学会活動

学会活動

2018年欧州気象学会総会&応用気候会議に参加して

大気・海洋環境領域 主任研究員
大庭 雅道

1.EMS-ECAC2018の概要

 ハンガリーのブダペスト・コルヴィヌス大学(図1)で開催された、2018年度EMS (欧州気象学会)-ECAC(欧州応用気候会議)合同総会(2018年9月3?7日)に参加した。EMS-ECACでは、地球温暖化などの地球環境問題から、欧州を対象にした防災・エネルギー問題への応用まで、気象学の応用に関する幅広い研究発表・活発な議論が行われている。学会プログラムは主に社会影響、運用システム、気象気候プロセスの3つ分野から構成されており、それぞれの分野ごとに10-20個程度のセッションが組まれている。なお、会場となったブダペスト・コルヴィヌス大学は旧王立ハンガリー大学として1920年に設立されたもので、ハンガリーを代表する大学の一つとなっている。

 欧州における近年の地球科学研究は応用面に力を入れており、本学会においても気象情報の社会応用(とりわけ再生可能エネルギー発電量予測への応用)に関する研究発表が中心である。参加者は欧州の気候気象研究者・事業者などが中心で、約800人強であった。米国や東アジア各国(日本・韓国・中国など)からの参加はそれほど多くない。なお、日本人の参加者は毎年10人弱である。

 当所では、風力・太陽光・水力といった自然エネルギーの出力変動の分析・予測と地球温暖化の影響評価に関する研究を進めている。報告者はエネルギー気象学(再生可能エネルギー)セッションと総観気候学セッションで発表を行うと伴に、関連テーマに関して情報収集を行った。

図1 学会会場玄関の写真

2.EMS-ECAC2018における印象的なトピック

 エネルギー気象学(再生可能エネルギー)に関するセッションは最も大きく、本学会のまさに中核を為していると言って良い。風力・太陽光の予測から電力系統へ与える影響まで、再生可能エネルギーに付随した幅広い問題に関する研究発表が為されており、その内容のバリエーションの豊かさには驚かされた。例えば、日照時間が長い欧州南部の国の気象研究者は主に太陽光発電に関する研究、英国沿岸、北海、バルト海及び欧州北部沿岸といった風況に恵まれている北部の国の研究者は風力発電に特化して研究を実施しており、自然エネルギーと気候・気象予測に関連した分野の情報収集を行うという面で充実した学会であった。報告者は、エネルギー気象学のセッションにて、日本の将来における風力発電資源量の変化を最新の高解像度温暖化予測データを用いて評価した結果を紹介した。発表では、モデル間の海面水温変化の差異による影響や年々変動に関する質問を受けた。

 欧州においては、気象情報をエネルギーや交通などのインフラで活用するための技術開発研究がかなり進んでいるという印象を受けた。また、フランス電力(EDF)等のエネルギー業界や各国の送電系統運用者(TSO)が積極的に学会に参加するとともに重要な役割を担っており、気象・気候情報の再エネ分野への応用に向けた社会的な関心の高さをうかがい知ることができた。エネルギー関係者と気象関係者との良い情報交換の場となっているようである。

3.ブダペストの夜景と食文化

 ランニングと写真が趣味の報告者は、海外へ行ったら夜景を撮りながらの夜の長距離徘徊が一つの楽しみである。ブダペストは極めて夜景が美しい街として知られており、「ドナウの真珠」とも称されているが、きらきらと輝く町を見るとそれも納得できる。夜間の治安も良いと感じた。世界遺産であるドナウ河岸には両岸に歩道が敷設されており、報告者以外にも多くのランナーや観光客が夜にも関わらず行き交っていた(図2、3)。なお、温泉地としても知られており、浴場などを持つホテルもあるようである。機会があれば、また改めて訪れてみたい。

図2 王宮の丘から望むドナウ川の夜景(世界遺産)

図3 ドナウ川に面する国会議事堂(世界遺産)

 職場ではプチ美食家(?)として知られる報告者であるが、現地でも高度なグルメ検索能力が遺憾なく発揮された。ハンガリー料理の名物のひとつがパプリカ料理である。ハンガリーの定番料理パプリカチキン(図4)はパプリカソースで煮込んだ鶏のモモ肉に、ハンガリーのつぶ状パスタ(ガルシュカ)が添えられているものである。非常に辛そうに見えて意外に優しい味である。学会会場となったコルヴィヌス大学に隣接するブダペストの中央市場には数多くのパプリカ粉が調味料として販売されていた。ハンガリー料理の名物のもうひとつが世界三大珍味のフォアグラである(図5)。日本に比べて随分と手頃な価格でフォアグラを食すことができるようだ。しかしながら、日本で食べるものに比べると少しレバー味が強く大味に思えた。また、蜂蜜のような味で知られる貴腐ワインも有名であり(トカイワイン、図6)、デザート気分で楽しむことができた。

図4 ハンガリーの定番料理「パプリカチキン」

図5 フォアグラの紫芋とマンゴー和え?

図6 蜂蜜のような味のトカイワイン

©2018 電力中央研究所

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