日本人平均体形を有する成人男性の数値人体モデル
インパルス高電圧・大電流波形パラメータ解析プログラム(χ-plus)は IEC60060-1:2010およびIEC61083-2:2013に準拠し,いわゆるkファクタを用いてインパルス波形パラメータ(波高値,波頭長,波尾長)を計算する。χ-plusは波形表示部、試験・解析条件入力部、解析結果表示部から構成されており、実際の試験での利便性を考慮し、測定結果のテキストファイルが作成されると自動で解析する機能や、 解析結果をサマリーに保存する機能等を備えている。χ-plusは、Windows 環境下で動作し、入力テキストファイルの区切り文字に柔軟に対応できる仕様となっており、汎用測定器に対応可能。
※1:データ読み込みウィンドウを開く
※2:波形種類を選択(雷インパルス電圧/雷インパルス電流(exponential)/雷インパルス電流(rectangular)/開閉インパルス電圧)
※3:解析実行ボタン
※4:解析結果をSummaryに追加する。(自動サマリーモードあり)
※5:雷インパルス電圧の試験において、波尾裁断波を解析するときに用いる低減全波波形をあらかじめ設定する。
※1 ある点の値をその前後W個のデータの平均値とするノイズ処理手法。χ-plus ではW=1は移動平均なしを意味する。
※2 IEC60060-1には開閉インパルス電圧が波尾裁断した時の裁断時間の定義はないが、実用上裁断時間計測の必要もあることから、雷インパルス電圧の波尾裁断時間の定義に準じて算出する。