内容概要 | 本稿では、最近の睡眠研究の成果から、加齢に伴う睡眠・覚醒リズムの変化や夜間睡眠の特徴が述べられ、次に、夜勤に従事する中高年者の睡眠構造や日内リズムの問題が主として議論されている。加齢に伴って、1)24時間中の就床時間が延長し、2)夜の睡眠時間中に目が覚めることが多く、3)昼寝が増え、さらに4)睡眠薬等の使用頻度が増大していくこと、が研究者間で一致しているとしている。一昼夜交代勤務に従事する中高年群と若年群の日内リズムの変化を比較すると、24時間の勤務中(仮眠を除く)の体温変動は、すべての対象者で明瞭な24時間リズムが示された。これは、勤務中に挿入された仮眠が体温を低下させるために、明瞭な日内リズムが得られたものと思われる。しかし、その変動を詳細にみると、中高年群では若年群よりもリズムの振幅が小さく、体温の最高値を示す時刻も異なっており、そのピーク値は、若年群よりも約1時間30分ほど前のほうに位相がずれており、かつ個人間のバラツキも大変大きいことが特徴となっている。このような日内リズムの位相のずれが生ずると、中高年者では諸機能がより高い時刻に夜勤後の昼間睡眠をとることになり、若年者よりもその睡眠がいっそう障害されやすいのではないかと考えられる。
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