バイオマスから電気をつくる−バイオマス混焼・ガス化技術−

 バイオマスには多くの種類があって、木質系、農業系、食品残渣系、生活系、海外でつくられているバイオマスなどに分類できます。


1.
木質系としては、製材所からでる廃材、建物を壊したときに出る建築廃材、山の管理で発生する間伐材などがあります。
2.
農業系としては、お米の生産で発生する、“もみがら”や“わら”などがあります。
3.
食品残渣系としては、ジュース、コーヒー、お茶などを作るときに出る絞り粕、食品加工工場から出る汚泥や廃棄物などがあります。
4.
生活系としては、生ゴミ、廃プラ、下水汚泥などがあります。
5.
海外のバイオマスとしては、パーム椰子油やジャトロファ油の搾油滓などが代表です。

 ところで、バイオマスを使うといいことあるのでしょうか?バイオマスにはカーボンニュートラルという考え方があります。これは、バイオマスを燃やすとCO2が出ますが、木が生長するときにCO2を吸収するので、大気中のCO2は増えず、排出はゼロという考え方のことです。また、バイオマスは植林することで増やすこともできるから再生可能な大事なエネルギーと言えます。


 以前は、生ゴミなどを燃やして処理するだけでしたが、最近では燃やす時の熱を利用して電気を作っています。資源の乏しい日本にとってとても大事なことと言えます。

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バイオマスはカーボンニュートラル

 カーボンニュートラルなバイオマスの利用にあたって、化石燃料と異なり、「そのままでは利用しにくい」、「どんなバイオマスを使ったらいいのか」、といった、いくつかの課題があります。


 「そのままでは燃料として利用しにくい」

1.
水分が多くて燃えにくい。
2.
かさばるので運びにくい。
3.
カロリーが低くて取り出せるエネルギーが少ない。
4.
広く薄く分布しているので、大量に集めるのが大変。

 「どんなバイオマスを使ったらいいのか」

 バイオマスをエネルギーとして利用するには、大事な使い途の順番があります。バイオマスは、食料品や生活用品にも広く使われてますので、これらと競合しないよう注意が必要です。何かを作るときに出てしまうゴミの利用が大事で、当研究所では下記の5Fという優先順位を考えています。

第1:
Food(人の食料)
第2:
Feed(家畜などの飼料)
第3:
Fertilizer(植物などの肥料)
第4:
Fiber(繊維、机や椅子などの家具・木製品)
第5:
Fuel(燃料)

家庭用のペレットストーブ

 枯れた木や、間伐材、製材廃材を使った、木質ペレットが使われ始めています。灯油の代替燃料として使われています。

 家庭から、産業界、電気事業に至るまで広くバイオマスの利用が始まっています。当研究所では、上記の考え方を踏まえて、利用しにくいバイオマスを上手に使うための様々な研究開発を行っています。

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石炭火力発電所でバイオマスが使われている例

 左の写真は、石炭火力発電所の写真です。右の写真は、石炭コンベヤで、バイオマスが混ぜて運ばれている様子です。

 大型の石炭火力発電所では、約40%と高い効率で電気が作られています。この火力発電所の燃料にバイオマスを混ぜてやれば、高い効率を維持したまま電気を作ることができます。そこで、石炭にバイオマスを混ぜて利用する混焼発電が進められています。ただし、発電所では電気を安定に作って安定に供給することが本来の大事な使命なので、バイオマスを混ぜても悪い影響がでないか事前に確認する必要があります。そこで、当研究所では、様々な評価装置を使って、貯蔵時の安全性、粉砕性、燃焼性、環境影響等の事前評価を行っています。

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貯蔵安全性評価装置

 バイオマスを電気炉の中に入れ、発酵等による自然発熱性を評価します。

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粉砕性評価装置

 石炭用のローラミルで、繊維質なバイオマスを粉砕した際の特性を評価します。

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燃焼性評価装置

 石炭とバイオマスを混合した際の燃焼性を評価します。

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バイオマス燃焼の様子

 バイオマスを石炭用のバーナで燃焼したときの様子です。

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燃焼性・環境影響評価装置

 石炭火力発電所を模擬した実験設備で、石炭とバイオマスを混ぜて燃焼したときの様々な特性を評価します。

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混焼時の環境影響評価例

 石炭にバイオマスを混ぜたときの環境特性を評価した例です。この実験では、約10%程度の混合であれば問題ないことがわかりました。

 バイオマスは広く薄く分布しているので、大量のバイオマスを集めるのが困難です。しかし、中小規模のプラントでは、熱損失が大きく一般的に低効率を余儀なくされます。そこで、当研究所では中小規模も高効率なバイオマス発電システムの開発を行っています。また、様々なバイオマスを一緒に利用できれば規模も大きくでき、処理にも便利です。


 当研究所ではバイオマスを炭化により均質な燃料に変換し、これをガス化して、高効率なガスエンジンや高温形の燃料電池で発電するシステムを考案し、開発を行っています。このシステムは、発電で余った熱を再利用するので、とても高効率です。


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炭化ガス化発電システムの構成

 バイオマスを炭化・ガス化し、発電排熱をカーボナイザーで再利用することで、高効率発電を達成します。

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炭化ガス化実験設備

 実験設備を用いて、炭化ガス化技術を開発するとともに、様々なバイオマスの炭化ガス化特性を評価します。

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高温乾式ガス精製実験設備

 実験設備を用いて、ガス化したガス中の不純物を効率よく取り除く研究開発を行っています。


1:
木質バイオマスや食品加工残渣を用いて、炭化ガス化ガスエンジン発電実証実験を行った結果、小規模ながら約25%の発電効率を得ることに成功しました。
2:
さらに、開発した高温乾式ガス精製技術とMCFC(電中研製単セル)を組み合わせ、これらの炭化ガス化発電実証実験を行ったところ、安定した発電が行え、実機レベルでは発電効率が約32%に達する見通しが得られました。

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炭化ガス化発電実証結果

 実験により、中小規模でも高効率で発電できることがわかりました。

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