内容概要 | 現在、鉄道の従事員に対する適性検査をパーソナルコンピュータを用いたものに改訂する作業が進んでおり、4種類の検査が開発されている。本報告ではそのうちの注意配分検査(J-3001)と機敏性検査(J-4001)に関する標準化について述べる。従来の注意配分検査は紙上の枡目にランダムに書かれた0~48の数字を順に検索するのに要した時間を測定するものだったが、J-3001ではパソコン画面上に現われる路線図を模したものの中から30個の駅名を一定順序で探索してマウスでチェックするという方法に変更された。一方、機敏性検査は一定時間ランダムに出現する3種類の色刺激に対応したボタンを選択、押下させるものだったが、J-4001では鉄道の中継信号機に類似したパターンに色を対応させ、被検者はランダムに現われるパターンに対して、対応する色の種類をできるだけ早く押下し、反応速度と誤りの傾向を測定するものとなった。検査結果を集約し、各種の分布のあてはまり方を検討した結果、J-3001の成績分布は対数正規分布がよくあてはまり、検査所要時間を対数変換した値が年齢と一次の正の相関を持つモデルが確認できた。J-4001では正答数は年齢と負の一次の相関をもち、誤答数は一般化ポアソン分布に従うモデルにあてはまることが確認できた。
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