内容概要 | 単調な監視あるいは運転作業では、刺激不足による覚醒度の低下からヒューマンエラーが起こる可能性がある。このような作業時の覚醒度の推移を反応時間を指標として計測評価できるようにし、実験室における長時間の選択反応作業について定量的に解析した結果、選択反応作業時には平均11分周期で変動する覚醒リズムが存在することが明らかになった。このときの覚醒低下を軽減できる作業環境の要因を、音響・振動刺激を対象に検討したところ、実験室内実験では、断続的に提示する音楽などの音響刺激と、腰部に連続的に提示する正弦波局所振動が効果があることが分った。現在、これらの結果を応用した監視作業用シートを試作するとともに、実作業現場での覚醒低下の軽減効果を検討していくための計測評価ツールとして、多点脳波信号を用いた「覚醒度モニタ」の開発を進めている。モニタの概念は、多点脳波信号の各帯域のパワーと選択反応時間には同一個人内で強い相関のあることを利用して、被験者個体別に、多点脳波各帯域パワーと反応時間の重回帰モデルを作ることにより、実作業現場での脳波の計測により反応時間を時々刻々と予測するというものである。今後は、既存の作業環境に共通に存在する背景刺激要因にも着目して、それらの覚醒特性のデータベース構築を行っていく。
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